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特集2024年1月1日

バングラデシュ農村部におけるエネルギー強靱化の推進

The World Bank

バングラデシュ、PalashにあるGhorashal発電所ゲート(WAPDA Gate)。Abdulla Khan撮影、Unsplashより 

バングラデシュ農村電化庁(BREB)は、この10年間で、世界でも最大規模の農村部電力供給プロジェクトを飛躍的に前進させ、9,000万人を超える人々への電力供給を達成しました。BREBは誰もが電気を利用できる環境を実現することを第一に取り組んできました。一方、異常気象に対する配電網の強化やBREBの電力管理システムのアップデートへの投資は限定的なものになってしまいました。バングラデシュ政府は、配電網の強靱性と柔軟性の強化を重要目標とし、世界銀行と開発パートナーからの支援の下、取り組んでいます。

世界銀行は防災グローバル・ファシリティ(GFDRR)による財政的および技術的支援を得て、BREBが気象に関連する危険と気候リスクのデータをバングラデシュの農村部における電力インフラの設計に組み込むことに貢献しました。配電網の具体的な特徴に関するデータが限定的なために生じた問題もありましたが、GFDRRの技術支援のおかげで、BREBはバングラデシュ農村部の配電システムの気候に対する強靱化ついて非常に貴重な知見と専門知識を得ることができました。このような知識は、世界銀行が資金提供するエネルギープロジェクト、特に5億ドルのバングラデシュ配電近代化プログラム(Bangladesh Electricity Distribution Modernization Program)に直接的に役立っています。この配電近代化プログラムは、気候に対して強靱な農村部配電網のマスタープランの策定においてBREBを支援することを目的としており、策定されたマスタープランは、近代的かつ信頼性の高い頑強な電力システムの基盤となっています。

GFDRRは、支援の初期段階において、特にサイクロン関連の影響に焦点をあてて気候および災害の脅威にさらされている電力インフラのマッピングを行い、農村部の配電網の中で強化が必要な地域をピンポイントに指摘しました。この作業に基づき、リスク評価、費用対効果分析の実施、気候に対して強靱な電力システムの配電網計画の推進に関する枠組みが策定されました。さらに、リスクデータと強靱性に関する目標をバングラデシュの投資の優先順位に反映させることの重要性も明確になりました。

バングラデシュ政府は、GFDRRの支援を通じて、配電や送電、発電、燃料供給を含む電力セクターのさまざまな面にわたり災害リスクを最小限に抑えることを目指す方針の枠組みおよび運用上の手続きについて価値ある知見を得ることができました。この知見は、電力システムの強靱化に関する世界水準のベストプラクティスに運用と方針を整合させるための能力開発の取組みを強化する上で役立っています。また、電力網インフラの監視および管理機能をデジタル化するというバングラデシュ政府の取組みにも、顕著な影響を与えました。このデジタル変革から、顧客サービスの改善や安全対策の強化、運用およびメンテナンスのコスト削減、停電時の対応の迅速化などのメリットが期待されています。

GFDRRは、欧州宇宙機関などの国際的なパートナーとの提携も促進しています。このような提携を通じて、バングラデシュの高電圧網に対する気候リスクをアセットレベルで評価するために、地球観測会社による合弁企業の専門的知識が活用されました。バングラデシュの世界銀行チームは、評価結果を受けて、費用対効果の高い方法での洪水と地滑りリスクの遠隔監視、および送電網の脆弱な部分に対する災害対策の実施について、バングラデシュ政府と話し合いを進めています。バングラデシュにおける強靱性を強化するためのこのような取組みには、革新的な衛星データの利用も採用されています。 

さらに、日本ー世界銀行防災共同プログラムは、GFDRRの支援を受けて、バングラデシュと日本の専門家の間でパートナーシップを締結する可能性を醸成しています。世界銀行は、配電システムの強靱性、災害対策方針、リスク配分メカニズムに関する知見を得るために、バングラデシュと、東京電力を含む同国の開発パートナーとの間で知識等の交換を促進することを目指しています。世界銀行は、GFDRRの支援の下、日本の一般財団法人電力中央研究所と協力し、今後災害対策に関するベストプラクティスを共有し迅速な災害対応および災害復旧の能力構築を強化することができるようになります。

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