ワシントン、2026年4月8日 — 中東で発生した最新の紛争は、周辺地域の国々に深刻かつ直接的な経済的打撃を与えている。中東・北アフリカ地域/アフガニスタン/パキスタン総局(MENAAP)の経済報告最新版によると、ホルムズ海峡の閉鎖ならびにエネルギーおよび公共インフラの破壊は、市場を混乱させ、資産価値の変動性を高め、2026年の成長見通しを弱めている。
今回の紛争は、以前から生産性の伸び低迷、限定的な民間セクターのダイナミズム、根強い労働市場の課題に苦しんできた地域にとってさらなる衝撃であり、ガバナンスとマクロ経済の基礎的条件の強化ならびに長期的な雇用創出と強靱性強化のための施策が急務であることを浮彫りにしている。
イランを除くと、地域全体の成長率は2025年の4.0%から2026年は1.8%に鈍化するとみられる。この予測は世界銀行グループによる1月時点の予測を2.4%ポイント下回る。減速は、紛争の影響が深刻な湾岸協力理事会(GCC)諸国とイラクに集中している。GCC諸国の成長率は1月の予測から3.1%ポイント下方修正され、2025年の4.4%から2026年は1.3%に鈍化する見通しである。
リスクは下振れの方向に傾いている。紛争が長期化した場合、エネルギー・食料価格の高騰、貿易・観光・送金の低迷、財政圧力の高まり、避難民により、地域への影響は今よりもさらに悪化するだろう。
「現在の危機は、地域に今後何が求められるかをはっきりと思い起こさせる。気候関連のショックへの対応だけでなく、マクロ経済の基礎的条件が強化されたより強靭な経済の再建、ガバナンスの刷新と改善、インフラ投資、雇用を生み出すセクターの活性化が必要となる」と、ウスマン・ディオン世界銀行中東・北アフリカ地域/アフガニスタン/パキスタン総局副総裁は述べた。「平和と安定は地域の永続的な開発の前提条件となる。平和が確保され適切な施策を打てば、各国は人々に機会を生み出す制度、能力、競争力のあるセクターを築くことができる」
報告書は、この長期的ビジョンを念頭に、地域の産業政策の可能性を掘り下げ、経済成長と雇用創出の原動力になる戦略的なビジネス活動の拡大に向け政府がどういった施策を打てるのか検証している。中東・北アフリカ地域/アフガニスタン/パキスタンでは、こうした政策が実現可能で説明責任があり、各国の制約や開発目標に沿った形で実施されているか否かが最大の争点である。域内諸国の政府は過去10年間に、主に政府系ファンドや国有企業を通じて、急ピッチで産業政策を導入してきたが、成果は一様ではない。報告書は、強力な制度と政策の慎重な対象設定が不可欠であると強調している。
「各国が今回の紛争から甚大な被害を受けているが、長期的な平和と繁栄のために求められる取組みを見失わないことが重要である」と、ロベルタ・ガッティ世界銀行グループ中東・北アフリカ地域/アフガニスタン/パキスタン総局チーフ・エコノミストは述べた。