プレスリリース 2017年10月17日

貧困の世代間連鎖を断ち切るために直ちに行動を、と世界銀行

ワシントン、2017年10月17日 – 親の社会的地位が子供の将来に大きな影響を及ぼす事は、今も50年前と変わっていない-世界銀行が近く発表する報告書「平等は保たれているか?世界的に見る教育と社会格差の関連」は調査結果(暫定)としてこう指摘している。「貧困撲滅のための国際デー」の25周年に当たる本日、世界銀行は 同報告書の予告版を発表し、貧困と格差の緩和や成長促進に不可欠な社会階層の固定解消に何ら前進が見られないことに警鐘を鳴らした。

予告版は、上位の経済階層への移動を教育面から論じており、ある世代が受けた教育がいかに次の世代の成否を決定し得るかを分析している。そこで注目すべきなのは、育った環境にかかわらず、すべての子供が潜在能力を100%開花させることができる平等な機会を提供する公共政策の重要性である。2018年初めに発表予定の報告書本体では、市場の役割や経済改革の広範な影響力を含むさらに広い視点から、上位の所得階層への移動の推進力について検証する。

「我々は今、人的資本危機の只中にある。全ての子供が希望通りの人生を送る機会に恵まれるよう、できる限りの努力をしなければならない。得られる機会が親世代次第で既に決まってしまい、そのため潜在能力が生かされずにいる人が何億もいる。幼児への投資を進め、若者に希望を与え、彼らの大いなる希望が叶うように支援し、次の世代が生まれや育った環境にかかわらず豊かな人生を歩めるよう、あらゆるレベルで取り組まなければならない」と、ジム・ヨン・キム世界銀行グループ総裁は述べた。

次世代の教育レベルを前の世代より押し上げるという取り組みには、この半世紀、成果が見られない。1980年代に途上国に生まれた人の内、自分の親よりも教育レベルが上がった人の割合は2人に1人であったが、この割合は1960年代に生まれた人との比較でも変わっていない。子供たち、特に恵まれない環境で育つ子供への投資の在り方を変えない限り、10年後に状況が改善しているとは考え難く、2030年を目標とする貧困撲滅の達成はさらに困難になるだろう。

教育レベルの改善が芳しくない傾向は、途上国、サブサハラ・アフリカ地域においてとりわけ顕著である。例えば、サブサハラ・アフリカ諸国では、若年成人(1980年代に生まれた層)の内、自分の親よりも教育レベルが上がった人はわずか12%に過ぎないが、東アジアの一部では80%以上に上る。教育レベルが親のそれと密接に結びついている15カ国はすべて途上国だ。

同報告書は、前の世代よりも上の経済階層への移動を促進するための3つの道筋を提示している。

子供たちのための機会均等: 早期幼児開発、教育アクセスと質の高い教育、母子保健、栄養、インフラ、水と衛生をはじめ、乳幼児に対する基礎的サービスへの投資が、上位の階層への移動と人的資本構築にとって不可欠である。例えば、5歳児の発育阻害(年齢相応より低い身長、慢性栄養不良の兆候)の割合が低い国、及び公的資本による教育投資が多い国ほど、上位の階層への移動が多い傾向が見られる。

先月発表された「世界開発報告(WDR)2018:教育と学び」は、学習と質の高い教育への投資が貧困からの脱却につながると強く主張している。また、世界銀行グループはこのほど、包摂的な経済成長の促進と極度の貧困撲滅への重要なステップとして、各国による人へのより有効な投資の拡大を加速する人的資本プロジェクトを立ち上げた。

願望: 貧困からの脱出が叶わないと感じた人は、そのために必要な行動を起こさなくなる傾向がある。つまり、どう感じたかによって願望が損なわれ、貧困から脱け出せなくなるのだ。開発プロセスで取り残されてきた人たちに支援の手を差し伸べるため、政策やプログラムの策定の際に、こうした行動面の実態に配慮し対処する事が不可欠である。

現場での取り組み: 生まれた環境が、親の社会的地位と共に大きな意味を持つ。地域からコミュニティまで、現場レベルでの取り組みが貧困の連鎖を断ち切るために不可欠である。貧困層が暮らす貧困地域では、学校教育は不十分で、インフラは崩壊しつつあり、質の高いサービスへのアクセスが難しく、犯罪が多発する傾向にあるため、子供が学びながら成長し、豊かな人生を送る事が困難となる。

貧困撲滅のための国際デー

世界は今、2030年までの極度の貧困撲滅と繁栄の共有促進という2大目標に向かって歩を進めている。持続可能で包摂的な経済成長の促進、人的資本への投資、ショックへの強靭性構築という3つの分野に資源を重点的に充てて取組み、その進捗状況を測定する事により、目標達成は可能になるはずだ。年に一度の 「貧困撲滅のための国際デー」は国際社会にとって、今一度目標に向き合い、その達成に必要な行動に対して、政府や市民、市民社会、民間セクター、開発機関と協力して支援を確立する機会となっている。

 

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プレスリリース番号: 2017/047/POV

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