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BRIEF 2025年9月12日

TDLC、国連ハビタットROAPラウンドテーブル報告:都市計画と質の高いインフラによる住みやすいまちづくり

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都市は急速に拡大しており、特にアジア、アフリカ、中南米では大きな機会と課題を同時にもたらしています。住宅不足、不十分なインフラ、気候リスク、拡大する不平等が都市システムに負担を与えています。都市はどのようにして住みやすく包摂性を保ちながら、成長できるのでしょうか。こうした問いに答えるべく、政策立案者、都市の代表者、専門家が8月22日、東京に集まり、「都市計画と質の高いインフラによる住みやすいまちづくり」をテーマとしたラウンドテーブルが、世界銀行東京開発ラーニングセンター(TDLC)と国連ハビタットアジア太平洋地域事務所(UN-Habitat ROAP)の共催で開かれました。

冒頭では、長谷川実 財務省国際局開発機関課開発機関調整室長および石垣和子 国連ハビタットアジア太平洋地域統括福岡本部長がセッションを開会し、住みやすい都市を実現するためには、政府、学術界、市民社会、そしてビジネス界のパートナーシップが重要な役割を果たすことを強調しました。続いて、オタヴィオ・エンヒッケ・ジアス・ガルシア・コルテス 駐日ブラジル特命全権大使が歓迎のスピーチを行い、社会包摂、強靭性の高いグリーンシティ、インフラへの普遍的アクセスを推進するブラジルの取り組みを紹介し、多国間機関との協力の重要性を強調しました。

都市計画:テクノクラシー(技術偏重)を超えて

基調講演では、アナクラウディア・ロスバッハ国連ハビタット事務局長が、都市計画を持続可能な開発の「背骨」であると位置づけました。「住宅はSDGsの屋根ですが、都市計画はその背骨だ」と述べ、計画には非公式居住地の統合、土地の生態機能、コミュニティ参加を組み込む必要があると強調しました。また、都市が世界の温室効果ガス排出量の70%を生み出していることを忘れてはならないと指摘しました。

日本とエジプトからの事例

基調講演に続き、日本や世界の自治体、民間企業の代表者、専門家が登壇し、ジョン・カー・カウ世界銀行上級都市開発専門官の進行でパネル討論が行われました。

  • 日本・東京都:東浦亮典東急総合研究所取締役社長が、渋谷における公共交通指向型開発(TOD)が土地利用を最大化し、交通の利便性を改善し、都市サービスへの再投資を可能にしたことを説明しました。
  • 日本・札幌市:滝上慶太郎札幌市まちづくり政策局都心まちづくり推進室事業調整担当課長は、地下歩行空間やアカプラ広場などの同市のプロジェクトを紹介し、公共空間を安全で活気ある交流の場に変えた事例を紹介しました。
  • エジプト・ケナ県:ハーレド・マフムード・アブデルハリム知事が、2040年までにケナ県を物流、農業、観光、再生可能エネルギーを推進する地域拠点とする計画を発表しました。新旧都市を組み合わせ、均衡ある農村・都市開発を進めることで、無秩序な移住を防ぐ重要性を訴えました。

共通のフレームワーク

マーク・ロバーツ世界銀行主席都市エコノミストは、住みやすくかつ生産的な都市を築くための三本柱として「計画」「連結」「資金調達」を挙げました。大都市にはコンパクトな成長と包摂的な交通網が、小規模都市には基本的なサービス提供と大都市との連結が不可欠であり、あらゆる文脈で持続可能な資金調達メカニズムが必要だと指摘しました。

これから

東京、札幌、ケナの経験を結びつけることで、本イベントは世界の都市が共通の課題と解決策を共有していることを強調しました。政府、民間セクター、地域社会の連携によって、急速な都市化は持続可能な成長を牽引する原動力へと変えられるのです。