- 概要
2026年8月、世界銀行グループは新報告書「資源輸出国の財政政策:バランスの取れた対応」(Fiscal Policy in Commodity Exporters: A Balancing Act)を発表しました。
新興市場国・発展途上国の3分の2、そして低所得国の90%が一次産品の輸出に依存しており、そうした資源輸出国の財政は世界的な一次産品価格の好況と不況の激しい変動の影響を直接受ける構造にあります。価格が高騰すればそれに伴って歳出も拡大する傾向がある一方、価格が急落すれば公共サービスや投資が削減されることが多く、それによって経済の変動性が増幅し、景気後退が深刻化します。
同報告書は、一次産品を輸出する発展途上国を対象としたこれまでで最も包括的な分析に基づき、価格変動が政府財政にいかに深く影響を及ぼしているか、そしてなぜ一部の国はこのサイクルを他国よりも巧みに乗り切ることができるのかについて分析しています。また、財政の枠組みが持続的な安定をもたらすかどうかは、ガバナンス、透明性、そして政策の実行能力によって左右されることが多いことも示しています。
同報告書は、世界的なエネルギー転換に伴う新たな不確実性に直面しつつ、より強固な財政の枠組みや制度の構築、好況期における慎重な貯蓄、そして長期的な財政計画の策定を通じて、財政の強靭性を高めるための実践的な道筋を提示しています。同報告書が示している様々な政策の選択肢は、一次産品依存型経済において、ショックに対する財政の強靭性を高め、経済の不安定さを軽減し、より持続的な成長を支援します。
今回のモーニングセミナー(第219回、最終回)では、同報告書をとりまとめたチームを統括するアイハン・コーゼ世界銀行グループ副チーフエコノミスト兼見通し局長が、同報告書の主なポイントについてオンラインで日本の皆様に向けてご紹介しました。
スピーカー
アイハン・コーゼ
世界銀行グループ 副チーフエコノミスト 兼 見通し局長
世界銀行グループチーフエコノミストのリーダーシップチームの一員として、世界銀行の分析業務、政策・業務アドバイスを統括している。見通し局長として、マクロ経済見通し・予想、金融フロー、商品市場に関する分析業務も主導している。世界銀行の旗艦報告書である『世界経済見通し』(Global Economic Prospects)、『グローバル・モニタリング・レポート』(Global Monitoring Report)などの経済モニタリング報告の作成を統括している。2014年6月の世界銀行入行前は国際通貨基金(IMF)に所属しており、調査局次長兼多数国間サーベイランス部次長、2014年版スピルオーバー報告書タスクフォース共同議長、ニカラグア2007~11年IMFプログラム事後評価担当チーフ、西半球局米国・カナダ担当デスク。シカゴ大学経営学大学院とINSEADで教鞭をとり、ブランダイズ大学国際経営学大学院助教授を歴任。マクロ経済・国際金融に関する著作多数。アイオワ大学経営学大学院経済学博士号、ビルケント大学産業工学士号を取得。トルコ出身。
当日の資料
Fiscal Policy in Commodity Exporters: A Balancing Act(英語、PDF)
イベント詳細
日時
2026年10月1日(木)午前9時~午前10時(日本時間)
開催形式
オンライン(Webex)
使用言語
英語(日本語への通訳なし)
問い合わせ
世界銀行東京事務所・大森
komori@worldbankgroup.org