プレスリリース

2014年、東アジア地域は安定成長の見込み

2014年4月7日

長期的成長と繁栄には構造改革が鍵

シンガポール、201447 –世界銀行は本日発表した「東アジア・大洋州地域 半期経済報告」で、東アジア・大洋州地域の途上国は、高所得国の景気回復と、米連邦準備制度理事会の量的緩和縮小に対する市場の反応が今のところ穏やかである事から、今年は安定した経済成長を遂げるだろうと予測している。

同報告は、東アジア地域途上国の今年のGDP成長率予測は、2013年とほぼ横ばいの7.1%としている。これは、2009年~2013年に達成した平均8%よりは低いものの、東アジア地域の成長率が世界のどの地域よりも高いことを意味する。中国は、2013年の7.7%からわずかに減速し、今年は7.6%と予測される。中国を除いた同地域の途上国の成長率は、昨年の5.2%をわずかに下回る5.0%と見込まれる。

「東アジア・大洋州地域は金融危機以降、世界経済の成長エンジンの役割を担ってきた。」と、世界銀行のアクセル・ヴァン・トロッツェンバーグ東アジア・大洋州地域総局副総裁は述べた。「グローバル経済は今年、堅調な成長が見込まれており、東アジア地域も、世界的な金融引き締めに対応しつつ比較的安定したペースで成長するだろう。」

一方、インドネシアやタイなどの東南アジアの大国には、世界の金融情勢は厳しいものとなって圧し掛かり、個人負債が膨らむだろう。マレーシアの2014年の成長は小幅ながら加速して4.9%になると見られる。同国では、輸出は増加するものの、債務返済コストの上昇と実施中の財政再建により、内需が抑制されるだろう。フィリピンの成長率は6.6%に下がる可能性があるが、2013年の自然災害からの復興需要を推進することにより被災後に落ち込んだ消費が相殺されるだろう。

域内の小規模な国々は安定した成長が見込まれるが、景気過熱のリスクを抱えており、さらなる金融引き締めの必要があるかもしれない。カンボジアは、選挙後に勢いを取り戻した改革により今年7.2%の成長を記録すると見られるが、不安定な労働市場が下振れリスクとなる恐れがある。構造改革が着実に進んでいるミャンマーの成長率は7.8%に達するだろう。銀行をはじめ各セクターで構造改革が停滞しているベトナム経済は今年、5.5%の小幅な成長にとどまると予測される。太平洋島嶼国の大半と東ティモールは、引き続き先進国からの援助と送金に依存している。

同地域の成長予測には、依然としてリスクがつきまとっている。「予想を下回る先進国経済の回復、世界的な金利の上昇、ヨーロッパ東部の最近の緊張を原因とする一次産品価格の乱高下などの要因は、東アジア地域が、依然として世界情勢の負の影響を受けやすい地域であることを、我々に改めて認識させた。」と、バート・ホフマン世界銀行チーフエコノミスト(東アジア・大洋州地域総局担当)は述べた。

好材料としては、昨年の量的緩和縮小の際に明らかであったように、東アジアは変動為替相場制により、資本フローの引き揚げなどの潜在的な外的ショックにより適切に対処できるだろう。さらに、多くの国々は、一時的な貿易の落ち込みや外的ショックを吸収できるだけの十分な準備金を備えている。

「長期的には、東アジアの途上国は、高い成長率を維持するために、潜在的成長力の拡大と市場の信認確保に向けた構造改革の取組みに一段と力を注ぐ必要があるだろう。」とホフマンは指摘する。

構造改革は、脆弱性を克服し、長期的な成長の持続可能性を拡大するための鍵となる。中国は、成長の効率化と内需拡大に向け、既に金融、市場アクセス、労働力の流動性、金融政策の分野で一連の改革に着手している。長期的には、こうした施策が中国に、より安定的で包摂的かつ持続可能な経済の基盤をもたらすだろう。政府は既に、税制改革や民間投資の障壁緩和などのイニシアティブを発表しており、短期的な成長を促進する可能性がある。

中国の改革が成功すれば、農産物、消費財、近代的サービスを中国向けに輸出している国々にかなりの恩恵がもたらされるだろう。反対に、中国が経済のバランスを無秩序に修復しようとすれば、中国への天然資源輸出に依存する国々を中心に、域内だけでなく世界の成長も損なう可能性がある。

域内の他の途上国も、国際貿易の振興や海外直接投資の促進などの構造改革により、特にサービス・セクターにおいてその恩恵を受けられるだろう。こうした中、2015年のASEAN経済共同体の設立により、域内の投資や輸出が促進され、重要な成長源となるだろうと同報告書は指摘している。

「東アジア・大洋州地域 半期経済報告」は、世界銀行が同地域の経済を包括的にまとめた報告です。半年に一度発表され、解禁後はウェブサイトより無料でダウンロードいただけます。http://www.worldbank.org/eapupdate

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2014/419/EAP