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プレスリリース 2020年6月17日

気候変動対策資金のインパクト拡大に大きな可能性、新報告書が指摘

世界の気候変動対策に関する公的資金の透明性向上に向けた8つの方策

ワシントン、2020年6月17日  – 

世界全体として気候変動対策用の資金は、近年大きく伸びてきたものの、途上国における気候変動対策への投資ニーズに照らすと、利用可能な公的資金は依然として大きく不足している。

新型コロナウイルス感染症の流行により低迷する経済の刺激策を打ち出せば、各国は持続可能な回復へと踏み出すことが可能である一方、気候変動対策が大きなインパクトをもたらすためには、限られた公的資金を用いてほかの財源からはるかに多くの資金を引き出すことが前提となる、と同報告書は指摘する。

「今こそ、気候変動対策資金の有効性とインパクトをいかにして高めるべきかを検討すべきだ。」と、マーク・サドラー世界銀行気候変動対策資金管理ユニットのプラクティス・マネージャは述べる。「環境に配慮した開発を進めることで経済的恩恵を拡大すれば、気候変動対策資金はより強力に対策を推進することができるようになる。気候変動対策資金を戦略的に配分しつつ、同報告書で特定されている重要な方策を用いれば、投入額に対する価値を高め、気候変動に対する強靭性の強化に役立つ。」

同報告書は、気候変動対策の8つの方策を挙げ、途上国が環境に配慮した開発目標達成に当たり最大限に斬新なインパクトをもたらすために、気候変動対策資金をどのように投入するのが最も効果的かを分析している。気候変動対策の8つの方策とは、プロジェクト・ベースの投資、金融セクター改革、財政政策、セクター別政策、貿易政策、イノベーション、炭素市場、気候変動に関する知見である。

同報告書は、変革をもたらすような気候変動対策資金の使い方として、以下の一連の提言をまとめている。

  • 財務手段の多様化:政策ベースの資金調達、成果連動型資金調達、エクィティ・ファイナンス、保証等の手段の活用を拡大することで、気候変動対策に充てられる資金のインパクトを向上できる。
  • より広範かつ体系的な資金活用の拡大:気候変動対策用の公的資金を用いて、民間セクターや政府からの資金調達を最大化すべきである。その際、プロジェクトの枠を超えて経済全体にインパクトをもたらす規模とインパクトが求められる。
  • 長期的な戦略的計画立案との一貫性:資金配分の決断に当たっては、低炭素型で強靭な開発のための長期的戦略に沿いつつ、一貫性のない支出は避けなければならない。
  • 「気候変動に関する知見」への投資-適切な知見の創出は大きな効果をもたらし得る:気候変動対策のインパクトと脆弱性の特定、早期警報技術、長期的シナリオのシミュレーションと計画立案のモデル、暫定的な物的リスク・アセスメント手段を含めた知見をまとめる。

「気候変動対策資金システムはこの10年間に大きく進歩し、規模とインパクトを拡大させてきた。」と、同報告書の共同執筆者でジョナサン・クーニー世界銀行カーボン・ファイナンス上級スペシャリストは述べる。「ただし、その間にも状況が変わってきたため、援助受入国による持続可能な回復を支援するには、どういったプログラムが広範囲にわたり斬新な成果を上げるかを見直すことが不可欠となる。」

報告書全文のダウンロードはこちら。同報告書は、世界銀行の気候変動対策グループが主催した、「持続可能な回復の始動」シリーズの一環として発表されたもので、同シリーズは、持続可能な資金の使い方が新型コロナウイルス感染症拡大からの回復に貢献し、各国が以前よりも強靭なレベルまで回復するために役立つ方法を探るために「気候のためのイノベーション(Innovate4Climate)」との連携の下で進められた。


プレスリリース番号: 2020/224/CCG

お問い合せ

ワシントン
Catherine Sear
(202) 473-5628
csear@worldbank.org
東京
開裕香子
(+81-3) 3597-6650
yhiraki@worldbankgroup.org
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