プレスリリース

太平洋島嶼国の自然災害に対する強靭性強化のための保険ファシリティを新設

2016年11月2日


世界銀行、保険イニシアチブの契約期間が5年目に入り、新たな実施ファシリティを設立

ワシントン、2016年11月2日–世界銀行は、太平洋自然災害リスク評価及び資金援助イニシアチブ(PCRAFI)保険が契約期間5年目に入り、また、「PCRAFIファシリティ」の中核となる保険会社をこの度設立したと発表した。この新たな保険会社はクック諸島に本部を置き、革新的で競争力のある保険を提供していく。

同ファシリティは、クック諸島、マーシャル諸島、トンガ、サモアおよびバヌアツに対し初めて保険の付保を実施した。これに対する再保険は、損保ジャパン日本興亜、三井住友海上、東京海上日動火災保険、スイス・リーおよびミュンヘン再保険(子会社のニュー・リー経由)が引き受ける。これらの太平洋島嶼国は、サイクロン、地震および津波に対して総額3,820万ドルの保険を掛けている。世界銀行財務局は、加入諸国が国際再保険市場から競争力のある保険料率を確保できるよう中心的な役割を果たした。

クック諸島のマーク・ブラウン金融・経済管理担当大臣は、「サイクロンや地震に対する保険を太平洋島嶼国に付保するうえで、これを支援するためにPCRAFIファシリティが設立されたことは喜ばしい。ファシリティが育ち、追加商品が開発され、私たちが太平洋地域の災害後資金ニーズをより良く満たす上で支えてくれることを期待する」と述べている。

新ファシリティは、世界銀行を受託者とし、ドイツ、日本、英国および米国の資金支援を得て設立されたPCRAFIマルチドナー信託基金から運営初年度の資本金として600万ドルを受けとることになっており、これにドナー4カ国がG7気候リスク保険拡充のイニシアチブの一環として太平洋島嶼国に供与した4,000万ドル超のグラントと合わせた規模となる。

世界銀行のマイケル・カーフ局長(東ティモール・パプアニューギニア・太平洋島嶼国担当)は、「PCRAFIファシリティの設立は、太平洋島嶼国の財務面を強化しつつ、国内予算に負担をかけることなく、災害後の資金調達を円滑に行うことを目指したPCRAFIプログラムの第2期の一部である。災害および気候リスクに対処する資金調達を担う同ファシリティの運営については、当事者各国が主導することになるため、将来の災害および気候リスク・ソリューションの設計に同諸国が主体的に管理ならびに関与することができるようになる」と述べている。

こうしたPCRAFIファシリティの運営に加え、PCRAFIマルチドナー信託基金は、PCRAFIファシリティ、各地域機関および受益者である太平洋島嶼各国財務省の組織能力を強化するプログラムに対して技術的支援も行う。技術支援の重点は、自然災害に対する公的資金管理に置かれる。

PCRAFIファシリティは2016年6月10日、グループ・キャプティブ保険者を有する理事会を置く財団としてクック諸島で正式に設立され、同年9月22日、キャプティブ保険ライセンスを取得した。

 

太平洋自然災害リスク評価及び資金援助イニシアチブ(PCRAFI)第2期について
PCRAFIプログラムの第2期の目的は、太平洋島嶼国の災害に対する財務面を強化しつつ、国内予算に負担をかけることなく災害後の資金調達を円滑に行うことことにある。第2期の重点は災害リスクに向けた資金調達のみに置かれ、その内容は(i) PCRAFIファシリティおよび(ii) PCRAFI技術支援プログラムの2本柱から成る。PCRAFIプログラム第2期は世界銀行、太平洋諸島フォーラム事務局、太平洋共同体事務局による共同イニシアチブで、ドイツ、日本、米国および英国からの資金支援を受けて いる。第2期は、太平洋島嶼国の災害に対する強靭性の構築に資する災害リスク管理と財務ソリューションを提供することを目指し2007年に立ち上げられたPCRAFIプログラムの第1期の成果である。これを補完する災害リスク管理の取り組みが、太平洋レジリエンス計画のもとで進められている。

 

太平洋自然災害リスク評価及び資金援助イニシアチブ(PCRAFI)について

2007年に立ち上げられたPCRAFIの目的は、太平洋島嶼国の災害に対するレジリエンスの構築に資する災害リスク管理と財務ソリューションを提供することにある。PCRAFIは、世界銀行、太平洋共同体事務局(SPC)、アジア開発銀行による共同イニシアチブで、日本政府、防災グローバル・ファシリティ(GFDRR)、欧州連合(EU)から資金提供を受けている。

 

太平洋レジリエンス計画(PREP)について

太平洋地域における災害および気候変動による危険な事象がもたらす課題に対処するため、PREPは世界銀行が今日まで取り組んでいるPCRAFIのような国別および地域プログラムの統合をはかる。PREPの目的は、(i)早期警戒および防災の強化、(ii) 重要な公共資産の強靭性および改築への投資を優先するとともに増額をはかり、国際基準を満たしていくための枠組みの構築および(iii)災害事象に対する財務面の強靭性の強化を通じた各国の災害後対応能力の向上にある。PREPのもとで、太平洋島嶼国は2018年10月までの保険料の融資を受けている。

 

太平洋自然災害リスク評価及び資金援助イニシアチブ
Pacific Catastrophe Risk Assessment and Financing Initiative (PCRAFI) (PDF、英語)

G7気候リスク保険拡充のイニシアチブ
G7 InsuResilience Initiative (英語)

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