

世界銀行東京開発ラーニングセンター(TDLC)は、2025年12月1日から5日にかけて、京都、札幌、東京において「観光と雇用のための都市」をテーマとした都市開発実務者向け対話型研修(テクニカル・ディープダイブ:TDD) を開催します。本プログラムには、観光、地域経済開発、都市管理分野に携わる世界銀行クライアント国10カ国(アルバニア、アルゼンチン、カーボベルデ、ドミニカ共和国、インドネシア、ケニア、モザンビーク、ネパール、パキスタン、スリランカ)から計約50名の政策決定者、技術専門家、民間セクター代表者が参加します。日本の専門家に加え、CPP連携都市、世界銀行グループ、そしてユネスコ、国連世界観光機関(UN Tourism)、世界経済フォーラム、世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)といった国際機関・パートナー組織からの専門家が、1週間を通じて知識と実践的な経験を共有します。
観光は世界で最も成長の速い経済セクターの一つであり、主要な雇用創出源です。2024年には世界GDPの約10%を占め、推計3億5,700万人の雇用を支えました。観光はホスピタリティや交通、文化・クリエイティブ産業など多様な分野への投資を促し、包摂的で多角的な経済成長を牽引します。世界銀行は、観光を大規模な雇用創出が可能な5つの優先セクターの一つに位置づけています。都市が観光に投資することは、雇用や起業、地域コミュニティへの投資につながります。
都市は体験やインフラ、サービスの集積により訪問者を惹きつけ、周辺地域の玄関口としても機能しますが、多くの都市はインフラ不足や規制上の制約、ガバナンスの分断、混雑や住宅価格上昇などの課題を抱えています。観光の潜在力を引き出すには、質の高いインフラに加え、強固なガバナンス、関係機関の協調、企業や地域コミュニティとの連携が不可欠です。
本TDDでは、政策環境の強化、都市・インフラ環境の改善、地域コミュニティや企業との連携がどのように都市の成長に寄与するかを探ります。参加者は観光資源評価、投資の優先順位付け、包摂的な観光地形成につながる政策介入などの実践的フレームワークを学びます。議論では、都市観光が雇用創出や都市財政の強化、文化資産の保全、女性や若者の経済参加拡大につながる国際的知見も共有します。
参加者が今回訪れる東京、京都、札幌は、成長と文化保全の両立、創造的資源の活用、観光圧力への対応など、多様な知見を有しています。世界の事例に加えて、参加者はこれら日本の豊かな観光経験からも学びます。TDLCのプラットフォームを通じた都市との交流は、参加国が自国の状況に応じて持続可能な観光開発と雇用創出を進めるための戦略策定に活かされます。