都市洪水リスクに備える:統合的アプローチで都市のレジリエンスを強化 

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都市洪水は、急速な都市化と気候変動の影響により、都市部で深刻化している自然災害の一つです。こうしたリスクに対応するには、インフラ整備にとどまらず、都市計画、ガバナンス、資金調達を含めた統合的なアプローチが不可欠です。

このような背景のもと、世界銀行東京開発ラーニングセンター(TDLC)は、防災グローバル・ファシリティ(GFDRR)および東京防災ハブと連携し、2026年2月2日から6日にかけて東京および静岡において、都市開発実務者向け対話型研修(テクニカル・ディープダイブ:TDD)「都市洪水管理」を実施しました。本研修には、9か国から都市開発、防災、水管理分野に携わる政策担当者・実務者が参加し、都市計画と洪水リスク管理を結びつける統合的なアプローチや、公民連携の可能性について議論が行われました。

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TDDはフレーミングセッションから始まり、都市洪水管理に関する世界的な課題とアプローチが共有された 。

都市洪水管理における統合的アプローチ 
本TDDでは、洪水リスクを都市計画や投資判断に体系的に組み込むことの重要性が強調されました。特に、グレー・グリーン・ブルーインフラを適切に組み合わせ、各都市の条件や財政状況に応じた最適な対策を検討する必要性が示されました。

また、効果的な洪水管理にはインフラ整備にとどまらず、ガバナンス、資金調達、制度的連携が不可欠であることが確認されました。さらに、長期的な運用・維持管理(O&M)の視点が重要であり、既存の都市資産や民間セクターの技術、コミュニティの参加を活用することで、持続的な洪水管理が可能となることが示されました。

一方で、参加者からは、排水インフラの不足や老朽化、洪水リスク地域への都市拡大、制度的連携の弱さ、維持管理のための資金不足といった共通の課題が共有されました。これらに加え、不適切な廃棄物管理や洪水リスクに対する認識不足といった社会的要因も、対策の効果に影響する重要な要素として指摘されました。

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各国の都市洪水管理の課題について意見交換を行う参加者 たち。

日本の事例:都市開発と洪水管理の統合

日本では、洪水対策を都市開発や土地利用と一体的に進めることで、リスク低減と都市価値の向上を同時に実現してきました。

越谷レイクタウンでは、都市再生機構による土地区画整理事業を通じて、大規模な調整池や河川施設を都市の中に組み込み、洪水リスクの低減とともに、住宅や商業施設への民間投資を促進しています。こうした取り組みは、洪水対策を都市の中核的な資産として位置づけることで、開発と防災の両立が可能であることを示しています。

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越谷レイクタウンの視察の様子。

また、静岡市では、流域全体を対象とした洪水管理が進められており、上流の貯留施設、中流の放水路、下流の河川改修を組み合わせた総合的な対策が講じられています。さらに、公園や校庭などの既存空間を一時的な貯留機能として活用するなど、都市資産を最大限に活かした取り組みも行われています。これにより、都市全体でリスクを分散しながら、限られた資源を有効に活用するアプローチが示されました。

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静岡市では、グリーンインフラとグレーインフラの連携による洪水対策が紹介された。

国際的な知見と実務への応用

南アフリカ・ダーバンの事例では、制度的枠組みやコミュニティの関与、民間セクターや保険の活用が、洪水レジリエンスの持続において重要であることが示されました。特に、非公式居住地など社会的制約のある環境においては、こうした要素が不可欠であることが強調されました。こうした国際的な知見や日本の事例を踏まえ、参加者はそれぞれの国の文脈に応じた対応のあり方について理解を深めました。

参加者の声 

「日本がグレーインフラ、自然を活用した解決策、非構造的対策を組み合わせている点、そして運用・維持管理を初期段階から組み込んでいる点が重要な学びでした。この協働は、ペルーが事後対応型からより予防的でレジリエントなアプローチへ移行するうえで不可欠です。」  

マリエラ・ペレス=コスタ 世界銀行 都市専門官

「都市洪水管理は、公民連携によって強化することができます。貯留池や公園、湿地を組み合わせることで、洪水リスクを低減しながら都市の居住性を向上させることが可能です。」 

フムザ・ジェフリー ウガンダ・ホイマ市議会 都市計画担当

本TDDを通じて、都市洪水管理は単なる工学的課題ではなく、長期的かつ統合的な対応を必要とする都市ガバナンスの課題であることが改めて示されました。参加者は各国の状況に応じた行動指針の策定を通じ、洪水リスクの低減と都市の住みやすさや財政的な持続可能性、そして長期的なレジリエンスのバランスを取るために、優先的に取り組むべき施策を整理しました。こうした行動指針を基盤として、得られた知見を具体的な行動へとつなげ、それぞれの国においてレジリエントで持続可能な都市づくりを推進していくことが期待されます。

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本TDDの参加者たち。

研修の写真はこちらをご覧ください。