セネガルは、約1,800万人の国民に明るい未来をもたらすことを決意し、2050年までに社会経済の潜在能力を最大化するための開発計画を発表しました。この野心的な目標の実現に向けて努力する中で、セネガル最大の都市である首都ダカールを中心に、自然災害や気候変動に対する国としてのレジリエンスを高めることが極めて重要であると認識しています。
防災グローバル・ファシリティ(GFDRR)はセネガルと協働し、ダカールを含む西アフリカの国々における長期的なレジリエンス構築を支援しています。本支援は、GFDRRの主要なマルチドナー信託基金および日本−世界銀行防災共同プログラム(日本プログラム)から提供されています。日本プログラムは、防災管理における日本の世界的なリーダーシップを波及させていく目的で設立された、GFDRR独自のイニシアチブです。
GFDRRおよび日本プログラムは、特に大ダカール都市圏における複数の包括的な洪水リスク評価を支援しており、これにより首都で深刻化する洪水リスクに対して国および地方当局の対応方法を明確化することに成功しました。
本評価は、世界銀行の国際開発協会から2億9,000万ドルの資金援助を受けるセネガルの第2次雨水管理・気候変動適応プロジェクトの実施に直接寄与しています。本プロジェクトは、ダカール周辺地域における洪水リスクを軽減することを主な開発目標の1つとしており、2025年4月時点で本地域の900ヘクタールを洪水の被害から防ぎ、150,325人の住民の生活を守っています。
技術チームはデータ不足の課題を考慮して、ダカールの周辺4地域にまたがる包括的な洪水リスク分析を発展させるために、LiDAR(光による検知と測距)技術に基づいたデジタル地形モデリングを利用して評価を実施しました。本評価により、各地域における洪水の影響を受ける確率が特定され、予測される水深および流速に関する重要な情報を得ることができました。洪水リスク分析から、分析作業でカバーされた大ダカール都市圏の周辺4地域における主要インフラの20%が洪水の危険にさらされているという厳しい結果も判明しました。その後、約130人の地元関係者が参加した現地視察およびワークショップにおいて分析結果が検証されました。