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報告書「包摂性へ方向転換:障害を持つ学習者のために新型コロナウイルス感染症拡大からの教訓を活用する」

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世界は前例のない規模で教育における緊急事態に直面している。世界銀行の推定によると、新型コロナウイルス感染拡大中は、180カ国以上で一時的な学校の閉鎖が義務付けられ、学習者の85%が学校から締め出された。障害のある子供たちとその家族、特に貧困層の子供たちは、この危機の中、教育、保健、社会的保護など、重大な複数の脆弱性に直面している。

世界銀行の包括的教育イニシアティブ(IEI)は、新報告書「包摂性へ方向転換:障害を持つ学習者のために新型コロナウイルス感染症拡大からの教訓を活用する」を発表した。

障害のある子供たちが直面する課題は山積みである。

  • 障害のある子供は最も脆弱な立場にあり、教育、保健、ジェンダー平等、社会的包摂に関する機会から様々な形で除外される状況に直面している。貧困の中で生活する子供たちは、さらに取り残される危険がある。

  • 障害のある子供が不十分な教育や学びを経験すると、成人した際に収入を得る能力が妨げられ、本人のみならず、世帯、コミュニティに影響を与え、国の人的資本の格差にも大きく影響する。

  • 各国で新型コロナウイルス感染症によるロックダウンが行われた際、180カ国で一時的に学校を閉鎖し、学習者の85%が学校から締め出されたことで、障害のある子供たちが取り残されるリスクがさらに高まった。

  • 学習コンテンツの利用に障壁を持つ障害のある生徒にとって、情報格差は、機器、電気、インターネットを利用した学習による生徒間の学習格差を拡大させる。また、視覚障害者や聴覚障害者は、多くの遠隔学習機能にアクセスすることができない。

新型コロナウイルス感染症により、障害の有無に関係なく、すべての子供が教室の外で行われる学習にアクセスし参加できる、包摂的な遠隔学習について再検討することを余儀なくされた。

  • すべての対応段階において障害者を考慮したツイン・トラック・アプローチを採用:緊急支援(即時対応)、再構築(確実に安全な学校再開を実現するための中期対応)、および強靭な回復(長期対応)。

  • 在宅で学習者が思考力をつけ、スキルを高め、成長するために、学びのユニバーサルデザイン(UDL)の原理に基づき、取組み、提示、表出に関する多様な方法の活用を強化する。

  • 幅広い情報の提供や、多言語対応、複数の形式でアクセス可能にすることで、除外されるリスクのある子供たちとその家族に情報が届くようにする。

  • 強靭性、指導、技術の3つの中核領域における教師へのトレーニングが不可欠であり、障害のある子供たちの在宅学習期間中における保護者の関与を支援するだけでなく、学習の損失に対応することに焦点を当てる。

  • 学校の再開にあたっては、安全性、保護、および包摂性の確保が優先事項である。学校再開の際に人数規制を行う場合は、障害のある子供を含め、遠隔学習を利用するのが難しい生徒は、適切であるならば優先して通学できるようにするべきである。