2030年までに、世界の貧困人口の3分の2が脆弱・紛争国に住む人々になるとされています。現在、過去30年のうち暴力的な紛争が最も多く発生しており、8,000万人以上が紛争が原因による避難を強いられています。極度の貧困は脆弱性・紛争・暴力に影響を受ける国（FCV国）で増加しています。
新型コロナウイルス感染症（COVID-19）拡大は、脆弱国において、特に難民のような最も脆弱な人々とその受け入れる側に対し、甚大な経済・社会的影響をもたらしました。世界銀行グループは、脆弱国において業務を遂行してきた過去の経験を踏まえ、脆弱性・紛争・暴力に影響を受ける国々における支援を拡大しつつあります。これらの取り組みでは、2020年に新たに策定された世界銀行グループ脆弱性・紛争・暴力（FCV）戦略の下で、脆弱性の根本原因への対処、脆弱性・紛争・暴力に影響を受ける国々における人的資本および主要な制度への投資、人道支援・安全保障・平和構築に携わる団体や民間セクターとの連携によるインパクトの最大化などを進めています。
本オンラインセミナーでは、新FCV戦略の策定をとりまとめたフランク・ブスケ世界銀行グループ脆弱性・紛争・暴力（FCV）グループシニアディレクターが、同戦略の主なポイントと世界銀行グループの取り組みについてご紹介しました。
日時
2021年2月10日（水）午前8時～午前9時30分（日本時間）
内容
挨拶
宮崎成人
世界銀行 駐日特別代表
講演
フランク・ブスケ
世界銀行グループ 脆弱性・紛争・暴力（FCV）グループ シニアディレクター
当日の資料: World Bank Group Strategy for Fragility, Conflict, and Violence 2020-2025 （英語、PDF）
討論
坂根宏治
国際協力機構（JICA）スーダン事務所長
当日の資料: World Bank’s FCV Strategy -Values and expectations -（英語、PDF）
藤谷健
朝日新聞 編集担当補佐 兼 ジャーナリスト学校デジタル推進担当部長
松永秀樹
国際協力機構（JICA） 中東・欧州部長
モデレーター
大森功一
世界銀行 東京事務所 上級対外関係担当官
関連資料
世界銀行グループ脆弱性・紛争・暴力（FCV）戦略2020～25年 概要（日本語、PDF）
基調講演者紹介
2017年7月1日より現職。世界銀行グループの脆弱性・紛争・暴力に対する戦略の策定を主導するとともに、人道支援・開発・平和構築に携わる開発パートナー機関との連携しながら業務を推進するチームを統括している。 現職以前、ブスケはレジリエンスや復興に関する業務を統括する役割を担った。直近では、中東・北アフリカ地域総局戦略・業務局長として、同地域における世界銀行の業務を牽引してきた。シリア難民危機にあたっては、国連や国際開発金融機、各国政府・機関と連携し、人道支援と開発支援の格差を埋めるために、難民危機に直面する中所得国に対して譲許的資金を提供するグローバル譲許的資金ファシリティー（Global Concessional Financing Facility）の設立に従事した。同ファシリティーは当初ヨルダンとレバノンにおけるシリア難民問題を支援することを焦点に置き、その後、中所得国における難民問題へ国際協調を世界各地で進める活動へと展開した。ブスケはまた、中東・北アフリカ地域総局上級地域アドバイザーとして、ガザ（2014年）を含む各地での復興支援を主導した。それ以前は、中東・北アフリカ地域総局において、都市開発セクター担当マネージャー、社会開発セクター担当マネージャー、災害リスク管理地域コーディネイターとして、レジリエンスと脆弱性の課題に対処する様々な役割を担った。中東・北アフリカ地域総局より以前は、水・都市ユニット中央・西アフリカ担当プログラムコーディネイター、コンゴ共和国及びコンゴ民主共和国向け持続可能な開発担当セクターリーダー代行など、アフリカ地域における様々なセクター、脆弱性、紛争国向け支援などに従事した。世界銀行入行以前は、水ユーティリティ、交通、財務、資本市場に関する公共セクターおよび民間セクターに従事した。コロンビア大学ビジネススクールにてMBA、リヨンの公共事業工学スクール（National Engineering School of Public Works）にて学位を取得。 |
