プレスリリース

ビジネス環境の現状: 過去1年間にビジネス改革を実施した国が過去最多に

2016年10月25日


2016年10月25日、ワシントンD.C. –  世界銀行グループが毎年発表する報告書「ビジネス環境の現状」の最新版は、中小企業の設立・経営を容易にするためのビジネス改革を実施した国が、世界全体で過去最高の137カ国に上ったとしている。

「ビジネス環境の現状2017:すべての人に平等な機会を(Doing Business 2017: Equal Opportunity for All)」と題した同報告書は、過去1年間に実施された改革283件の内、75%以上は途上国が占め、中でもサブサハラ・アフリカが全体の4分の1以上を占めたとしている。

ビジネスの効率性についての今年の国別グローバル・ランキングでは、ニュージーランドが初めて1位の座に就き、2位はシンガポール、以下、デンマーク、香港特別行政区、韓国、ノルウェー、英国、米国、スウェーデン、マケドニア旧ユーゴスラビア共和国が続いた。

改革の実施により改善の大きく進んだ上位10カ国は、ブルネイ・ダルサラーム国、カザフスタン、ケニア、ベラルーシ、インドネシア、セルビア、ジョージア、パキスタン、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーンであった。

同報告書は、過去1年間のビジネス環境の改善が概して所得格差の縮小に対するものであった事から、貧困削減と繁栄の共有促進に貢献したとする調査結果に言及している。

「上位にランクインした国に共通する特徴で他国もすぐに取り入れやすい簡単な方法は、政府が国民に敬意をもって接する事だろう。こうした配慮により、起業気運の高まり、女性のための市場機会拡大、法律の順守徹底など、直接的な経済的恩恵につながる。人は、敬意をもって扱われるとそのこと自体に価値を見出すものだ。他方、それを怠る政府は、国民の信頼を失ってしまう事も忘れてはならない。」と、世界銀行のポール・ローマ―上級副総裁兼チーフエコノミストは述べている。

同報告書がまとめたデータは、各国政府が主要なビジネス改革をこれまで以上に行った結果、ビジネス環境のより一層の改善につながった事を裏付けている。10年前は46日であった新規事業の設立所要期間は、現在世界平均で21日となっている。フィリピンでは、10年前には48項目もの納税が必要であったが、現在では28まで減少している。ルワンダでは、資産譲渡の所要時間が、10年前の370日から、現在は12日まで短縮されている。

同報告書は今回新たに、事業設立、不動産登記、契約執行の3つの指標におけるジェンダー平等の達成度を検証している。その結果、38カ国で格差が認められたが、この内23カ国は、事業設立に当たり既婚女性に男性よりも多くの手順を課していた。また16カ国が、不動産の所有、使用、移転に関して、女性に制限を加えている。こうした国では、雇用者としても従業員としても、民間セクターで働く女性が少ないと、同報告書は指摘する。

更に今年から報告書は、税をめぐる環境の全体像について一層の理解を図るため、税還付、税務監査、税に関する行政不服申し立てなどの申告後のプロセスを納税指標に加えるなど、納税に関する指標の調査対象を拡大している。「ビジネス環境の現状」が最初に発表された2004年以降、納税指標関連の改革は計443件実施されているが、これは改革の件数としては2番目に多く、さらにこの内の46件は過去1年間に実施されている。

改革分野として際立って多かったのは事業設立の要件緩和で、2004年以降586件の改革が実施されてきた。この内、49件が過去1年間に導入されたものだ。

「国の政策は、国内の中小企業の日々の事業運営にとって、極めて大きな意味を持つ。煩雑な規制は、起業家が事業開発や刷新にエネルギーを注ぐ事を妨げかねない。我々がビジネス環境のデータを追跡している理由はまさにそこにあり、今後もスマートで効率的、かつアクセスしやすくシンプルな規制の整備を促進していきたい」と、同報告書を作成した世界銀行のアウグスト・ロペス=クラロス グローバル指標・分析担当局長は述べた。

また、「ビジネス環境の現状」報告書は今年から、公共調達規制に関する指標を試験的に導入し、調達の5つの主要分野である、アクセスと透明性、入札頭金、支払いの遅延、中小企業のためのインセンティブ、不平申立てメカニズムについて、78カ国で調査を実施した。公共調達は、平均してGDPの10~25%を占め、調達市場は民間セクターにとって他にはないビジネス機会を提供している。

地域別に見ると、東アジア・大洋州地域では、世界の上位10カ国の内2カ国(シンガポールと香港特別行政区)、ならびに改善の大きく進んだ上位10カ国の内2カ国(ブルネイ・ダルサラーム国とインドネシア)がある。過去1年間に改革ペースは大きく加速し、ビジネス活動を容易にするための改革が域内で計45件実施された。

ヨーロッパ・中央アジア地域もまた、過去1年間に大きく改革が進み、ベラルーシ、ジョージア、カザフスタン、セルビアが世界の上位10カ国にランクインした。同地域は、1国当たりの改革の平均件数が最も多く、現在、高所得OECD国に匹敵するグッド・プラクティスが整いつつある。

ラテンアメリカ・カリブ海地域では、ビジネス環境の改革の動きが加速し、昨年は域内諸国の3分の2以上が計32件の改革を実施した(前年は24件)。改革の多くは、納税制度の改善、貿易振興、新規事業設立促進を図るものであった。昨年、域内で最も多くの改革を実施した国はブラジルだった。

中東・北アフリカ地域は、2009年以降の改革の件数が最も多く、域内20カ国の内15カ国において計35件の改革が行われた。中でもアラブ首長国連邦(UAE)とバーレーンは、改善の大きく進んだ上位10カ国にランクインした。その一方で、同地域には他のどの地域よりも大きなジェンダー格差があり、域内諸国の70%が女性の起業家に対して障壁を設けている。

南アジアでは、昨年、域内8カ国の内5カ国が計11件の改革を実施した(前年は9件)。改善の大きく進んだ上位10カ国にランクインしたパキスタンは、この1年間に複数の改革を実施した。インドとスリランカも同様である。域内ではビジネス改革の大半が、外国貿易の振興を図るものだった。ただし、アフガニスタンとパキスタンでは、女性起業家に対し、男性にはない障壁を設けている。

サブサハラ・アフリカ地域の国々は、改革の動きを加速させ、過去1年間に37カ国で、前年の14%増に当たる計80件の改革が進められた。ケニアは2年連続で、改善の大きく進んだ上位10カ国に入り、7カ国が過去1年間にそれぞれ4件以上の改革を実施した。一方、同地域では13カ国が、女性起業家に対し、男性にはない障壁を設けている。

「ビジネス環境改善の最重要目標は、特に低・中所得国において、女性と男性の起業家精神を育むことにある。世界中の政府がビジネス環境改善という課題に取り組み、雇用創出を図っている事は、大変喜ばしく、これからも、今年のような成果が続くよう期待したい。」と、「ビジネス環境の現状」プロジェクトのリタ・ラマーリョ・マネージャーは述べた。

報告書全文および関連データはウェブサイトをご覧ください。www.doingbusiness.org

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プレスリリース番号:
2017/082/DEC

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