2020年９月９日 東京―世界銀行（正式名称：国際復興開発銀行：IBRD、ムーディーズ: Aaa、スタンダード＆プアーズ: AAA）はこの度、期間10年、総額１億米ドル（106億円相当）のサステナブル・ディベロップメント・ボンドを発行し、全国の信用金庫の中央金融機関である信金中央金庫（以下「信金中金」）が全額を購入しました。本債券の主幹事にはシティグループ証券株式会社が指名されました。
信金中金は、全国の信用金庫とともに、持続可能な開発目標（SDGs）の達成に向けた取り組みを進めており、本債券への投資は、途上国における自然災害に対する強靭性向上の支援を重要な投資テーマとしています。
サステナブル・ディベロップメント・ボンドは、世界銀行が開発途上国のために取り組む農業・食料安全保障、教育、エネルギー、金融、貿易・産業、保健、行政・インフラ・ガバナンス、水・公衆衛生、ジェンダーの平等、環境等のあらゆる分野の開発プロジェクトを支えるために国際資本市場で発行されます。世界銀行が取り組むプロジェクトには、災害リスク管理プロジェクトやプログラムも含まれています。
災害によって特に大きな影響を受けるのは、貧困層や脆弱層です。災害は、既存の社会的・経済的不平等をさらに悪化させ、その結果、毎年多くの脆弱層がさらに社会から取り残され、貧困へと追いやられています。このような現状を受け、世界銀行は各国の防災能力を強化し、災害に対する強靭性を高めることが、大変重要な課題であると捉え支援を行っています。2014年には、日本政府と連携した「日本‐世界銀行防災共同プログラム」を設立し、日本の防災に関する経験・技術・知見を活用し、技術支援案件の組成や実施のサポート、専門家派遣などを通じた途上国支援も行っています。
世界銀行は2030年までに「極度の貧困を撲滅」し、「繁栄の共有の促進」を持続可能な形で実現することを使命としており、この2つの目標は、国連の「持続可能な開発目標（SDGs）」とも連携しています。
世界銀行が発行する債券の資金は、特定の用途やプロジェクトを資金使途としていないため、本債券の資金使途は、災害リスク管理プロジェクトやプログラムに限定はされませんが、様々な分野の開発プロジェクトを支えるための世界銀行の資金ニーズに大きく貢献します。
世界銀行（IBRD）が取り組むプロジェクト事例
ベトナム: 洪水対策と水管理プロジェクト(世界銀行融資額: 1億5000万米ドル)
ベトナムの首都ハノイに隣接するヴィンフック省の人口は104万人で、77％が農村部に居住しています。同省の3分の2は頻繁に洪水が起きやすいにもかかわらず紅河氾濫原の小高いところに位置するため、乾季には水が不足するという問題があります。2006〜2013年の洪水による被害は1億5,000万ドルにのぼり、農作物の損失（年間の収穫量の約30％）、農村部と都市部両方のインフラの損害、および事業や生産の混乱、健康に関連する費用等が発生しました。本プロジェクトは、洪水制御インフラ、排水収集および処理施設を整備し、水資源の効率的な活用と共に、洪水の予測と防止に向けた同省の防災管理能力の強化を支援します。頻繁に氾濫する8,390ヘクタールの地域のうち約5,720ヘクタールの地域を洪水から防ぎ、255,000人以上の住民（農村部の60％、都市部と小さな町の40％）を自然災害から守ります。本プロジェクトはまた、4つの小さな町と33の農村に住む約12万人の住民の衛生状態を改善し、洪水早期警報、緊急対応システム及び河川流域管理メカニズムを普及し、同省を支援します。プロジェクトの詳細はこちらをご覧ください。（英語）
*上記プロジェクトは、事例のご紹介のみを目的としており、今回の世界銀行債券の資金の活用を上記プロジェクト又はその分野に限定するものではありません。
*世銀債の発行により調達された資金は、特定のプロジェクトやプログラムへの融資に直接割り当てられことはなく、世界銀行加盟国における全ての融資プロジェクトやプログラム対し均一に活用されます。世銀債の元利金の支払いは、世界銀行の信用力に基づき行われるため、投資家は個々の融資プロジェクトやプログラムのリスクを負う事はありません。
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