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プレスリリース2023年7月20日

パンデミック基金、各国の将来的パンデミックへの備え強化に向け初のグラント配分へ

パンデミック基金理事会は初回資金配分ラウンドにおいて、将来のパンデミックへの強靱性強化を目的とする6地域37カ国へのグラントの提供を承認した。対象として選ばれたプロジェクトには、疾病監視調査、早期警戒態勢、検査システム、保健医療人材の強化のための資金が提供される。

パンデミック基金は2022年9月に設立され、同11月に議長国インドネシアのバリで開催された20カ国財務大臣・中央銀行総裁会議(G20)で正式に発足した。世界銀行が主管する同基金は、低・中所得国による将来のパンデミックへの備え強化に向けた複数年のグラント提供に特化した初の多国間融資メカニズムで、既に20億ドルのシード資金を調達している。

パンデミック基金が今年5月に締め切った第1回プロポーザル募集には、133カ国から179件の応募があった。パンデミック基金理事会は2023年7月19日に会合を開き、独立した立場の技術的助言パネル(TAP)による技術的提言に基づき、第1回募集での配分について決定を下した。TAPの推奨したプロポーザルの中から選定されたのは、いずれも第1回募集にあたって掲げられた3つの優先分野に重点を置いた19件である。世界銀行の定義する地域ごとに少なくとも2件のプロジェクトが選ばれ、合計37カ国に恩恵をもたらすことになる。グラントの約30%は、パンデミック基金グラントへの需要が最も高いサブサハラ・アフリカのプロジェクトに対する配分である。第1次ラウンドで選ばれたプロジェクトの75%以上は低所得国と中低所得国で実施される。プロジェクトの実施には様々な機関が関わっており、いずれのプロジェクトも、パンデミックへの予防、備え及び対応(PPR)専用の追加資金を確保し、各国に投資拡大を促し、パートナー間での協力を強化し、保健システム強化と資金動員に協力して取り組むべきだと主張するプラットフォームの役割を担うというパンデミック基金の目的にかなったものである。

「我々は、パンデミック基金が、極めて迅速に前進し、様々な地域、所得別の国グループ、参加する実施機関にバランスよくプロジェクト資金を配分できたことを大変喜ばしく思っています。パンデミック基金理事会は、公平性を第一に考え、選考プロセスが包括的かつ透明に進められるよう、細心の注意を払いつつ取組みました。すべてのプロポーザルは、独立した立場の技術諮問委員会(TAP)が審査・評価したものであり、我々は、理事会が選定した一連の融資対象プロジェクトが、パンデミックへの予防、準備、対応(PPR)の機能を高め、コロナ危機で世界が一層明確に認識させられた格差に対応すると確信しています。我々は理事会共同議長として、パンデミック基金が最も困窮する国々に支援を提供し、最大のインパクトをもたらす形で資金が有効活用されるよう、引き続き全力を尽くしていきます。」と、パンデミック基金理事会の共同議長であるインドネシアのチャティブ・バスリ元財務大臣とルワンダのサビン・ンサンジマナ保健大臣は述べた。

様々な資金源からの拠出を促進し、協力を強化するというパンデミック基金の使命に沿って、提供される3億3,800万ドルのグラントは、1ドルにつき6ドルのレバレッジ効果を発揮し、20億ドル以上の追加資金を動員することになる。プロジェクトの多くに、各国、国連機関、国際開発金融機関(MDBs)の協力が求められる。今回のプロポーザル募集に対しては、各国が市民社会や関係パートナーのネットワークを動員した。プロジェクトの多くは、国境や地域を越えた協力、ワンヘルス・アプローチ(人間、動物、生態系の健康を同時に守る協力的アプローチ)、ジェンダーと公平性への配慮を取り入れている。

「パンデミックへの予防、準備、対応(PPR)を強化するグラントに対しては、各国から確かな需要があり、第1回プロポーザル募集には8倍の応募がありました。パンデミック基金が初回ラウンドで多額の追加資金の拠出を促進し、協力を強化し、域内協力を促す複数国によるプロジェクトを支援できることを大変嬉しく思います。この初回資金配分ラウンドは学習の機会となりました。今後の事業の進め方に教訓を反映させる決意です。今回の資金提供がどのような結果、どのようなインパクトをもたらすのか、楽しみにしています。」と、パンデミック基金事務局のプリヤ・バス理事長は述べた。

パンデミック基金理事会は、第1回プロポーザル募集から得られた教訓を生かし、2023年末までに第2回プロポーザル募集の開始を目指している。

パンデミック基金からのグラントは、官民からのプロジェクト協調融資や、世界保健機関(WHO)をはじめとするパートナーからの専門知識の提供を促進する。パンデミック基金理事会には、ドナー国政府と共同出資国のほか、財団や非政府系出資機関、市民社会組織の代表が均等に参加している。

選定されたプロポーザルは以下の通り(受益者のアルファベット順):

一国によるプロポーザル

プロジェクト名

受益国

実施機関*

公衆衛生上の緊急事態への備えと調整のための疾病監視システム、検査機能、職員のスキル強化。

ブルキナファソ

WHO
UNICEF
FAO​

ブータン:ワンヘルス・アプローチを通じたパンデミックへの予防・備え・対応の強化

ブータン王国n

WHO
FAO​

カーボベルデ:ワンヘルス・アプローチを通じた国民の健康安全保障の強化​

カーボベルデ共和国

世界銀行

カンボジア:パンデミック予防・備え・対応(CamPPR)

カンボジア王国

世界銀行
FAO
AIIB​

エチオピア:パンデミックへの分野横断的予防・備え・対応(EPPR)

エチオピア連邦民主共和国

WHO
UNICEF
FAO​

インド:パンデミックへの備えと対応に向けた動物の健康安全保障の強化

インド共和国a

世界銀行
FAO
ADB​

カザフスタン:感染症パンデミックへの備え・対応のための国家機能の強化

カザフスタン共和国

WHO​

モルドバ:人的資源の強化、監視の向上、検査システムの高度化によるパンデミックへの準備・対応の強化

モルドバ共和国

WHO
世界銀行

モンゴル:ワンヘルスを通じたパンデミックへの予防・備え・対応の強化

モンゴル国​

WHO
UNICEF​

ネパール:早期発見のためのパンデミックへの備え強化(SPEED)

ネパール連邦民主共和国

WHO
UNICEF
FAO​

パラグアイ:ワンヘルスの枠組み内かつIHR勧告に従った総合的疾病管理と実用的な早期警戒システム、ヒト・動物・環境のための検査機関による連携強化、労働力のキャパシティ・ビルディングによるパンデミックPPRの重要機能の強化s

パラグアイ共和国

WHO
UNICEF
FAO
IADB​

スリナム公衆衛生上の緊急事態への対応

スリナム共和国

WHO​

トーゴ:公衆衛生上の緊急事態への備え・対応の強化

トーゴ共和国

WHO
UNICEF
FAO​

ヨルダン川西岸地区及びガザ地区:パンデミックPPRの強化

ヨルダン川西岸地区及びガザ地区

WHO
世界銀行
UNICEF
FAO​

イエメン:パンデミックへの備え・対応プロジェクト(PPRP)

イエメン共和国

WHO
UNICEF
FAO​

ザンビア:パンデミックへのセクター横断的備え・対応プロジェクト(ZaMPPR)

ザンビア共和国​

WHO
FAO​


複数国によるプロポーザル

カリブ海諸国:早期警戒のための総合的監視、研究所システム、人材開発の強化を通じた、パンデミックによる公衆衛生への影響の軽減

アンティグア・バーブーダ
ベリーズ
ドミニカ国
グレナダ
ガイアナ協同共和国
ハイチ共和国
ジャマイカ
セントクリストファー・ネービス
セントルシア
セントビンセント及びグレナディーン諸島
スリナム共和国
トリニダード・トバゴ共和国

IADB​

コミュニティと地域による参加型パンデミック対応の最適化(PROTECT)

ボリビア多民族国 
ブラジル連邦共和国
チリ共和国
コロンビア共和国
エクアドル共和国
パラグアイ共和国
ウルグアイ東方共和国

WHO
世界銀行 ​

中央アジア:ワンヘルス・アプローチによるパンデミックへの備え・対応

カザフスタン共和国
キルギス共和国
タジキスタン共和国
トルクメニスタン
ウズベキスタン共和国

世界銀行
WHO
FAO​

*世界保健機関(WHO)、国連食糧農業機関(FAO)、米州開発銀行(IADB)、世界銀行グループ(WBG)、アジアインフラ投資銀行(AIIB)、アジア開発銀行(ADB)

 

ウェブサイト: worldbank.org/pandemicfund

ツイッター: @Pandemic_Fund

 更新日: 07/20/2023

プレスリリース番号: 2024/005/HD

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