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特集2025年6月1日

セネガルにおける洪水へのレジリエンス構築支援

セネガルにおける洪水へのレジリエンス構築支援

写真:Karen Nash on Unsplash

概要

セネガルの首都ダカールでは、洪水リスクに関する包括的な評価により、洪水リスクの軽減が可能になり、900ヘクタールを洪水の被害から防ぎ、15万人以上がその恩恵を受けました。

セネガルは、約1,800万人の国民に明るい未来をもたらすことを決意し、2050年までに社会経済の潜在能力を最大化するための開発計画を発表しました。この野心的な目標の実現に向けて努力する中で、セネガル最大の都市である首都ダカールを中心に、自然災害や気候変動に対する国としてのレジリエンスを高めることが極めて重要であると認識しています。

 防災グローバル・ファシリティ(GFDRR)はセネガルと協働し、ダカールを含む西アフリカの国々における長期的なレジリエンス構築を支援しています。本支援は、GFDRRの主要なマルチドナー信託基金および日本−世界銀行防災共同プログラム(日本プログラム)から提供されています。日本プログラムは、防災管理における日本の世界的なリーダーシップを波及させていく目的で設立された、GFDRR独自のイニシアチブです。

GFDRRおよび日本プログラムは、特に大ダカール都市圏における複数の包括的な洪水リスク評価を支援しており、これにより首都で深刻化する洪水リスクに対して国および地方当局の対応方法を明確化することに成功しました。

本評価は、世界銀行の国際開発協会から2億9,000万ドルの資金援助を受けるセネガルの第2次雨水管理・気候変動適応プロジェクトの実施に直接寄与しています。本プロジェクトは、ダカール周辺地域における洪水リスクを軽減することを主な開発目標の1つとしており、2025年4月時点で本地域の900ヘクタールを洪水の被害から防ぎ、150,325人の住民の生活を守っています。

技術チームはデータ不足の課題を考慮して、ダカールの周辺4地域にまたがる包括的な洪水リスク分析を発展させるために、LiDAR(光による検知と測距)技術に基づいたデジタル地形モデリングを利用して評価を実施しました。本評価により、各地域における洪水の影響を受ける確率が特定され、予測される水深および流速に関する重要な情報を得ることができました。洪水リスク分析から、分析作業でカバーされた大ダカール都市圏の周辺4地域における主要インフラの20%が洪水の危険にさらされているという厳しい結果も判明しました。その後、約130人の地元関係者が参加した現地視察およびワークショップにおいて分析結果が検証されました。

洪水リスクに関する研究は、洪水の予防および管理の鍵となる大ダカール都市圏における都市計画に画期的な変化をもたらします。高リスク地域を特定することにより、開発を危険地帯から離し、人々とその財産をより適切に保護することができます。
Mouhamadou Bachir THIAW
セネガル国土計画庁 国土計画局長

技術チームは評価の一環として、洪水リスクの高いインフラへの投資シミュレーションのための複数のシナリオ分析、およびダカールにおける洪水リスクの回避に必要な総投資額の推定を実施しました。年間ベースで見ると、インフラの洪水リスク対応に必要な投資は、洪水によって生じる全体的な被害の修復に必要な額よりも大幅に少ないことが分析により明らかになりました。これにより、セネガル政府によるダカールにおける洪水に対するレジリエンス強化への継続的な投資の必要性が強調されました。

日本の専門知識と経験は、評価および検証において重要な役割を果たしました。技術チームは評価の実施にあたり、類似の都市環境における洪水リスクを分析した 国際協力機構 (JICA)の過去の研究を参考にしました。さらに日本の洪水リスク管理の専門家と連携し、洪水リスクに関する分析結果の検証に取り組みました。

第2次雨水管理・気候変動適応プロジェクトに加え、本評価はセネガルの都市開発計画、洪水リスク管理計画、持続可能な開発計画など、大ダカール都市圏のより強靭な開発につながる各種戦略計画文書の作成にも役立っています。これらの計画は、急速に拡大しているダカールの4つの都市部を対象としています。例えば、分析の一環として作成された洪水リスクマップおよび作成に使用されたデジタルリソースは、上記計画を担当する技術チームに提供され、より迅速かつ効率的な分析を可能にしています。

GFDRRおよび日本プログラムによる大ダカール都市圏の包括的な洪水リスク評価への支援は、レジリエンス強化に向けたセネガルとのパートナーシップ深化の一部分です。2021年~2023年、GFDRRおよび日本プログラムは、同国の学校インフラを自然災害のリスクに晒す要因、および学校インフラのレジリエンス強化に向けた機会特定に関して同国政府への支援を実施しました。GFDRRおよび日本プログラムは2023年以降、セネガル政府と協力して、短期・中期双方の対策を網羅することが期待されている気候変動適応計画の策定などを通じて、気候変動の影響を緩和するためにエネルギー部門の能力向上にも取り組んでいます。

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