BRIEF 2024年10月8日

TDLC 20周年記念ウェブストーリー:都市開発実務者向け対話型研修(テクニカル・ディープダイブ:TDD)のあゆみと成果


このたび、世界銀行東京開発ラーニングセンター(TDLC)は、20年にわたる日本と世界銀行の強力なパートナーシップの成果を祝うとともに、都市開発の知見共有における日本のリーダーシップ、特に日本の都市、民間セクター、学界による貢献を称える創立記念イベントを2024年10月17日-18日に開催します。 

TDLCが取り組んできた対話型研修、技術協力、各種イベント、出版活動は、国内外で高く評価されており、特に、都市開発実務者向け対話型研修(テクニカル・ディープダイブ:TDD)は知識交換プログラムで、ほぼ隔月で開催されており、 日本の先進的な都市開発事例を学ぶ貴重な機会として認識されています。

今回は、皆様にTDDの歴史と実績、成功事例やその波及効果について一部ご紹介します。

TDLCは、遠隔学習の取り組みとしてすたスタートしましたが、日本の都市開発の知見を途上国の融資事業へつなげる対面形式の研修プログラムへと大きくシフトしました。この変革から生まれたのが、TDLCの代表的なプログラムである「都市開発実務者向け対話型研修(TDD)」です。

Image
参加者間で活発な議論が行われる。

Image
現地視察中にTDD参加者たち。

TDDは、一週間にわたり実施される実践的な研修プログラムで、参加者は、主に世界銀行のクライアント国の政府・自治体関係者や実務者です。彼らは、世界銀行の融資案件担当者とともに来日し、1週間にわたって世界や日本の都市開発のグッド・プラクティスについて見聞します。TDDの特長は、融資者とクライアントという立場を超え、すべての参加者が対等な立場で学び、対話を通じて自国の課題に向き合うことができる点にあります。これにより、他国の事例や日本の成功事例を参考にしながら、自国のプロジェクトに具体的な改善策や新たな視点を取り入れることが可能になるのです。

Image
講義に耳を傾ける参加者たち。

TDLCは、これまでに50回以上のTDDを実施し、87カ国にわたる430のプロジェクト(総額750億米ドル規模)に貢献してきました。取り扱うテーマは非常に幅広く、都市洪水対策や廃棄物管理、コンパクトシティ、公共交通指向型開発(TOD)、高齢化社会への対応、固定資産税、サイバーセキュリティなど多岐にわたります。これらの研修は、日本の都市や政府機関、企業、そして学術機関など、多くのステークホルダーとの連携によって実現されています。

TDDで得られた知見は、各国のプロジェクトの改善にとどまらず、より広範な影響を及ぼしています。これらの知見は、国際会議やグローバルレポートを通じて、さらなる協力や知見交換の機会を生み出しています。その例をいくつかご紹介します。

成功事例とその波及効果の一例

マダガスカルの首都アンタナナリボにおける都市開発と強靭性

2016年にTDLCが実施した「都市洪水リスク管理に関するTDD」は、マダガスカルの首都アンタナナリボの都市開発とレジリエンス強化に貢献しました。人口260万人を抱えるこの都市は、毎年の洪水で都市開発が妨げられていましたが、TDDの知見を活用し、2018年に「アンタナナリボ首都圏・統合都市開発・レジリエンスプロジェクト(PRODUIR)」が開始され、洪水対策や低所得地域の改善に加え、持続可能な都市開発が進められています。2023年には「持続可能で質の高い都市インフラ」に焦点を当てたTDDにも参加し、インフラ投資や洪水管理の技術支援が進められています。

Image
現地視察中に積極的に質問する参加者。

・バングラデシュ・ナラヤンガンジにおける持続可能な都市開発

2016年に東京と富山で開催された「コンパクトシティに関するTDD」では、バングラデシュ・ナラヤンガンジ市の前市長サリナ・ハヤット・アイヴィ氏が富山市の運河再生に感銘を受け、同様のプロジェクトを自国で開始しました。廃棄物を撤去し、街の中心に新たな憩いの場を作り出すことで、同市は住民や観光客に愛される場所へと生まれ変わりました。2023年には富山市で成果報告が行われています。この事例は、TDDが持続可能な都市開発に貢献していることを示しています。富山市はこのほか、高齢化社会のまちづくりにおいても国際的に注目を集めています。

Image
参加者たちがスピーカーの話に熱心に耳を傾けている様子。高齢化社会はますます重要な課題に。

・タンザニアにおける公共交通指向型開発(TOD)と土地開発利益還元(LVC)の活用

また、交通指向型開発(TOD)と土地価値捕捉に関するTDDシリーズで共有された知見は、タンザニアにおける世界銀行プロジェクトに大きく貢献しています。ダルエスサラーム都市交通改善プロジェクト(DUTP)は、日本のTODアプローチに触発され、持続可能な交通システム運営を支えるビジネスの機会の創出に注力しています。また、2021年のフォローアップ支援では、タンザニア都市インフラおよび競争力向上プロジェクト(TACTIC)は土地開発利益還元(LVC)に関連する知見を、ミシンバジ川流域開発プロジェクト(MBDP)では洪水対策について学びました。

Image
オンライン会議でも活発な議論が行われた。

20周年記念イベントでは、これまでの成功事例やその波及効果が各国のプロジェクト関係者からより詳しく紹介されます。また、 TDLCの主要な知見の提供者である、福岡市、広島市、北九州市、神戸市、京都市、富山市、横浜市など、日本の都市も参加し、他国の都市が持続可能な都市開発を進めるために、どのように協力を広げ、深めていけるかについて意見を共有します。 ぜひ皆さまもご参加ください。