トルコではリバーフロントを含む都市部の開発圧力が強まり、洪水リスクがより顕在化しつつあります。 気候変動の影響も加わるなか、リアルタイムの水位観測に基づき、洪水予測機能が限定的な、既存の洪水早期警報システムの強化が喫緊の課題となっています。

こうした背景のもと、国家水利庁、水管理総局、首相府防災危機管理庁、および大統領府戦略予算局の代表者からなるトルコ代表団が、日本において洪水早期警報システムに関する知見共有イベントに参加しました。

本技術的知識交換は、トルコの洪水早期警報システムに関する能力強化を目的とするとともに、世界銀行の融資を受けて国家水利庁および水管理総局が共同で現在実施している「トルコ洪水・干ばつ管理プロジェクト」を支援するために実施されました。

同プロジェクトを通じて、洪水予測システムの機能向上に加え、関連諸機関の連携体制や住民啓発の改善を通じ、既存の洪水早期警報システムが強化される予定です。今回の知識交換では、日本が洪水早期警報システムをどのように運営・管理しているかについて、知見の共有が行われました。

静岡市では「巴川浸水情報システム」が紹介されました。同システムは、水理シミュレーションや、河川および雨水排水路に設置されたセンサーから得られるリアルタイムの水位データをもとに、浸水想定区域を予測し、浸水情報を住民に随時提供するものです。

東京において、参加者は荒川下流河川事務所に併設された荒川知水資料館アモアを訪問し、荒川流域における洪水対策や緊急時の関係機関間の連携体制について説明を受けました。ほかにも、最大5,100万㎥の水量を一時的に貯留し、首都圏東部の人口密集地域を洪水からより安全に守るために建設が進められている荒川第二・第三調節池を視察するなどし、ハード対策とソフト対策を組み合わせた日本の大規模な洪水リスク管理プログラムについて紹介を受けつつ、日本の担当者と意見交換を実施しました。

参加者は気象庁や国土交通省とも意見交換を行い、洪水情報や避難警報を住民に伝達する際の協働メカニズムについても理解を深めました。

日本の洪水管理システムは、流域ごとに設置された国土交通省の河川事務所、気象庁や自治体を含む関係諸機関との強い連携、そして高い住民参加意識が特徴です。堤防、ダム、調節池といった構造物対策と、洪水早期警報システム、リアルタイムモニタリング、住民啓発といった非構造物対策を組み合わせることで、効果的な洪水リスク管理が図られています。本技術的知識交換では、早期洪水警報システムに関する日本の先進事例の紹介とともに、欧州連合の河川洪水に対する地域的な取組みである欧州洪水監視システム(EFAS)にも触れました。

本技術的知識交換は、トルコの参加機関にとって実践的な学びになりました。これらの学びをトルコの実情を踏まえて活用することで、洪水予測の精度、関連諸機関の連携、ならびに地域社会の備えの向上が進み、トルコにおける洪水レジリエンスの強化につながることが期待されます。

Image 荒川知水資料館アモアを訪問するトルコ代表団(写真提供:世界銀行)

今回の技術的な知識交換は「トルコ洪水・干ばつ管理プロジェクト」実施の支援を目的として開催されました。欧州連合がGFDRRによって運営される「災害予防・事前準備のための技術支援資金ファシリティ(Technical Assistance Financing Facility)」を通じて資金を提供しました。また、GFDRRの活動拠点であり、日本政府の支援を受ける世界銀行東京防災ハブが企画・運営を支援しました。 

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イベント詳細

日時:
2025年10月27日~31日

場所:
荒川、静岡市、浜松市