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プレスリリース2023年3月31日

東アジア・太平洋地域、中国経済の回復に伴い成長が加速

2023年は世界経済の成長鈍化、一次産品価格の変動、金融引締めが重荷に

ワシントン、2023年3月30日 – 2023年、中国の経済活動再開に伴い、東アジア・太平洋地域の途上国は全体として成長の加速が見込まれるものの、中国以外の域内諸国の大半は2022年の力強い回復を経て成長ペースが鈍化するであろう-世界銀行は本日発表した「東アジア・太平洋地域 半期経済報告書2023年4月版」の中でこう指摘する。

同報告書によると、地域全体の今年の経済動向は堅調であるものの、世界経済の成長鈍化、一次産品価格の上昇、持続的なインフレに対する金融引締めによって抑制されかねない。

中国経済が活動再開により昨年の成長率3%から5.1%に回復するため、東アジア・太平洋地域の途上国の成長率は2022年の3.5%から2023年は5.1%に加速する見通しである。 中国を除く域内途上国の成長率は、2022年はコロナ後に5.8%もの大幅な回復を記録したが、2023年は、インフレと一部の国における家計債務の増加が消費を圧迫するため、4.9%に減速すると予想される。

「東アジア・太平洋地域の主要国の大半は、コロナ危機の困難を乗り越えたものの、今後は変容した世界情勢の中を進んでいかなければならない」と、世界銀行のマヌエラ・フェッロ東アジア・太平洋地域総局副総裁は述べた。「勢いを取り戻すために、イノベーションと生産性を高め、より環境に配慮した回復の基盤を築くという作業が待ち受けている。」

経済規模が大きな域内諸国のうち、インドネシア、フィリピン、ベトナムなど大半の国で、2023年の成長が2022年よりも小幅になるとみられる。太平洋島嶼国の大半は、2023年に成長が加速する見込みだが、2022年に群を抜いて好調だったフィジーではペースが緩やかになるとみられる。

域内諸国の大半はこの20年間、他の地域と比べ安定した高い成長率を記録してきた。その結果、貧困が著しく減少し、この10年間は格差も縮小した。しかし、近年は生産性向上や構造改革のペースが鈍化しているため、先進国と比べた国民一人あたり所得の改善はとどこおっている。サービス業を中心に、改革における先進国との大きな「隔たり」を解消すれば、デジタル革命の影響を一段と拡大し、小売や金融から教育や医療に至るまで様々なセクターで生産性向上が見込める。

コロナ危機の余波の中、域内各国の政策担当者は経済成長の維持・加速のため、3つの重要な課題にも対処する必要がある。主要な貿易相手国との緊張の高まりが、地域全体の貿易、投資、テクノロジーの流れに影響を与える。東アジアと東南アジアの主要国で急速に進む高齢化は、経済成長、財政収支、保健の各分野において新たに一連の課題とリスクの到来を告げるものである。最後に、この地域は、沿岸部に人口と経済活動が集中していることもあり、気候変動リスクが特に大きい。  

「貿易によって繁栄しきたこの地域では今や急速に高齢化が進んでおり、脱グローバル化、高齢化、気候変動が地域の成長見通しに影を落としている。それでも、貿易の振興、人口動態の変化への対応、気候変動への強靱性の強化により、成長を促進できる可能性はある。」と、世界銀行のアディテイヤ・マトゥー東アジア・太平洋地域総局チーフ・エコノミストは述べている。

プレスリリース番号: 2023/056/EAP

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