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特集 2017年11月6日

アルメニアの子どもたちに自然災害について学ばせるヒーロー「スーパー・デイヴィッド」に会おう

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オンラインゲーム「スーパー・デイヴィッド」で高得点を取ろうと、熱心に競い合うLousineさんとアルメン君。

世界銀行


教室は興奮と活気に満ちています! 「Vardanants Aspetner」エレバン市第106基礎学校の生徒たちは、互いに顔を見合わせ、笑い合いながらオンラインゲーム「スーパー・デイヴィッド」に興じています。どの生徒もゲームで最高得点を出そうと、夢中で競い合っています。

このスーパー・デイヴィッド・オンラインゲームは、Dasaran教育プラットフォームが、子どもたちに自然災害について意識を高めてもらい、緊急事態についての基礎知識と心構えを身につけてもらうという、非常に実用的な目的で設計したものです。

「オンラインゲームで子供たちに興味を起こさせ、関心を持たせることができるようになりました」と、子どもたちの先生、アリナ・サハキャンさんは話します。「競争意識が生まれるので、子どもたちはすぐに集中し、熱心に学び始めます。私たちは一定の授業時間をかけて自然災害のテーマに取り組んでいますが、このゲームは私たちにとってすばらしい教材です」

このオンラインゲームは、地震、火災、落雷、地滑り、洪水、暴風、豪雨、落石の8種類の自然災害に関する一連の質問と課題で構成されています。質問に正しく答えられた生徒は星を獲得でき、ゲームの8つのステージをすべて終えると「スーパー」の称号が与えられます。このゲームは1年生から使えるよう設計されています。

8年生のサムヴェル・ババジャニアン君は熱心なプレーヤーです。同級生のルイーザ・マヌキアンさんとチームを組み、ゲームの質問にすばやく答えていきました。2人はゲームの各ステージを通過し、クラスの全員で大喜びしました。最も多い63個の星を獲得したサムヴェル君は「スーパー」の称号を獲得しました。

「落雷の問題は簡単だったけれど、落石の問題は難しかったです」と、サムヴェル君は元気に話します。「それから、勝つとスーパー・デイヴィッドが911(救急)ヘリコプターをくれるので、そういうところが楽しいです!」

このオンラインゲーム・プロジェクトの実施を主導したリマ・サルキシャンによれば、「デイヴィッド」のモデルは、アルメニアの国民的叙事詩「サスンの勇者」に登場する「サスンのデイヴィッド」だといいます。人々を助けるために困難を乗り越える「サスンのデイヴィッド」のように、スーパー・デイヴィッドは、子供たちが自然災害に備えるよう手引きするのです。オンラインゲームのなかで、「サスンのデイヴィッド」の馬「Qurkik Jalali」と剣「Tur Ketsaki」(「明るく照らす剣」)は、さまざまな困難な状況にすばやく対処するための知識・技能・能力という形で表現されています。

「スーパー・デイヴィッドのキャラクターは、非常事態省(MES)が全国の学校の生徒向けに導入したものです。そこで私たちは、このキャラクターを、もう少し現代的にアレンジして活用することにしました」とリマは話します。


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スーパー・デイヴィッド・オンラインゲームは、子どもたちに自然災害について意識を高めてもらい、緊急事態についての基礎知識と心構えを身につけてもらえるよう設計されています。

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別の8年生、Lousine Matosyanさんは、いくつかのオンライン情報源を使って自然災害の勉強をしていますが、それはすべてゲームで勝つためです。「質問は、緊急時に何をしたらいいか、どう行動すればいいかを訴えかけ、思いつかせてくれます。それから、ゲームの中身をすべて暗記するのは簡単です。私はデイヴィッドのキャラクターが好きです!」と彼女は話します。

また、別の学校(エレバン市第173基礎学校)の6年生、ガヤネー・アルチュニャンさんは、災害発生時に人々を助ける方法を学びました。「私はもう恐れていないし、パニックが事態を悪化させるだけだということを知っています。応急処置を試してから、911番に電話しなければならないと知っています」とガヤネーさんは話します。

スーパー・デイヴィッド・オンラインゲームは、「Dasaranプログラム」チームがわずか5カ月で作り上げたものですが、同チームはあらかじめ生徒たちから何度も意見を聞いて、彼らの基本的なニーズと関心を把握していました。同チームはまた、非常事態省の専門家とも緊密に協力しました。

このオンラインゲームはウェブサイトDasaran.amで提供されており、全国の約1,500校で100万人以上が利用登録しています。さらに、ゲーム制作者はDasaran.amに公式ウェブページを開設し、生徒たちが災害リスク軽減について、より深く学べるようにしています。このウェブページでは、スーパー・デイヴィッドがアルメニア全土を旅しながら、さまざまな緊急事態の発生時にどう行動すればいいかを学ぶ様子を見ることができます。

「建物の外にいるときに地震が起きたら、建物からどれくらい離れなくてはいけないかな?」と、スーパー・デイヴィッドは閲覧者にまず尋ねてから、正解(「約20メートル」)に至る会話に入ります。

「このゲームは提供開始から1カ月が経とうとしていますが、すでに40万回以上プレイされています。この数は、私たちのあらゆる予想を超えています!」と、Dasaranの創業者であるスレン・アロイアン社長兼CEOは言います。

このオンラインゲームはフェイスブックでアクセスでき、ゲームで出した得点はツイッターで共有できます。また、複数言語のサポートの導入や、このゲームのモバイルアプリ版(iOS版およびAndroid版)の開発も計画されています。

ゲームオーバーです。もう一度プレイしますか?

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「スーパー・デイヴィッド」イニシアティブは、日本 - 世界銀行防災共同プログラム防災グローバル・ファシリティ(GFDRR)が運営管理)の支援により、世界銀行国家防災プログラムを通じて設計されました。これは2015年に開始されたもので、自然災害に対する人々のレジリエンス(強靭性)を向上させるためのさまざまな活動を含んでいます。


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「Vardanants Aspetner」エレバン市第106基礎学校の生徒たち。Dasaran.amの事務所にて。

 



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