BRIEF

国際貧困ライン、1日1.25ドルから1日1.90ドルに改定

2015年10月16日


世界銀行は、2015年10月、国際貧困ラインを1日1.25ドルから1.90ドルに改定しました。今回の改定は、物価の変動を反映させることで、より正確に貧困層の数を把握する目的で行われ、2011年に世界各国から新たに集められた物価データに基づいて設定されました。

旧国際貧困ライン(1日1.25ドル)と新国際貧困ライン(1日1.90ドル)を使った地域別貧困率の推定値(図1)を比較すると、 新国際貧困ライン下で、貧困率は最貧国(特にアフリカ地域と南アジア地域)ではやや低くなり、中所得国(特にラテンアメリカ・カリブ海地域とヨーロッパ・中央アジア地域)ではやや高くなるものの、総じて新旧の基準での違いは小さくなっています。貧困ラインの見直しは、最貧国の購買力を常に実質的価値に見合ったものとするために実施するため、実際の貧困ラインは実質ベースであまり変わっておらず、全体的な貧困率の差が大幅に変わることはありません。

(図1)新旧国際貧困ラインを用いた各地域の貧困率比較

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今回の国際貧困ライン改定により貧困率は実質52パーセント増となりました。この引き上げ幅は、2005~11年の米国のインフレ率を大幅に上回る数字ですが、貧困率が変わらない、または低下する理由として、購買力平価(PPP)が挙げられます。2011 年の国際比較プログラム(ICP)による物価調査の結果、貧困国の物価レベルは、米国と比べ、2005年のPPPを決定するために用いられた物価を下回っていることがわかりました。新しく設定されたPPPは、大半の貧困国の通貨に対するドル安を効果的に反映しています。貧困国における実質的価値を反映した貧困ラインが、現在米国ドルで表示するとこれまでより高くなるのはそのためです。貧困国において2011年に1.90ドルで買えるものとほぼ同じだけのものを、2005年には1.25ドルで買うことができたわけで、貧困率がほとんど変わらないのはこのためです。