プレスリリース

中東・北アフリカ諸国に雇用創出、サービス向上のための新たな社会契約を

2015年4月15日


ワシントン、2015年4月15日―中東・北アフリカ地域(MENA)の経済を分析する世界銀行の「中東・北アフリカ地域経済モニター」最新版は、同地域のGDP成長率が、2015年、2016年を通じて3.1~3.3%のまま横ばいで推移するだろう、と予測している。一部の国で長引く紛争と政治不安、石油輸出国の成長の足かせとなっている原油安、そして遅々として進まない改革などがいずれも、投資低迷、高失業率、そして地域全体で4年ぶりの赤字転落の要因となっている。

域内全体の平均成長率からは読み取れないが、経済見通しには国によってばらつきがある。「域内諸国の3分の1を占める石油輸入国は、2015年には約4%の成長が見込まれる。その背景には、原油安だけでなく、特にエジプトとモロッコなどで見られる政策改革がある。」と、世界銀行のハーフェズ・ガーネム副総裁(中東・北アフリカ地域総局)は述べている。

一方、石油輸出国の景気は急速に冷え込んでいる。イラクやリビアなど紛争が泥沼化した国は、今年、マイナス成長となる可能性がある。湾岸協力理事会(GCC)の加盟国では今年、原油安のために、加盟国のGDP合計の14%に相当する約2,150億ドルの損失が予測されている。ただしイランだけは、核開発をめぐる交渉が4月初旬に合意に達し、経済制裁の全面解除が実現すれば、成長が加速し、2016年の成長率も5%に達すると予測される。

同地域の過去4年間の景気低迷は、若者や女性を中心とする高失業率や、教育・保健分野といった基本的サービスの質の低さといった長年の問題が依然として解決されていない現状を浮き彫りにしている。

同報告は、国家による保健・教育サービスの無料提供、食糧・燃料の補助金交付、公的セクターでの雇用創出といった旧来型の開発モデル、つまり社会契約が既に限界に達したとしている。「社会契約は、公務員の雇用はもちろん、就学率上昇や基礎的保健医療の普及には貢献したが、質の高い教育・保健サービスの提供や、民間セクターでの雇用創出は実現出来なかった。」と、世界銀行のシャンタ・デバラジャン中東・北アフリカ地域総局チーフ・エコノミストは述べた。質の高い保健や教育サービスを提供するには、医師や教員が患者や生徒に対して説明責任を果たす事が求められるが、これは、中央政府が資金を出して作ったシステムでは達成は難しい。さらに民間セクターでの雇用創出には、政治的に結び付いた一握りの企業が市場を独占するのではなく、内外の競合企業に市場を開放する必要がある。

同報告は、民間セクターの雇用創出と公的サービスの質向上を実現するための新たな社会契約が必要だと指摘している。それは、国家が国内市場の競争を促し、市民がサービス提供者に説明責任を求める事を可能にする契約でなければならない。「中東・北アフリカ地域の各国は、古い社会契約の下で数々の成果を上げてきた。新たな契約の下でも、一層の成果を達成出来るだろう。」と、同チーフ・エコノミストは述べた。



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