プレスリリース

世界銀行総裁、貧困撲滅のために貸出余力を1000億ドル相当拡大

2014年4月1日


(仮訳)

革新的な融資手法の導入、民間セクター支援拡大

ワシントン、201441 ジム・ヨン・キム世界銀行グループ総裁は本日、変化する途上国のニーズに適切に対応するため、世界銀行グループの財務基盤強化に向けた一連の施策を発表した。これには、中所得国向けに支援を提供する国際復興開発銀行(IBRD)の貸出上限額の今後10年間での1000億ドル拡大、革新的な財務管理手法の導入、民間セクター支援の強化などが含まれる。これに先立ち2013年12月には、世界銀行グループの最貧国向け基金である国際開発協会(IDA)の第17次増資で過去最高の520億ドルが合意された。

世界銀行・IMF春季定期会合を目前に控えキム総裁は、ワシントンにある外交問題評議会(CFR)で本日スピーチを行い、2030年までに極度の貧困を撲滅し、途上国の所得の下位40%の人々のために繁栄の共有を促進するという目標のために、世界銀行が行っている準備について概要を説明した。

「理事会のご支援により、IBRDの中所得国向け年間新規貸出承認額が、これまでの年間150億ドルから280億ドルへとほぼ倍増した。これは、今後10年間で、IBRDの貸出上限額、すなわち世界銀行のバランスシートに計上可能な貸出額の合計が1000億ドル増え約3000億ドルに達することを意味する。」とキム総裁は述べ、「さらにこれに、国際開発協会(IDA)の第17次増資が加わる。IDAは過去最高を記録した今回の増資により、今後新たに約520億ドルを最貧国向けの贈与や譲許的融資に活用できるようになる。」と説明した。

IBRDの貸出条件の見直し

また、今後3年間で4億ドルの経費節減を行い、それを途上国に再投資するという先の決定に加え、キム総裁は、中所得国を対象に貸出やリスク管理商品などの金融サービスを提供するIBRDの一連の施策について概説した。これによりIBRDは、クライアント国に提供するサービスを大きく改善することができる。

  •  単一国への貸出上限額の引き上げ:ブラジル、中国、インドネシア、インド、メキシコへの貸出上限額をそれぞれ25億ドル増額する。但し、増額分に対しては0.5%手数料を上乗せ。

  • 資本金対比の貸出上限額の拡大:これまで一定の比率内に制限してきた資本金対比を緩和することにより、貸出可能総額を拡大。これは、貸出先に対する信用リスク体制の改善を反映して実現。堅実な財務方針を維持しつつ、資本金の貸出への効率的活用が可能に。

  • 貸出条件の変更:未実行貸出に対するコミットメント・フィー(0.25%)の復活、貸出期間の長期化ならびに多様化。

今回の見直しにより、IBRDの年間新規貸出承認額は、現在の150億ドルから直ちに250億ドル以上に増額できる。またこれに伴いIBRDの貸出能力が拡大し、今後10年間にバランスシートに計上可能な貸出上限額をこれまでの2000億ドルから約3000億ドルに引き上げることによって、加盟国の経済危機時には世界銀行はより多様な支援を行うことが可能となる。さらに、新興国と途上国のインフラ資金需要が年間1.2~1.5兆ドルに上ると見られる中、IBRDの貸出余力の拡大がもたらす資金は、こうした国にとって、市場から直接調達するよりも相対的に魅力的であろう。

MIGAの革新的施策 :「一つの世界銀行グループ」に近づくために

キム総裁はまた、世界銀行グループの各機関が効率化を目指し、これまで以上に密接に協力していることに触れた。 

例えば、世界銀行のグループ機関として政治的リスク保険を手がける多数国間投資保証機関MIGAは、IBRDとの間で革新的な「与信枠交換協定」を結んだ。これにより、IBRDとMIGA両機関のポートフォリオの多様化が図られ、さらなるビジネスを支援を可能とする与信枠の効率的運用が行われる。第1回目の交換は、ブラジルに対するIBRDの与信額と、政府の債務支払い不履行に対するMIGA保証により生じたパナマに対するMIGAの与信額との間で行われる。この協定によりIBRDとMIGAは、ブラジル、パナマそれぞれの国に恩恵をもたらす追加のビジネスが可能となる。

キム総裁はまた、MIGAが今後4年間に新規保証額を50%近く増やすと述べた。

貧困撲滅に向けた民間セクターの活用

キム総裁は、国際金融公社IFCが、世界銀行グループが掲げる2つの目標達成のために支援拡大を検討中だとし、今後10年間に投融資総額をほぼ倍増すると述べた。

「IFCは途上国の民間セクターを支援する国際金融機関として最大規模を誇り、今後10年間に投融資ポートフォリオをほぼ倍増させ900億ドルとする予定のほか、10年後にはIFCの新規コミットメント額は年間260億ドルに達すると見込んでいる。」とキム総裁は述べた。

この10年間で見ると、世界銀行グループの途上国向け支援は、2004年度の258億ドルから昨年度には526億ドルと倍増している。IBRDの貸出余力の拡大、過去最高を記録したIDA第17次増資、そしてIFCとMIGAの業務拡大がもたらす相乗効果は顕著なものになるだろうとキム総裁は述べた。

「世界銀行グループ全体の年間コミットメントをみると、現在のおよそ450~500億ドルから今後数年間で700億ドル以上に増えると予想される。これほどの資金力の拡大は、かつてないことだ。こうして世界銀行グループは、今後数年間、数千億ドルに上る資金を毎年動員・活用できるようになる。」と同総裁は説明した。

自己資本管理の枠組み強化

CFRで行った今回のスピーチの中でキム総裁は、「我々が、途上国が直面する主要課題に対応するためには、世界銀行の財務基盤を強化し、収益拡大と資本増強を可能にする能力と資金力を確保する必要がある。」と語った。

もう一つの施策は、IBRDの自己資本が生み出す利息収入を安定化・確保することにより、世界銀行グループの財務の持続可能性を強化することだ。「自己資本管理枠組み」の導入により世界銀行幹部は、これまでの財務方針を逸脱することなく、市場やグローバル経済の悪化に対して、より柔軟に対応することが可能となる。この枠組みは、IBRDの収益の大きな部分を占める自己資本がもたらす収入が市場金利に左右されるのを抑えるもので、慎重なガバナンスとリスクの監視を通じて、収入の安定化と保護を目的としている。

より良い「ソリューション・バンク」となるために

キム総裁は、途上国が今後、開発問題へ取り組む際の支援にあたり、世界銀行グループの体制が、しっかり整っていることを強調した。

「世界銀行は現在、以前にも増して『ソリューション・バンク』に近づきつつある。さらに、各国が包摂的な成長を遂げて、貧しい人々や脆弱な人々が貧困から脱出できるよう、業務と人材を整合させて、その後押しをしていきます。」

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プレスリリース番号:
2014/411/ECR

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