

このたび、世界銀行東京開発ラーニングセンター(TDLC)は、20年にわたる日本と世界銀行の強力なパートナーシップの成果を祝うとともに、都市開発の知見共有における日本のリーダーシップ、特に日本の都市、民間セクター、学界による貢献を称える創立記念イベントを2024年10月17日-18日に開催します。
前回は、都市開発実務者向け対話型研修(TDD)の歴史や成功事例をお伝えしましたが、今回は、そのTDDの基盤となっている都市連携プログラム(CPP)についてご紹介します。
CPPは、TDLCの知見共有イニシアティブの基盤となるプログラムです。TDLCは、日本の複数の都市と連携し、各都市開発に関するベストプラクティスや教訓を特定するとともに、TDDや融資事業向け技術協力、出版物を通じて開発途上国の関係者に向けて発信しています。都市化による交通問題、環境問題など様々な課題に取り組んできた日本の都市と連携することで、各国の都市が直面する課題に対し、解決に向けた洞察を提供することができるのです。
CPPの参加都市は、TDLCに関連する分野でリーダーシップおよび実践的な知識、運用面での専門性をもとに選定されています。当初は4都市(北九州市、神戸市、富山市、横浜市)によってスタートしましたが、その後京都市と福岡市、広島市が加わり、現在は7都市がCPPの参加都市として、TDLCとともにTDDや技術協力、出版活動に携わっています。さらに、東京や大阪などの他の主要な日本の都市も、TDLCの知見共有活動に貢献しています。
今回は数多くあるCPP成功例のうち、横浜市と福岡市の「都市間知見共有」の事例を紹介します。
成功事例の紹介
開発途上国においては、富裕層が住むコミュニティと低所得者層が集住する地区が隣接しているケースが珍しくありません。中南米の都市においても、そうした事例が多く、時に住民同士の軋轢を生み出しています。こうした状況において、より包摂的なまちづくりを推進していく手法として、市民が中心となった日本のまちづくりが注目されています。その一例が、横浜市がまとめた市民参加型の都市デザイン手法(「横浜シティデザイン・スケッチブック」)です。TDLCは、このスケッチブック手法を用いて、パナマ市やコロンビアのバランキージャ市で市民と地域の課題を共有し、コミュニティの将来像を描くワークショップを行いました。専門家だけでなく子供を含む一般市民が参加するこのワークショップでは、緑地整備や歴史的遺産の保護、環境に配慮したモビリティ向上などが議論され、持続可能な都市について多くの意見が交わされました。また、TDLCはこの活動を通じて得た教訓をもとに、「横浜シティデザイン・スケッチブック」を刊行し、マダガスカルや他の都市・地域への横展開を図っています。

インドのグジャラート州最大の都市アーメダバード市は、インドで最も住みやすい都市といわれている都市ですが、急速な都市化により近年、大気汚染や公衆衛生に課題が浮き彫りになっています。このため、世界銀行はアーメダバード市の下水管理改善プロジェクト「グジャラート強靭な都市プロジェクト:アーメダバード市強靭性プロジェクト(G-ARCP)」を展開しています。
TDLCは、このプロジェクトを支援することを目的に、福岡市と協働で下水運用・維持管理(O&M)に関する技術協力プログラムを実施しました。具体的には現地幹部を福岡市に招聘し、再現可能なO&M手法や資産管理システムについて学んでもらうワークショップを実施するとともに、福岡市の職員を現地に派遣し、現地の下水道施設に関する助言や現地関係者を対象としたワークショップを実施しました。こうした取組みにより、アーメダバード市の下水サービスの恒常と持続可能な都市インフラの発展に寄与しています。

20周年の記念イベントには、CPP連携都市からの首長をはじめ、これまでTDLCとともにプロジェクトを実施した都市からも参加者が出席し、これまでの取り組みの成果や今後の展望について議論を行います。都市間の知見共有を通じた持続可能な発展に関心のある方々にとって、貴重な学びの場となることと思います。ふるってご参加ください。