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プレスリリース2024年4月2日

南アジア地域、堅調な成長が見込まれるも依然としてショックに脆弱

ワシントン、2024年4月2日 - 南アジア地域は2024年、インドの堅調な成長と、パキスタン及びスリランカの景気回復が主な要因となり、6.0%と力強く成長するとみられる。しかし、根強い構造的課題が持続的成長を損ねる恐れがあり、雇用創出や気候ショックへの対応の足かせとなる可能性もあると、世界銀行は半期に一度発表する南アジア経済報告の最新版「雇用を通じた強靱性強化」で指摘している。

本日発表された同報告書によると、南アジア地域は今後2年間に引き続き世界で最も急成長を遂げる地域であり、2025年は6.1%の成長率が見込まれる。

しかし、この見通しは堅調にみえるが実はそうではない、と報告書は釘を刺す。域内の大半の国で、成長率は依然としてコロナ前の水準に届かず、公共支出に依存している状況だからだ。同時に、民間投資の伸びは域内の全ての国で急減速している上、地域の雇用創出は急速に増え続ける労働年齢人口に追いついていない。

「南アジア地域の成長見通しは短期的には明るいものの、逼迫した財政状況と気候ショックの深刻化が先行きの不安となっている」と、世界銀行のマーティン・レイザー南アジア地域総局副総裁は述べた。「より強靭な成長を実現するために、各国は民間投資の促進と雇用拡大の強化に向けた政策を取り入れる必要がある」

南アジア地域の労働年齢人口は、他の途上国地域よりも速いペースで増えてきた。また、雇用の伸びも加速してはいるが、労働年齢人口の伸びにははるかに及ばない。その結果、労働年齢人口の就業率は2000年から現在の低水準まで低下を続けてきており、 2023年には、南アジア地域が59%であったのに対し、他の新興・途上地域は70%だった。この20年間に、労働年齢人口の男性の就業率が低下した地域は南アジアのみであり、労働年齢人口の女性の就業率も同地域が最も低い。

「南アジアは現在、人口ボーナスを十分に生かすことができておらず、機会損失を招いている」と、世界銀行のフランジスカ・オーネゾルゲ南アジア地域担当チーフエコノミスト は述べた。この地域でも、労働年齢人口の就業率が他の新興国・途上国と同水準であれば、生産活動が現在より16%活発である可能性もある」

雇用低迷のこうした傾向は非農業部門に集中しており、ひとつには、企業や事業活動の成長を抑えてきた厳しい制度・経済環境を反映している。活気にあふれた競争力の高い企業は、雇用の伸びと力強い民間投資を解き放つ鍵となる。雇用創出を促進することは、気候変動への適応に有効な選択肢をほとんどもたない世帯を助けることにもなるはずだ。

報告書は、企業の成長と雇用を促進する幅広い政策として、貿易の開放と金融アクセスの向上、ビジネス環境と制度の改善、金融セクターの制限撤廃、教育の向上、女性の経済活動への制約撤廃などを提言している。こうした措置はまた、成長を促進して生産性を高めるとともに、気候変動への適応に公共投資を振り向けることにも役立つであろう。

国別見通し

バングラデシュでは、高インフレと貿易規制に為替レートの上限規制 が経済活動を圧迫する中、24/25年度のGDP成長率は5.7%になるとみられる。ブータンでは、鉱業、製造業、観光業の成長とともに発電量増加に支えられ、24/25年度は5.7%の成長が見込まれる。域内最大の経済国であるインドでは、23/24年度のGDP成長率は7.5%に達した後、中期的には6.6%に戻るとみられ、サービス業や産業活動は引き続き堅調に推移すると予想される。モルディブについては、観光客が高級リゾートから安価なゲストハウスにシフトしているため、2024年の成長率は4.7%と、以前の予測から0.5%ポイント下方修正された。ネパールでは、水力発電の輸出回復が見込まれることから24/25年度は4.6%の成長が予測されるが、水力発電部門以外の回復は依然として遅れるであろう。パキスタン経済は、22/23年度のマイナス成長の後、24/25年度は景況感好転に伴い、2.3%の成長が見込まれる。スリランカ経済は、外貨準備高、送金、観光業が緩やかに回復するのを受け、2025年に2.5%に加速すると予想される。

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世界銀行は、バングラデシュネパールパキスタン 、スリランカ の開発に関する報告書最新版も本日発表した。

 

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