国際開発協会(IDA)は世界銀行のグループ機関で、世界の77の最貧国政府(うち39カ国はアフリカ諸国)に対する資金援助を行っています。1960年に設立されたIDAは、貧困削減に向けた経済成長促進、生活水準向上のため、インフラ、保健・教育、気候変動・防災等の分野で、超長期・低利の融資及び贈与を行っており、融資期間も最長 40 年(内、据置 10 年)に渡ります。
日本は累積出資額ではアメリカに次ぐ第2位のドナー国であり、同時に政策面においても、例えば、インフラ、保健、防災分野の支援強化をリードするなど、IDAの進展に大きく貢献しています。
IDA第18次増資交渉
IDA の活動は、 主として加盟国からの出資金で賄われてきています。3年に一度、必要資金の補充のため増資を実施しており、2016年3月から2016年12月にかけてIDAの第18次増資交渉(IDA18)が行われています。資金計画は3年単位で立てられ、2017年度から2019年度の期間における支援方針では、全体テーマに「成長、強靭性(レジリエンス)および機会への投資」、特別テーマに (1) 気候変動、(2) ジェンダー、(3) 脆弱性・紛争・暴力、(4) 雇用ならびに経済的変革、(5) ガバナンスと組織・制度の構築、を選定し、自然災害やパンデミック等の危機に対する予防、備え、対応の強化など、日本の優先課題とも方向性を共にした支援が行われる予定です。また、IDAを通じて日本の知見を途上国の貧困削減と持続的な開発に役立てるため、日本人職員の採用に力を入れています。
世銀が掲げる「貧困の撲滅」と「繁栄の共有」という2大目標と持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた最貧国の活動を支援するため、IDAは新たな資金源として、1960年の設立以来初となる債券市場からの資金調達をドナー国に提案し、2016年9月、格付け会社であるムーディーズ社とスタンダード&プアーズ社により、同機関初の格付けとしてAaa/AAAを付与されました。この格付け取得によりIDAは、支援の原資を資本市場からも調達できるようになります。