世界銀行では、日本人の採用を積極的に行っており、現場で活躍している日本人職員が帰国する際に、皆様に世界の開発課題や世界銀行の活動を紹介するセミナーを実施しています。
今回は、池田洋一郎 業務政策・借入国サービス総局業務担当官から、バングラデシュ事務所、世銀本部での3年間の経験をもとに、「開発成果を出せる世銀を創るには?」について紹介しました。
世界銀行は、顧客や株主が求める「開発成果(リザルツ)」を定義し、その実現に向けた進捗状況を把握・測定し、そして、その結果から学ぶための様々なプロセスやツールを、個別のプロジェクト、戦略、そして組織全体のレベルで導入してきました。しかし、世銀の職員や幹部が顧客と共に、これらを積極的に活用していくには、なお乗り越えなければならない壁が幾つもあります。では、世銀を真に開発成果を重視し、成果を出せる機関とするためには、どのような改革案を実行に移さなければならないのでしょうか?当日は、バングラデシュの現場と、改革実施の中枢とも言える業務政策・借入国サービス総局で、世銀を成果重視の機関とするために3年間奮闘してきた担当者が、世界銀行の開発成果管理の枠組み、世銀のパフォーマンスの傾向、今後の課題、課題を解決するための組織改革の現状について紹介し、ご参加者の皆様と意見交換を行いました。
スピーカー
池田洋一郎
業務政策・借入国サービス総局業務担当官
2001年3月、早稲田大学政治経済学部政治学科を卒業し、同年4月、財務省に入省。主計局、広島国税局、金融庁総務企画局を経て2006年9月よりハーバード大学ケネディスクールに留学。2008年6月同大学院にて公共政策学修士号(Master in Public Policy)取得・卒業。卒業後は、2008年7月財務省国際局にて世界金融危機、欧州債務危機にIMF、G7、G20の担当として対応、その後世界銀行と日本の協働プログラムの企画・立案等を担当。2011年夏より世界銀行に移籍。バングラデシュ現地事務所で2年間勤務する間、ローカルNGO-バングラデシュ政府-世界銀行の協働による市民参加型のプロジェクト・モニタリングの仕組みの確立や成果に焦点を置いたポートフォリオ管理等を担当。2013年夏より米国ワシントンの世銀本部に異動し、業務政策・借入国サービス総局業務担当官として、世銀をより開発成果を重視する機関とするための改革に携わった後、帰国。著書に「ハーバード・ケネディスクールからのメッセージ~世界を変えてみたくなる留学~」、「バングラデシュ国づくり奮闘記~アジア「新・新興国」から日本へのメッセージ~」(ともに英治出版)。