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プレスリリース2024年2月15日

ウクライナ復興・再建に向け被害・ニーズ調査の最新版を公表

キーウ、2024年2月15日—ロシアによるウクライナへの全面的侵攻から約2年の本日、ウクライナ政府、世界銀行グループ、欧州委員会、国連は共同で最新版の被害・ニーズ調査 (RDNA3)を公表した。それによると、ウクライナの再建と復興にかかる総費用は今後10年間で4,860億ドルとなり、1年前の推定4,110億ドルから増加している。

2024年だけで、ウクライナ当局は国家と地域社会の両レベルで、当面の再建と復興の優先事項に約150億ドルが必要と見積もっている。優先事項は特に住宅、ソフトインフラ、サービス、エネルギー、運輸の復旧と並行して民間セクターの支援と動員に特に重点を置いている。RDNA3は、この資金のうち約55億ドルがウクライナの国際パートナーとウクライナ独自のリソースの両方から確保される一方で、約95億ドルが現在不足していることを強調している。

「全面戦争の継続にもかかわらず、ウクライナ政府は国際パートナーの支援を得て、迅速な復興プログラムの実行を続けている。 3回目となる被害・ニーズ調査 (RDNA3) の実施によって、このプロセスにより体系的なアプローチが可能となる。この取り組みに対する世界銀行と他のパートナーに感謝する」とウクライナのデニス・シュミハリ首相は述べた。 「過去1年間、復興のニーズが高まり続けている。その主な資金は、西側諸国に凍結されているロシア資産の没収であるべきだ。すでに今年からこのプロセスを開始する必要がある。同時に、ウクライナ政府は民間投資を誘致する条件を整えており、これにより復興プロセスが加速され、我が国をEU加入に向け変革することになる」

欧州委員会のオリヴェール・ヴァールヘイ 委員(欧州近隣政策・拡大交渉担当)は次のように語る。「ロシアの侵略戦争はウクライナに広範な影響を及ぼし続けている。EUは、本日のRDNA3報告書で特定された短期および中期の課題に対処する上で、引き続き重要な役割を果たす。RDNA3は最新情報を利用できるようにすることで、『ウクライナファシリティ』と『ウクライナ計画』を通じて復旧、再建、近代化の取り組みへのさらなる集中を支援する」

RDNA3は、2022年2月24日のロシアのウクライナ侵攻から2023年12月31日までのほぼ2年間に生じたウクライナへの損害を対象としており、現在約1,520億ドルに達していることが判明した。そして最も影響を受けたセクターは住宅、運輸、商業、工業、エネルギー、農業だった。被害はドネツク、ハルキウ、ルガンスク、ザポリージャ、へルソン、キーウの各州に集中しており、これは過去のRDNA調査結果と同じである。

ウクライナ全土で住宅ストックの10%が損傷または破壊されており、住民の地元コミュニティを奪われた状況が長期化している。2023年6月のカホフカダムと水力発電所の破壊は、環境と農業に重大な悪影響をもたらし、住居、水、食料、医療サービスへのアクセスに既に苦労している人々の状況をさらに悪化させた。RDNA3は、短期的な回復と中期的な再建のための重要な投資ニーズをリストアップしている。そして、国家予算やパートナーや国際社会から提供される支援を通じてすでに満たされているニーズを可能な範囲で考慮、除外している。

RDNA3 はまた、民間セクターの関与を促進し、包摂的でグリーンな回復を確実にする改革と政策の継続と、さらにプロジェクト計画を中期予算計画プロセスに統合する必要性を強調している。

 「過去2年間、ウクライナの国家と国民は前例のない苦しみと喪失を経験した」世界銀行の アントネラ・バッサーニ副総裁(欧州・中央アジア地域担当)は語る。 「しかし、この最新のRDNA3調査は、大規模な被害とその結果発生するニーズを記録するものであると同時に、ウクライナの回復力の証でもあり、国民の献身と適応力がすでに被害の一部を修復し、復興に向けた歩みを進めていることを示している。ウクライナ当局が経済回復と野心的な改革に向けて歩み続ける中、われわれ世界銀行グループは、より良い未来を確保するためにウクライナ当局と協力することに引き続き深く関与していく所存である」

RDNA3の調査結果は、EUによる今後4年間のウクライナ・ファシリティに基づく支払い実施の枠組みとなるウクライナ計画の改革と投資の課題で予想される優先事項を補完するものだ。ウクライナがEU加盟プロセスの準備を進める中、これら改革と投資は「(破壊前)より良く再建」の原則と国および地方当局の制度的能力を支援する。

前回の調査(RDNA2) 以来、ウクライナ政府はパートナーの支援を得て、いくつかの最も緊急なニーズに応えてきた。たとえば、ウクライナ政府のデータによると、2023年に住宅部門の復興に10億ドルが支出され、そのほとんどが損傷した建物の修理と再建に充てられた。運輸部門では、高速道路、幹線道路、その他の国道で2,000kmを超える応急修理が行われた。教育分野では、地方自治体が約500の教育機関を再建し、2023年1月以降、防空壕を備えた教育機関の割合は68%から80%に増加した。

RDNA3には、脆弱な人々のグループやコミュニティへの影響に関するより強力なデータと分析も含まれる。これは、ウクライナの人的資本への投資の必要根拠を示している。

「戦争はまだ終わっていない。それゆえその苦痛も終わっていない」と国連のウクライナ人道支援調査官のデニス・ブラウン氏は話す。「しかし、ウクライナのコミュニティは、独自の包摂的な復興プロセスを推進する上で多大な勇気を発揮しながら献身を続けており、国際パートナーの継続的な支援を必要としている。ウクライナの将来はその国民にかかっている。ここに私たちは投資しなければならない」

10年間で推定計4,860億ドルという復旧・復興の総コストの数字には、現代的で低炭素、包摂的で気候変動に強い未来に向けた再建に必要な対策が含まれている。復旧・復興のニーズが最も高いと推定されるのは住宅(全体の17%)で、次いで交通(15%)、商工業(14%)、農業(12%)、エネルギー(10%)、社会的保護と生計(9%)、爆発危険物管理(7%)と続く。これらすべての部門にわたり、がれきの撤去と管理(必要に応じて解体)のコストはほぼ 110 億ドルに達した。

プレスリリース番号: 2024/ECA/063

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