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スピーチ&筆記録2022年8月27日

第8回アフリカ開発会議(TICAD 8)オープニング・セッションにおける世界銀行総裁ステートメント

岸田総理大臣、サイード大統領、ご臨席の皆様、

世界銀行グループを代表して、第8回アフリカ開発会議(TICAD 8)が初めて北アフリカで開催されることをお祝い申し上げます。私は今回、現地に伺うことができず残念に思っております。また、岸田総理大臣の一日も早いご回復をお祈り申し上げます。

世界は今、重複する危機に直面していますが、アフリカが受ける影響はとりわけ甚大です。ワクチン接種率は継続して低く、アフリカ諸国の多くが増加を続ける債務と莫大な返済コストを抱え、食料不安も拡大しています。さらに貿易制限が、食料を主に輸入に依存する国の人々に打撃を与えています。

困難なときには、効果的な対応によって危機を乗り切り、より豊かで強靭な経済の基盤を構築することが求められます。世界銀行グループは、長年にわたるパートナーとしてアフリカを支援しています。国際復興開発銀行(IBRD)と国際開発協会(IDA)の資金の半分近くがアフリカ地域に提供されているほか、我々は様々な分野で緊密に協力を進めています。

第一に貿易です。貿易は強靭な経済を構築し、貧困を削減し、繁栄を促進するための強力な手段です。世界銀行グループは、輸出禁止をはじめとする貿易制限措置を回避する必要性を含め、求められる貿易政策について各国政府に助言を行っています。

また、食料や家畜の貿易に要する時間とコストを削減し、貿易財の量と質を高めるべく取り組んでいます。大湖地域諸国やチャド、コートジボワール、ナイジェリアといった国々が内外貿易を円滑に進め、厳選されたバリューチェーンの商用化を促進できるよう、多額の資金を提供してきました。また、モロッコの農業・肥料セクターにおける取組みを応用し、広くサハラ各国で商業上の協力を通じ食料安全保障の実現を図っています。

第二に、アフリカ諸国が、切実に必要とされる、最脆弱層に的を絞った社会的保護を提供できるよう支援しています。貧困層を対象とした社会的保護プログラムは、対象を設定しない食料や燃料の補助金よりもはるかに大きな価値をもたらすはずです。対象を設定しない補助金は、コストが高いだけでなく、最も裕福な消費者に一番の恩恵をもたらすものです。

チュニジアでは、社会的保護によるコロナ緊急対応プロジェクトにより、社会で最も脆弱な人々を所得支援を通じて保護すると同時に、より広範な社会的保護システムの効率性と強靭性を強化しています。世界銀行は、サヘル女性のエンパワーメントと人口ボーナス(SWEDD)プログラムはひとつの実施例で、取組みを拡大しはるかに大きなインパクトを達成することも可能です。

世界銀行は、援助受入国と補助金の分野でも協力しています。例えばマラウイでは、政府と協力し、より柔軟な社会的保護プログラムを通じて最脆弱世帯を支援することで、肥料補助金プログラムの対象を絞り込むと同時に、営利指向の高い自作農を対象に適切な支援を拡大しています。

そして最後に、アフリカにおける我々の取組みの多くを支えているのが、世界の最貧国のための組織である国際開発協会(IDA)です。我々は、保健、教育、気候変動対策、強靱で質の高いインフラ、防災、債務など多様なテーマにおいて協力しています。IDAは、民間資金のクラウドインを支援する国際金融公社(IFC)と多数国間投資保証機関(MIGA)と共に、官民両セクターを支援しています。日本に対しては、IDA第20次増資(IDA20)に大きな貢献をしてくださり、来月、東京でIDA20ローンチイベントを主催してくださることに改めて感謝を申し上げたいと存じます。

最後になりましたが、途上国と効果的な国際金融機関、そして世界銀行と日本との極めて強固なパートナーシップの重要性を広く訴えるためリーダーシップを発揮してくださっている岸田首相に私から改めて特に感謝を申し上げます。そしてTICAD 8の開催国チュニジアのサイード大統領にも厚く御礼申し上げます。

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