より強固な保健システムには、命を救う以上の効果があります。雇用を創出し、経済を活性化させ、新たな機会への扉を開くからです。世界各国が保健医療サービスへのアクセス拡大のために意欲的な目標を設定しており、世界銀行グループとグローバルパートナーは、そうした目標の達成に向けた行動を支援をしています。
東京で開催されたユニバーサル・ヘルス・カバレッジ ハイレベルフォーラムには、グローバルリーダーが一堂に会し、成果やイノベーションを共有するとともに、保健システムの強化や雇用創出を伴う成長の促進に向けた改革に対する支援を呼びかけました。
各国やパートナーが保健医療サービスを拡充させてより多くの人に提供するための取組みを加速させています。その進展について5つのポイントをご紹介します。
1. 15億人を対象とする目標達成に向けた取組みの加速
世界銀行グループは2024年4月、2030年までに15億人に質の高い保健医療サービスを手頃な価格で提供するという意欲的な目標を発表しました。
以来、確かな進展が確認されています。
- これまでに3億7,500万人が恩恵を享受
- 効果が実証済みのプライマリケアモデルの拡大を45カ国で進行中
- アクセス拡大と手頃な価格の徹底に加え、医療従事者からサプライチェーン、関連産業に至る雇用創出を重視
2. 国別保健コンパクト:国主導による成果重視の改革計画
各国は、政府の承認を得た国別保健コンパクトを策定しています。コンパクトは、保健省と財務省の両省庁の政策担当者を対象に測定可能な目標を設定した5カ年改革で、以下の通り、経済的保護の強化とともに、実証済みのソリューションを用いたデジタル対応プライマリケアプラットフォームの拡充に焦点を当てています。
- 保健医療人材の拡充
- 施設の近代化
- 保険適用範囲の拡大
- デジタルツールの活用によるサービス提供の改善
- 非感染性疾患への対応のための治療と予防的ケアのバランス
各国の具体例としては、フィリピンの医療施設のデジタル接続、インドネシアのデジタルプライマリケアと遠隔医療の拡大、ケニアの保険適用範囲拡大と脆弱世帯への補助金給付などが挙げられます。

3. なぜ今、重要なのか
グローバル・モニタリング・レポート(GMR)2025は 、緊急性が高まっているという明確なメッセージを発信しています。
- 46億人が依然として基礎的保健サービスを利用できていない
- 21億人が医療費の自己負担のために経済的困難に直面している
20年にわたる改善にもかかわらず、進捗のペースは落ちています。そこで現在、勢いを取り戻し、パートナーの連携を促し、大規模に機能する改革を加速させるために、世界的な取組みが進められています。
4. パートナーシップと資金提供を通じた各国の優先事項支援
各国によるコンパクトの実施に向け、パートナーは資金調達と技術支援を進めています。
- 世界銀行グループ、Gavi、グローバルファンドが、各機関との協調融資20億ドルを含む新たなパートナーシップを発表
- 慈善活動を展開するパートナーが、グローバル・ファイナンス・ファシリティや保健システムの変革と強靱化に係るマルチドナー基金を通じて、最大4億1,000万ドルを動員
- 日本、英国、その他のグローバルパートナーが技術協力を提供
- シード・グローバル・ヘルスが、労働力評価や開発イニシアティブを通じてコンパクト参加国を支援。
こうした支援により、各国はより迅速かつ効果的な投資と改革、大規模な改善が可能になります。
5. 実施加速のためのナレッジハブ新設
保健システムの変革には、保健省と財務省の強力な連携が欠かせません。その支援のために、日本、世界銀行グループ、WHOが東京に新しくユニバーサル・ヘルス・カバレッジ ナレッジハブを設立しました。
ナレッジハブは、保健財政、公平性、システムの有効性に関するキャパシティビルディングと政策支援を提供し、知見強化を促進します。初回プログラムの参加国は、カンボジア、エジプト、エチオピア、ガーナ、インドネシア、ケニア、ナイジェリア、フィリピンです。