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特集 2019年11月11日

廃棄物管理と海洋プラスチック問題への取り組み強化にむけて、13カ国からの都市開発関係者が北九州市を訪問

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ハイライト

  • 東京開発ラーニングセンター(TDLC)は、世界的に関心が高まっている海洋プラスチック問題に焦点を当てた、廃棄物管理に関する都市開発実務者向け対話型研修(TDD)を開催しました。
  • 本プログラムでは、資源ごみの効率的な管理など、低炭素化都市として様々な取り組みを行う環境モデル都市に選定されている北九州市を訪問しました。
  • 地域における取り組みの強化に向け、家庭ごみの分別など、市民を巻き込む実用的な方策が、この研修を通して紹介されました。

2019年11月11日~15日

廃棄物管理における主な課題

廃棄物の排出量や管理の手法は、各都市から出る廃棄物の構成比率、管理体制、予算によって異なります。一方で、管理体制、全体の計画や政策の立案、持続可能な資金調達、技術導入、廃棄物管理における非公式労働者(インフォーマル・ワーカー)の活用、市民や民間セクターとの協力など、廃棄物管理を取り巻く都市共通の課題があります。

このような課題を解決するため、東京開発ラーニングセンター(TDLC)は、都市連携プログラム(CPP)のパートナー都市である北九州市と協力し、廃棄物管理をテーマとした都市開発実務者向け対話型研修 (TDD)を開催しました。2019年11月11日~15日に行われた本研修には、13カ国(エチオピア、モザンビーク、シエラレオネ、中国、インドネシア、フィリピン、ルーマニア、トルコ、アルバニア、コロンビア、チュニジア、バングラデシュ、インド)からの実務者、技術専門家、政府関係者が参加しました。

TDD研修では、廃棄物管理のバリューチェーン全般における課題、特に海洋プラスチック問題を取り上げました。また、TDDの参加者は、TDLCと北九州市共催で実施された海洋ごみと海洋プラスチックの課題解決に関する国際シンポジウムにも出席しました。

日本の経験から学ぶ—廃棄物管理における組織体制の構築、ガバナンス、資金調達

日本では、廃棄物の処理について、国、都道府県、市区町村の間で役割が明確に分担されています。国は基本的な政策の立案、管理、施設基準の策定や緊急対策を担い、都道府県は主に廃棄物管理施設を認可・監督し、そして市区町村は一般廃棄物管理計画の策定と実行を担う他、廃棄物の収集と処理に従事する下請け業者の管理業務を担っています。

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北九州市の日明かんびん資源化センターで空き缶を圧縮する作業員
写真:世界銀行グループ

統合的な廃棄物管理には、インフラ整備と施設運営への投資が必要です。日本の場合、設備投資には国が補助金を出していますが、全体的なコストとしては、自治体が6割以上を負担しています。市区町村の多くは住民に指定のごみ袋を販売し、ごみ回収のための資金調達を行っています。

本TDD研修には、日本からは、環境省、東京都、地球環境戦略研究機関の代表者が講師として登壇し、それぞれの専門知識を共有しました。日本の廃棄物管理の経験から得られた重要な教訓として、地方自治体レベルで適切な管理を行うためには、規制、廃棄物管理技術、財政支援の相乗的な関係を確立することが重要であるという点が挙げられました。


"廃棄物の問題に取り組むためには、生産・設計・消費の段階から、消費後の廃棄物の管理まで、あらゆるセクターが協力して取り組まなければならない。"
カタリナ マルランダ
プラクティス・マネージャー、世界銀行

北九州市—リサイクルの先駆者

研修の一環として、参加者は、北九州市の環境への取り組みを学ぶため、3日間の日程で北九州市を訪問しました。北九州市は環境分野において25社以上の民間企業や、大学、研究機関と連携しています。また廃棄物管理については、市民、事業者、NPO、各種行政機関など地域のステークホルダーとも連携し、いわゆる循環型社会を実現しています。

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北九州市プラスチック資源化センターの視察
写真:世界銀行グループ

TDD参加者は、環境保全と産業振興を目的として1997年に設立された「北九州市エコタウン」を訪問しました。そこでは、廃棄された携帯電話や衣類、ペットボトルなどが、どのようにエネルギー源やスポーツウェア、プラスチックトレー、ランドセルなどの新製品に再製されるのかについて学びました。また、缶やビンを扱う「日明かんびん資源化センター」や「北九州市プラスチック資源化センター」を訪問し、リサイクル可能な廃棄物の収集・処理の様子を見学しました。

家庭から始まるごみ対策

プログラムの最終日には、参加者はプログラム中に得た知見をもとに、自国で廃棄物管理に取り組むための行動計画を発表しました。参加者はこの研修を通し、市民との連携の重要性、そして効果的な廃棄物管理は家庭から始まるということを学びました。また行動計画では、自治体が市民(特に児童)に3Rの原則(リデュース、リユース、リサイクル)と家庭でのごみ分別の重要性を理解するための学習機会を提供することが大事であるという点についても触れられました。

さらに、国や自治体は、民間企業や非公式労働者と協力し、既存の廃棄物管理システムを構築・改善することができます。協働を促進するためには、政府は財政的なインセンティブと非財政的なインセンティブ(保健サービス、研修、社会的エンパワーメントなど)の両方を提供することが不可欠です。

TDD 研修は、TDLCの代表的な実践的知識共有プログラムです。約1週間のセッションでは、専門家によるパネルディスカッション 、現地視察、参加者同士のつながりを通じて都市に関連する課題に向き合い、世界と日本の成功事例を活用して、途上国における世界銀行のプロジェクトに適用できる行動計画の策定につなげます。



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