ワシントン、2025年10月7日 – 世界銀行による中東・北アフリカ地域、アフガニスタン、パキスタン(MENAAP)の経済報告最新版「雇用と女性:未開発の人材、未達成の成長」は、同地域の経済見通しが改善し、成長率は2025年に2.8%、2026年に3.3%に達する見通しだとしている。しかし、世界的な不確実性、貿易政策の変化、なおも続く紛争と強制移住がいずれも、潜在的なリスクとなっている。
湾岸協力会議(GCC)加盟国は、石油の自主減産の段階的縮小と非石油分野の成長の恩恵を受ける可能性が高い。石油輸入国もまた、民間支出や投資、農業や観光業の回復により、経済の好転が見込まれている。しかし、石油輸出に依存する途上国は紛争や石油減産により大幅な減速となる可能性がある。
報告書は、域内諸国が労働力の可能性を最大限に引き出せば、より多くの人々の暮らしを改善できるとしている。現在、女性の才能やスキルの活用は依然としてとても十分とは言い難い。データによると、教育とスキルが大幅に向上したにもかかわらず、労働力に参加している女性の割合は世界で最も低く、約5人に1人にとどまる。
「部分的な措置ではなく、意欲な行動を強く求める」と、のウスマン・ディオン世界銀行中東・北アフリカ地域、アフガニスタン、パキスタン総局副総裁は述べた。地域の女性の可能性を最大限に引き出すためには、包括的な措置を講じて女性の包摂を阻むあらゆる障壁に取り組まなければならない。雇用を創出し願望を実現する活気に満ちた民間セクターが真の進歩の鍵となる
報告書は、世帯の選択、社会規範、法的基準、企業の役割を考慮した上で分析を実施し、女性の完全な労働力参加を妨げる障壁を取り除くことで、MENAAP経済がどれだけの利益を得ることになるかを試算している。こうした制約の解消によりこれほどの恩恵を受ける地域は他にみあたらない。
「女性の労働力参加の拡大は、莫大な経済的利益をもたらす可能性がある」と、ロベルタ・ガッティ世界銀行中東、北アフリカ地域、アフガニスタン、パキスタン総局チーフ・エコノミストは述べた。「女性が仕事に就くことを妨げる障壁を取り除けば、エジプト、ヨルダン、パキスタンなどの国々では、国民一人あたりGDPが20〜30%増加する可能性がある」