ワシントン、2025年11月19日 — 世界銀行は米州開発銀行(IDB)と協力し、ハリケーン「メリッサ」によるジャマイカの物的被害が同国の2024年のGDPの41%に相当する88億ドルにのぼり、ハリケーン被害として同国の観測史上最大となったと試算した。ハリケーン直後に実施された自然災害迅速被害推定(GRADE)において、住宅および非住宅建物、インフラ、農業の各セクターにわたる物的被害の評価が行われた。なお、同GRADE評価にフローの損失は織り込まれておらず、その規模ははるかに重大と見込まれる。
今回のGRADE評価は、今後実施されるセクター別の被害および経済損失のより詳細な評価において土台となる。今後行われる詳細なセクター別損失評価はジャマイカ計画庁が主導し、米州開発銀行および国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)と連携して実施される。
今回の予備的推定の結果によれば、被害の内訳は住宅が41%、インフラが33%、非住宅建物が21%、(家畜および関連インフラを含む)農業セクターが5%だった。農業セクターの物的被害は相対的に小さい一方、経済損失は重大なものになると見込まれる。
「ジャマイカは近く、ハリケーン『メリッサ』からの復旧段階に進んでいく」と世界銀行ラテンアメリカ・カリブ海地域総局副総裁のスザナ・コルデイロ・ゲラは述べた。「同国のレジリエンスと力強いリーダーシップ、国全体の揺るぎない決意が復旧を導き、人々の生活の再建と失った機会の回復を支えていく。ジャマイカが災害後の対応段階から復旧段階へと移行するなか、世界銀行は同国の政府および国民と強く連帯していく。我々は強靭かつ包摂的な復旧を支援すべく、他の国際開発パートナーと連携し、あらゆる支援手段を総動員する用意がある。」
「ハリケーン『メリッサ』の被害規模からして、関係機関は互いに連携し、データと証拠に基づいて迅速に対応することが強く求められてくる」とIDBの国・地域統合担当副総裁であるアナベル・ゴンザレス氏は述べた。「IDBは同ハリケーンの影響を的確に把握することを第一歩とし、ジャマイカが災害後の対応段階から復旧段階へと移行するなか、同国政府を引き続き全力で支援していく。我々は他パートナーとともに、ジャマイカがより強く安全かつ強靭に再建できるように支援していく。」
ジャマイカには包括的な災害リスクファイナンスの枠組みが整備されており、複数の金融商品を活用してさまざまな影響に対応できる体制が整っている。一方、今回のような規模の災害では、取組みとパートナーシップを一層拡充し、より緊密に調整することが求められる。世界銀行およびIDBは、コンティンジェント・ファイナンス、GRADE 評価などの技術支援、そして強靱な復旧・再建に向けた長期的な調整支援を通じ、ジャマイカ政府を支援している。
GRADE 手法は、災害後の物的被害を客観的立場で迅速に推定し、セクターごとに被害の深刻度を初期段階で定量的に示すものである。
今回のジャマイカでのGRADE迅速被害推定は、防災グローバル・ファシリティ(GFDRR)および日本の財務省の支援を受け、「日本−世界銀行防災共同プログラム」の枠組みのもと、世界銀行と連携して実施された。
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