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プレスリリース 2021年7月19日

世界銀行グループのコロナ対策支援:危機対応として過去最大の1,570億ドルに急増

世界銀行グループは、新型コロナウイルスで多くの犠牲者を出し数百万人が生活に深刻な打撃を受けた途上国を支援するため、過去15カ月間(2020年4月1日から2021年6月30日)に1,570億ドル以上を提供して感染症危機による保健、経済、社会面への影響と戦っている。これは、15カ月間の危機対応として世界銀行グループ始まって以来最大規模であり、危機以前の15カ月間を60%以上も上回る。世界銀行グループの誓約額・動員額は、2021年度(FY21:2020年7月1日から2021年6月30日)だけで1,100億ドル近くに上った(動員額、短期資金、援助受入国実施信託基金を除くと840億ドル)。

新型コロナウイルス感染症危機が始まって以来、世界銀行グループは各国による公衆衛生上の緊急事態への対応、保健システムの強化、貧困・脆弱層の保護、企業活動維持、雇用創出、環境に配慮した強靭で包摂的な回復の始動を支援してきた。

昨年は感染症危機に関連して経済が低迷したが、2021年の世界経済は5.6%の成長が見込まれている。これまでのところ、回復は一様ではなく、世界の最貧国の多くは取り残されている。先進国の約90%は人口一人当たり所得が2022年までに危機以前のレベルに回復するとみられるが、振興国・途上国では約3分の1にすぎないだろう。2020年、1億人近くが極度の貧困状態に陥り、世界全体でみた極度の貧困層は20年ぶりに増加に転じた。

「今回の危機が始まって以降、世界銀行グループは新たに過去最大となる1,570億ドルを誓約または動員した。これは、未曽有の危機に対するかつてないレベルの支援である。」とデイビッド・マルパス世界銀行グループ総裁は述べた。「今回の危機を通じ、途上国がより広範な経済回復を達成するために不可欠な援助を今後も提供していく。世界銀行グループは、途上国が危機に対応し、将来的なショックに対する強靭性を強化できるよう支援するための迅速で革新的かつ効果的なプラットフォームであることを実証している。だがさらに取り組みを強化する必要がある。途上国向けのワクチンが不足していることは引き続き大きな懸念だ。命を守り生計を維持するためにワクチンは不可欠だからだ。」

 

世界銀行グループ誓約額t

(単位:10億ドル)

世界銀行グループ

20年度第4四半期

21年度*

2021年6月までの15カ月間*

国際復興開発銀行(IBRD)

15.1

30.5

45.6

国際開発協会(IDA)

17.2

36.1

53.3

国際金融公社(IFC)

11.2

31.5

42.7

 長期資金(自己資金)

4.9

 

12.5

17.4

    動員額

4.1

10.8

14.9

    短期資金

2.2

8.2

10.4

多数国間投資保証機関(MIGA)

2.4

5.2

7.6

援助受入国実施信託基金(RETF)

1.5

6.4

7.9

合計(短期資金、動員額、RETFを除く)

39.6

84.3

123.9

総額(短期資金、動員額、RETFを含む)

47.4

109.7

157.1

 

*7月14日時点の監査前暫定値

 

2021年6月30日までの15カ月間に、世界銀行グループはバランスシートを拡大し、レバレッジと実行を加速させ、資金を前倒しした。国際復興開発銀行(IBRD)の対象国への支援は、理事会が承認した持続可能な年次貸出制限に加えIBRDの危機準備金100億ドルの取り崩しを含め、総額で456億ドルに達した。国際開発協会(IDA)による世界の最貧国に対するグラントおよび無利子または低利子での融資は533億ドルに上った。資金ニーズの高まりに対応するため、世界銀行は2020年度にIDA第18次増資(IDA18)の未実行資金を全額使い切り、3年分のIDA19資金全額の約半分を2021年度に前倒しした。2021年2月、IDAのドナー国と借入国の代表が、今後数年間に引き続き多額の資金を提供できるようにするため、IDA20の交渉を12カ月前倒しで実施することで同意した。

さらに、上記の15カ月間に、世界銀行グループで民間セクター開発を手がける国際金融公社(IFC)の投融資額が過去最大の427億ドルに達した。ここには、短期資金(104億ドル)と動員額(149億ドル)が含まれ、その内37%は低所得の脆弱・紛争国に対するものだった。IFCは、企業の事業継続を支援するため流動性を供給すると共に、危機対応の最前線に立つ企業への投資を拡大した。今回の危機が引き起こした貿易収支の悪化に対応するため、IFCは貿易とサプライチェーンを対象とする投融資を拡大した。IFCは引き続き、「川上」段階での取組みを通じ、世界で最も困難な状況の一部で切実に必要とされる民間投資を誘致する環境を整えることで、民間セクターのより迅速な回復の基盤を構築していく。

借入国と金融市場の双方にとって困難な1年ではあったが、IDAが昨年度に投資家から調達した資金は100億ドル近くへと倍増した。世界各国の投資家からのIBRDによる調達額は680億ドルに上った。共にAAA/Aaaの格付けを得ているIBRDとIDAだが、様々に異なる開発テーマに対する関心を高めたことも、持続可能な開発のための資金動員に貢献した。例えば、昨年度、ユニセフを通じた感染症危機への世界的対応を支援するためIBRDが5年物1億ドルのユニークな債券を発行するなど革新的取組みが実施された。IFCもやはり、AAA/Aaaの格付けを受けており、新興国における民間セクター開発と雇用創出のために130億ドル近い債券を発行した。

多数国間投資保証機関(MIGA)は、途上国へのインパクトのある外国直接投資の促進を目指しており、危機発生後の15カ月間に76億ドルの新規保証を発行した。この内19%はIDA支援対象国および脆弱国におけるプロジェクトに充てられた。

21年度、世界銀行グループの気候変動対策資金は総額で過去最大の260億ドルを上回り、やはり記録を塗り替えた20年度の25%増となった。2021~25年を対象とする新しい気候変動行動計画は、気候変動対策と開発プロジェクトの目標を統合しようというもので、今後5年間に世界銀行グループによる支援全体の平均35%を気候変動対策資金とし、世界銀行による気候対策資金の内、少なくとも50%は適応に充てるとしている。また同じく今後5年間に、世界銀行グループはパリ協定の目標に沿った資金提供を図り、パリ協定の「自国が決定する貢献(NDC)」と「長期戦略」の実行・更新の支援を含め、各国による気候コミットメントを支援していく。


プレスリリース番号: 2022/001/EXC

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東京:
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yhiraki@worldbankgroup.org
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