プレスリリース 2018年4月12日

東アジア・大洋州地域の途上国経済の見通しは依然堅調 しかしリスクには注意が必要-世界銀行

2018年4月12日、ジャカルタ – 世界銀行は本日発表した「東アジア・大洋州地域 半期経済報告」最新版の中で、東アジア・大洋州地域(EAP)の途上国経済は引き続き堅調で、2018年には成長率が6.3%に達する見通しであると指摘した。この明るい見通しの背景には、グローバル経済の広範な回復継続と底堅い内需がある。とは言え、経済の安定と持続的成長に対する新たなリスクには細心の注意が必要である。

「可能性を引き出すために」と題した同報告書の2018年4月版は、域内各国の政策担当者は、見通しが明るくても、新たな課題を認識し対処するのが賢明であると強調する。予想より大幅な先進国の利上げに伴う短期的リスクと、貿易摩擦深刻化の恐れに対応するには、金融引締めと財政バッファーの拡大が必要となる。より長期的に成長を促進するには、官民の投資拡大、生産性向上、人的資本強化が鍵となるだろう。

「力強い成長により、域内の極度の貧困削減は大きく前進してきた。この成功を足掛かりとし、なおも経済的に不安定な状態にある人々に明るい未来をもたらすためには、長期的な持続的成長が求められる。政策担当者は、経済の安定に対するリスクへの対応に注力しつつ、長期的な成長の可能性を高める措置を講じる必要がある。」と、世界銀行のビクトリア・クワクワ副総裁(東アジア・大洋州地域総局)は述べる。

中国は2017年、予想を上回る成長を記録したが、2018年は、与信拡大の抑制及び成長の質の向上に一段と重きを置いた政策の下で、投資から国内消費へと経済のリバランスが続くため、6.5%へとペースはやや減速すると見られる。

中国を除く域内途上国の2018年の成長率は、内外で続く旺盛な需要を反映して5.4%のペースで安定が続くと見られる。インドネシアとタイの2018年の成長率は、投資と個人消費の見通し改善に伴い、いずれも伸びが予想される。フィリピンでは2018年も安定成長が続くだろう。公共投資が減少するマレーシアと2017年に回復した農業生産が横ばいとなるベトナムは、共に成長率が減速すると見られる。

域内の一部の小規模国の見通しは、一次産品価格の上昇もあり、概ね良好である。ミャンマーでは、2018年は成長加速が見込まれるが、ラカイン州の情勢不安定化により今後、投資が減少する恐れがある。モンゴルも、マクロ経済の安定化が続くことから成長加速が見込まれる。パプアニューギニアは、一次産品価格の上昇を受け、循環的回復が始まる可能性もあるが、最近の地震の影響により予想が覆ることも考えられる。カンボジア経済は成長率がやや上向くと見られ、ラオス人民民主共和国は安定成長となるだろう。

太平洋島嶼国の成長見通しには、国によってばらつきが見られる。フィジーとソロモン諸島の成長は減速すると見られる。一方、より小規模な島嶼国の経済は緩やかに成長すると予想されるが、自然災害の被害を特に受けやすい上、一次産品価格の輸入に大きく依存しているため不安定さが残る。

「域内の成長見通しは明るいとは言え、政策担当者には短期・中期的な課題が突き付けられている。こうした課題に対処するには、先進国の金融引締め加速のもたらし得る影響を抑える一方で、世界貿易を中心に政策が不透明な中で長期的成長の可能性を高めるような施策が必要となる。」と、世界銀行のスディール・シェッティ東アジア・大洋州地域総局チーフ・エコノミストは述べる。

マクロ経済安定を脅かすリスクに対処するため、各国は金融引締めとマクロ・プルーデントな規制の更なる強化を検討する必要があるだろう。これは、先進国の利上げに伴い高い債務レベルや与信の急拡大が国内金融セクターの脆弱性の悪化を招きかねない国において特に重要となる。

域内全体で中期的な成長見通しの減速に対応するため、各国は長期的な成長見通しを高める施策を見極める必要に迫られるだろう。具体的には、公共支出の回復とインフラ整備の推進、貿易の統合促進と円滑化の推進、競争力強化に向けた改革の実施、人的資本の構築などを目指す各種の施策が挙げられる。

世界的な貿易システムへの脅威が続く中、域内の途上国にとっては、アセアン経済共同体、包括的及び先進的な環太平洋パートナーシップ協定、「一帯一路」構想などのメカニズムを通じて、自国貿易の統合と円滑化を促進する事が可能である。こうしたメカニズムとの協調がうまくいけば各国は、既存の製造業主導の開発戦略を転換し、省力テクノロジーや自動化といった新たな課題や、境界が曖昧になりつつある製造業とサービス業の仕切りへの適応ができるようになることから、今後さらに重要性を増すだろう。

テクノロジーの進化に伴い製造業の在り方が変化しつつあり、域内各国が対応を図ろうとする中で、競争力強化もまた重要な課題となるだろう。ビジネス環境の様々な要素についても、各国の製造業の未来を築く上で労働コスト以上に重要な意味を担うと見られる。さらに、テクノロジーの進歩が続く中、基本的な読み書き・計算能力やデジタル・テクノロジーへの精通も不可欠となるだろう。

同地域には、学校に在籍はしていても実際には学べていない生徒が大半を占める国が多数存在する。こうした国々では、教育現場の効率性向上が優先課題である。まずは、教育制度を整備し、学習のための基礎的条件を整える強固な行政機関を作ることが急務だ。さらに、教育システムのその他の優先課題としては、初等教育への公共支出における公平性の確保、就学前の生徒に学習準備を整えさせる環境整備、教師に求められる基準の改善と給与や潜在的キャリアの向上、体系的なアセスメントに基づいた適切な指導、などがある。

経済的に不安定な人々を決して取り残さないようにするためには、社会的扶助と保険プログラムの強化、及びシステミックなショックへの強靭性強化が鍵となる。経済的強靭性は、太平洋島嶼国で特に重要であり、その強化には、ソブリン・ウェルス・ファンドの構築や出稼ぎのための一時渡航制度へのアクセス改善が役立つだろう。

詳細はウェブサイトをご覧ください:
www.worldbank.org/eap

本報告書は、2018年10月10~14日にインドネシアで開催される世界銀行グループ年次総会に向けた一連のプログラムの一環として発表された。


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