プレスリリース

世界銀行、環境・社会セーフガード政策強化に向けた プロポーザルの協議開始

2014年7月30日


新ドラフトの枠組みは、弱者や先住民族、コミュニティ、環境を対象とする
現行保護政策の維持と推進が目的

ワシントン、2014730―世界銀行理事会の開発効果委員会は本日、世銀の投資プロジェクトが影響を与える人々及び環境社会配慮を確保するためのセーフガード政策を改訂するため、第一ドラフトに関するパブリックコンサルテーションの開始を承認した。

今回の環境・社会フレームワークのプロポーザルの目的は、過去数十年実施されてきた現行セーフガード政策を基に、より効率的かつ効果的に適用・実施できる統合フレームワークを形成することにある。 

世界銀行のカイル・ピータース業務政策・被支援国サービス担当副総裁は、「世銀の環境・社会セーフガード政策は、世銀支援プロジェクトが人々や環境を保護する上でその中核を成すものです。現行の政策は成果を上げてきましたが、途上国が直面する課題はこの20年間で変化しています」と述べた。

今回承認されたドラフトは、不利な立場にある弱者、先住民族、コミュニティ、環境の保護強化をはじめ、病害虫管理、ダム・道路の安全性、自然生息地、有形文化資源に関する文言を含めるなど、現行の保護政策を維持、拡張することを目指している。さらに差別禁止の重要性も強調している。

「先住民族に関しては現行の保護政策を拡大し、『先住民族の事前の自由なインフォームド・コンセント原則』を導入することを提案しています」と、マーク・キング環境・社会基準主任担当官は述べる。「また、民族間の緊張が高まったり紛争を引き起こす危険がある場合や、特定のプロジェクトの影響下にある人々と協議した結果、先住民族の特定において当該国憲法と相違が生じる場合など、例外的な状況においては、別のアプローチで先住民族を保護することを提案しています。ただし、その場合は、加盟国全体を代表する世銀理事会の承認が必要となります。」

さらに、キング主任担当官は、「今回のドラフトは、生物多様性保全を強化し、自然生息地や森林については現行のセーフガード政策に加えて一段と厳格な規定を導入する予定であり、自然生息地にかかる危険や負の影響をいかに緩和するかについて、より明確に説明しています」と加えた。

第一ドラフトは、40か国以上、約2000人との5か月にわたる協議と、他の国際開発金融機関の環境・社会基準のレビューを経て策定された。

同ドラフトには、環境・社会の持続可能性に関するビジョン表明、世界銀行の責任の及ぶ範囲を述べた政策、そしてパートナー国に義務付けられた環境・社会基準10項目が含まれている。

また、今後協議されるドラフトには、環境・社会面のリスクと影響の評価と管理、労働・業務条件、効率的な資源利用と公害管理(気候変動や他の関連問題に対する配慮を含む)、コミュニティの健全性と安全性、住民の経済的喪失または物理的移転(非自発的移転)、生物多様性保全と自然資源の持続可能な管理(森林、生息地、食糧の安全性・責任ある収穫・国際基準といった生命活動による生産)、先住民族、有形文化資源、仲介金融機関とステークホルダーとの関わりが含まれる。

「これらの基準案は、定義やガイダンスをより一層厳密にし、世銀と借入国の果たす役割を明確化することを目指しています。またこのプロポーザルの目的は、世銀支援プロジェクトに起因する環境・社会リスクと影響を管理する際の世銀の能力を高め、さらにプロジェクト期間を通じて、リスクの評価、管理、緩和を図っています」と、ステファン・コバール業務リスク管理局長は述べている。

ピータース副総裁は、こうした複雑な問題の間で適切なバランスを保ったプロポーザルを作成することが課題であるとしている。

「我々が取り組んでいるのは、貧困削減と途上国の所得の下位40%の人々の収入向上を助ける上で最も重要な課題です。各国の人々がより良い機会に恵まれるよう、生活を改善し、実際に問題を解決できる分野に視点を集中できるようなフレームワークを形成したいと考えています。」

世銀は、2014年8月から12月にかけてステークホルダーから、環境・社会フレームワーク案のドラフトに対するフィードバックを求めていく。政策の変更についてその背景を説明し、また実施に伴う業務への影響についても理解を求める。その後フレームワーク案のドラフトは、世銀理事会の開発効果委員会により再度検討される。

コンサルテーションの参考資料

フレームワーク案のドラフトや予定などコンサルテーションの全容は、専用ウェブサイト (www.worldbank.org/safeguardsconsultations) にて随時公開される。また、本ドラフトは、英語、アラビア語、中国語、フランス語、ポルトガル語、ロシア語、スペイン語で閲覧できる。ステークホルダーは、コンサルテーションの専用ウェブサイトを通じて、又は各国で実施されるパブリックコンサルテーションの場で、本ドラフトに対するコメントを寄せることが可能。

詳細: www.worldbank.org/safeguardsconsultations

お問い合わせはEメール(safeguardconsult@worldbank.org)にて受付



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thirai@worldbankgroup.org


プレスリリース番号:
2014/054/ECR

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