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プレスリリース 2021年1月22日

世界銀行が新型コロナ感染症のワクチン接種展開に初の支援

レバノンで200万人以上を対象に3,400万ドルの緊急支援を提供

ベイルート、2021年1月21日 — 世界銀行は本日、実施中のレバノン保健レジリエンス・プロジェクトの中の3,400万ドルについて再配分を承認した。レバノンでは、今年に入ってから新型コロナウイルス感染症の新規感染者が1日当たり約5,500人と過去最高の水準に上っており、今回再配分される資金はワクチン接種展開の支援に充てられる。世界銀行のプロジェクトで、新型コロナウイルス感染症のワクチン調達に資金を提供するものは今回が初となる。2021年2月初旬までに200万人分以上のワクチンがレバノンに届く予定である。

今回の世界的流行は人的被害をもたらしているだけではなく、昨年8月のベイルート港での大規模爆発が引き起こした経済危機にも追い打ちとなっている。今回、ワクチン接種を受けることになるのは、リスクの高い医療従事者、65歳以上の高齢者、疫学・検査担当者、55~64歳で基礎疾患を有する人という優先摂取対象者である。レバノンのワクチン接種プログラムがこのように優先対象を絞ることには、十分な供給がない中でも、流行の影響を緩和しようというねらいがある。

「新型コロナウイルス感染症ワクチンへの公正にして広範、かつ迅速なアクセスを確保することが、人命を守り経済の回復を促進するために不可欠である」と、デイビッド・マルパス世界銀行グループ総裁は述べた。「ワクチン接種展開支援で1回目となるこのプロジェクトは重要な意味を持つ。今後も、より多くの国々においてワクチン接種の取組みを支援していく所存だ。我々の目標は一貫して、世界的流行の悪影響を緩和し人々の命を救い暮らしを改善することにある。」

レバノンに対する今回の支援を支えているのは、世界銀行が数十年前から続けてきた、小児麻痺、はしか、エボラ出血熱等のワクチン接種支援の経験だ。融資、グローバルな専門性、国内でのセクター横断的な経験を組み合わせ、保健分野の将来的な緊急事態に備えた強靭性の強化が図られる。

レバノンの保健セクターは深刻なまでに疲弊している。2021年1月17日の時点で、新型コロナウイルス感染症の感染者数は累計25万2,812人、死亡者数は1,865人に上った。過去14日間の陽性率は17%と高い水準にある(世界保健機関(WHO)の目安は最大5%)。

レバノン政府は、ワクチン配備に備え、世界銀行をはじめとするパートナーの支援を得て、新型コロナウイルス感染症ワクチン接種体制の整備度評価を実施し、新型コロナウイルス感染症ワクチンのための国家委員会を設置し、新型コロナウイルス感染症ワクチン配備の国家計画(NVDP)の草案をまとめた。NVDP草案は、WHOの勧告する主要な要素をすべて網羅しており、レバノンのワクチン接種体制整備において中核的役割を果たしている。

NVDPにはまた、体制整備のための要件も定義される予定である。具体的には、ワクチン配備の代替計画の策定、ワクチン接種展開のために特に重要となる規制措置、優先摂取対象者による事前登録のためのオンライン・システム構築、ワクチンの保管・分配・流通のための標準実施要領の策定・配布、ワクチン接種実施者の研修と監督ならびに新型コロナウイルス感染症ワクチンに関する苦情申し立てメカニズムの徹底である。また、一般の人々に対して、資格、ワクチン接種実施場所、実施スケジュール、ワクチンの安全性と有効性についての情報を提供する広報活動も開始される。

レバノン国内での新型コロナウイルス感染症の感染発生を受け、世界銀行は2020年3月に、同じレバノン保健レジリエンス・プロジェクトの下で、公立病院の設備拡充と感染を疑われる患者の検査・治療を通じ公衆衛生省の対策機能向上を図っている。国の内外の供給業者を通じたファストトラック方式の調達が世界銀行の手順に従い、国連機関と連携して進められた結果、45の病院への個人防護具(PPE)、60台の人工呼吸器、10 台のPCR機器と検査キット等、支給必要とされる医薬品や医療機器の調達が実現した。これとは別に、集中治療室50室に、バイタルサインのモニターや、点滴静脈注射用のシリンジ・ポンプ、吸引ポンプ、点滴ポンプ、除細動器、心電計等をの機器を備えた病床が整備された。機能をさらに強化し、しかるべき医療機器を備えた集中治療室病床を180床にまで増やすため、さらなる医薬品と医療機器の調達が進められている。

レバノン保健レジリエンス・プロジェクトには、国際復興開発銀行(IBRD)からの資金9,580ドルとグローバル譲許的資金ファシリティ(GCFF)からのグラント2,420万ドルが充てられている。2016年に設立されたGCFFは、難民を大量に受け入れた中所得国を対象に、通常であれば最貧困国だけに適用される金利で譲許的資金を提供している。

世界銀行グループは、途上国に開発のための資金や知識を提供する世界有数の機関であり、途上国が今回の世界的流行への対応を強化できるよう、広範かつ迅速な措置を講じている。世界銀行グループは公衆衛生の取組みや重要な物資及び機器の円滑な供給を支援する一方で、民間セクターが事業を継続し、雇用を維持できるよう支援している。世界銀行グループは、各国が貧困層・脆弱層を守り、民間セクターを維持し、経済回復を促進できるように、2021年6月までの15カ月間に最大1,600億ドルの資金を100カ国超に提供する。この金額にはグラント(無償資金)又は譲許的融資の形で提供される、国際開発協会(IDA)からの新規資金500億ドルと、新型コロナウイルス感染症に対するワクチンの調達・配布のために途上国に提供される120億ドルが含まれる。


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aalsaeed@worldbank.org
ベイルート
Zeina El Khalil
+(961) 1-963-438
zelkhalil@worldbank.org
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