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プレスリリース 2019年10月10日

東アジア・太平洋地域の成長率、貿易摩擦と世界的な不透明感の拡大を受け減速


バンコク、2019年10月10日 —東アジア・太平洋地域(EAP)の途上国経済の成長は、輸出の広範な伸び悩みと製造業の低迷を反映し、2018年の6.3%から2019年は5.8%、2020年は5.7%、2021年は5.6%へと軟化が続くであろう。  

本日発表された「東アジア・太平洋地域 半期経済報告書」の2019年10月版「拡大するリスクを切り抜ける」は、中国を含む世界的な需要が落ち込み、米中貿易摩擦の今後の見通しが不透明感を増す中、輸出と投資の伸びが抑えられ、同地域の強靭性が問われる事態となっていると指摘する。 

中国を除いた同地域の消費は、前年同期比でやや小幅ではあるが、金融・財政政策に支えられ、引き続き安定して伸びている。ただし、域内の小国は、観光、不動産、採掘セクターの伸びなど、それぞれの国に特有の状況を反映し、手堅く成長を続けている。

「成長の鈍化に伴い、貧困削減のペースも落ちている。」と、世界銀行のビクトリア・クワクワ副総裁(東アジア・太平洋地域総局)は述べる。「域内の途上国では、国民の約4分の1が1日5.50ドルという上位中所得国における貧困ラインを下回ると見られる。人数に置き換えると、域内の成長見通しが今よりも明るかった今年4月の推定値より約700万人増えたことになる。」

同報告書は、貿易摩擦の悪化は域内の成長にとって長期的な脅威になると強調している。一部には、世界貿易の構造再編による恩恵の享受を期待する国も見られたが、グローバルバリューチェーンはそう簡単に変わるものではないため、域内諸国が得られる利益は短期的には限定的となるであろう。 

「企業は関税回避のための方策を模索しているが、インフラが不十分で生産規模が小さい域内途上国では、グローバルバリューチェーンで中国にとって代わることは短期的には難しいだろう。」と、世界銀行のアンドリュー・メーソン東アジア・太平洋地域総局チーフ・エコノミストは述べる。

同報告書は、域内各国の成長見通しに対する下方リスクが高まっていると警告している。長引く米中の貿易摩擦により先行きの不透明感が増す中、今後も投資の伸びは望めないだろう。中国、ユーロ圏、米国における予想を上回るペースでの景気減速、更にはイギリスのEU離脱をめぐる混乱により、域内各国の輸出に対する域外からの需要は一段と落ち込みかねない。 

一部の国の債務が高い水準にあり、さらに増加を続けているため、財政・金融政策を用いた景気減速の影響緩和にも限度が生じている。更に、世界の金融市場動向に急変があった場合、同地域の借り入れコスト上昇につながりかねず、信用拡大へのブレーキとなって域内の民間投資と経済成長を一段と圧迫する恐れがある。

このように拡大するリスクを切り抜けるため、同報告書は、政策に十分な余地のある国は、財政と債務の持続可能性を維持する一方で、景気刺激策となる財政・金融措置を講じるよう提案している。また、自由貿易主義を貫き、域内の貿易統合を促進することも、域内各国にとってプラスとなるであろう。 

更に、貿易をめぐる米中の衝突にグローバル経済の成長鈍化が重なり、域内諸国では、生産性向上と成長促進のための改革を進める必要性が高まっている。特に、貿易・投資環境を改善し、投資を呼び込んで財、テクノロジー、専門知識の流れを促進するような規制改革が求められている。 

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報告書全文:https://worldbank.org/eapupdate

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プレスリリース番号: 2020/052/EAP

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