2019年5月30日

アフガニスタンからザンビア:世界の最貧国を支援する

マダガスカル・ソアヴィナでIDAが資金を提供した社会的保護・栄養プログラムの恩恵を受ける女性たち。写真 © Sarah Farhat/世界銀行

橋が建設されるまで、ラオスの村で暮らす人々の生活は大変厳しい状況にありました。農業生産は季節の変化についていくことができず、さらに悪いことに、雨が降ると村人たちは仕事に行けず、具合が悪くても病院に行くこともできませんでした。支援の手が差し伸べられ、川に橋を架けるというシンプルなアイデアにより、農民たちの生活は一変し生活は改善し福祉も向上しました。

「橋ができたおかげで、農地までの道のりが縮小されました。」とフアパン県のコミュニティ・リーダーを務めるトンフォニアは述べています。「今では、妊婦や子供を予防接種のために保健センターや病院に連れていくことが容易になりました。」

ラオス貧困削減基金」の下で、ラオスの遠隔地にあるコミュニティは4,500件を超えるプロジェクトを実施してきました。そのひとつが、この橋の建設です。同基金は、ラオスの最も貧しく取り残された人々の福祉を向上させるという同国政府の重要政策の一環で、極度の貧困を削減するための一連の草の根レベルのプロジェクトを行っており、世界銀行の国際開発協会(IDA)はこれらプロジェクトに資金を提供しています。貧困削減を目指したIDAの参画以降、他のドナーもこれに続いており、過去16年で、1万世帯以上がこうしたプロジェクトの恩恵を享受してきました。

最も貧しい人々を支援する

この橋をめぐる話は、最貧国のための世界銀行の基金であるIDAの活動内容を示す良い例だと言えます。

アフガニスタンからザンビア:世界各地の最貧国におけるIDAの活動

IDAは、開発という舞台で資金提供を超えたはるかに大きな役割を果たしています。IDAは、共通のカントリープラットフォームを、ドナー、官民セクターのパートナー、市民社会、多国間組織や現地の開発の関係者に提供し、連携を通じ最大限の成果を上げることに注力しています。

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インフォグラフィック:IDAと貧困削減。インフォグラッフィクをご覧になる場合は、ここをクリックしてください。

IDAのパートナーは、IDAがもたらすユニークな価値と糾合力を評価しています。赤十字国際委員会(ICRC)のペーター・マウラー総裁は次のように述べています。「紛争の影響下にあり深刻な食糧不安を抱える人々への支援を改善するため、IDAはプラットフォームを提供しています。世界銀行独自の糾合力を通し、関係者それぞれの優位性を活用しているのです。」

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"紛争の影響下にあり深刻な食糧不安を抱える人々への支援を改善するため、IDAはプラットフォームを提供しています。世界銀行独自の糾合力を通し、関係者それぞれの優位性を活用しているのです。"
ペーター マウラー
ICRC総裁

IDAの支援を受けるための適格性は、当該国の一人当たりのGNIが、定められた上限(2019年度は1,145ドル)を超えてないことを条件に判断されます。

極度の貧困状態にある人々の約3分の2にあたるおよそ5億人が、IDA融資の適格国75カ国で暮らしています。極度の貧困は、世界で最も脆弱な国にますます集中しており、その多くがアフリカの国々となっています。

このことから、IDAは他の機関とのパートナーシップの下、紛争の影響下にある国と脆弱な国をこれまで以上に重視しています。IDAは、脆弱性を抱えた国への資金支援を140億ドルへと倍増しました。たとえば、イエメンに対し4億ドルを拠出しましたが、これに加え難民、そして難民を受け入れてるコミュニティに対し20億ドルを超える融資を追加的に行いました。

世界の貧困率は全体としては低下しているものの、極度の貧困への取組みには引き続き大きな困難を伴っています。これは、世界の最も貧しい人々に対する、脆弱性や気候変動といった世界の火急の問題の影響が一段と大きくなっているからです。こうした問題は最も貧しい人々に極めて大きな影響を及ぼしますが、彼らはこうした問題に対しほぼ無力です。

IDAプロジェクトの種類

世界のニーズは変化しています。IDAは今後も有意義な貢献ができるよう、こうした変化に、迅速に行動するとともに、開発の最も深刻な問題に資金を仕向けそのソリューションを生み出すことで、適応しています。たとえば、2015年5月、サイクロン・イダイがモザンビーク、マラウィ、そしてジンバブエに甚大な被害をもたらしました。IDAは、これらの国に対し緊急支援として5億4,500万ドルを動員しました。

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ビニタ・ビスウォカルマ ©世界銀行

また、IDAはジェンダーと雇用に係る問題も重視しています。たとえば、ネパールでは、道路プロジェクトを通し、疎外されている貧しい女性を農村地帯にある道路の維持で採用しています。

ネパール西部のカスキ郡出身の25歳のビニタ・ビスウォカルマは、厳しい生活を強いられていました。彼女の夫は仕事のために海外へ移住しましたがその後連絡は途絶え、ビニタには、彼女自身と息子が生活していけるだけの教育もスキルも農地もありませんでした。そのような時に、道路維持グループ(RMG)の一員として働くチャンスが巡ってきたのでした。ビニタにとりこれはまさに希望の光であり、SNRTPの管轄セクションであるラキ・ガハテ・ポシ道路(Rakhi Mijure Gahate Poshi Road)で働きだしたことで、彼女の生活は大きく変わりました。

「以前は息子の衣食を賄うお金がありませんでした。しかし、今では私は月に14,092ネパール・ルピーを稼いでおり、息子を学校に通わせ、地元の協同組合に貯金もしています」とビスウォカルマは述べます。「家の屋根を取り換え、給料で2匹のヤギと豚も買いました。」

仕事でビスウォカルマの生活は大きく変わりました。「仕事と勉強をしながら家族を養うことができるようになりました。この機会に心から感謝しています。」

IDAは、デジタル経済への準備を進める国々も支援しています。たとえば、コソボでは、官民パートナーシップを通し、200の村々の農村地区の学校、診療所、そして6万戸の家庭までブロードバンド・インフラを拡大するための取組みを進めると共に、フロントエンドのウェブ開発で2,000人に及ぶ若い男女に職業訓練を行っています。

また、コートジボワールでは、脆弱な人々や支援の手がなかなか届かない家庭にデジタル技術を活用した現金移転を行うため、革新的な社会的保護プロジェクトに資金を拠出し、民間のモバイルマネー取引会社と協力しています。30万以上の人々(その半分以上が女性)が、モバイルマネー口座を利用し、デジタル金融を利用しています。

ハイチでは、パートナーと共にIDAは様々なプロジェクトを実施しています。たとえば、11歳のジェシカ・プルーデントのような子供達が小学校に通うことができるよう、インフラの再構築や政府機関の復興を支援しています。

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ハイチ・ポルトープランスで暮らす11歳の少女、ジェシカ・プルーデント © 世界銀行

こうしたプロジェクトは、世界の最も貧しい人々の生活の向上にIDAがどのように取り組んでいるのかを明確に示しています。

より良い世界へ―IDAの歴史

1960年のIDA創設当時、「より多くの人々を支援し、より大きな成果を実現するため、資金をプールしこれを活用する」というIDAの活動の根本にある考えは画期的でした。また、貧しい国々は資金を何よりも必要としていましたが、中所得国と同じ条件で借入を行うことができませんでした。こうした背景から、世界銀行の出資国が、グラント及び譲許的融資を提供する基金として国際開発協会(IDA)を設立しました。以降IDAは、113カ国に対し3,600億ドルを超える資金を提供してきました。

IDAの支援を必要としなくなった国の多くは、IDAの資金調達を支えています。今日、55カ国がIDAのドナー国として名を連ねています。

IDAの資金供与国代表者である「IDAデピュティ」(ドナー国の政府関係者)が、IDAの戦略的方向性と増資を協議するため3年ごとに会合を開きます。これには、IDAの政策と融資が借入国のニーズを満たすよう、借入国の代表も招待されます。
 

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IDA19に向けて:成長、人々、強靭性

2019年はIDAにとり重要な年です。現在IDAデピュティは、2021~2023年を対象としたIDA19の政策パッケージの策定に取り組んでおり、その内容は12月に発表されます。

IDA19では、雇用と経済的変革、ガバナンスと組織・制度、ジェンダー気候変動、そして脆弱性・紛争・暴力という、戦略の5大テーマをこれまで以上に重視することになります。

同時に、今後も債務の持続可能性をはじめとする新たな問題に対処し、デジタル経済がもたらす機会を活用するとともに、人々(「人的資本」)と包摂的な開発に投資していきます。その理由は、人々が健康で教育を受け、障害の有無にかかわらず参加することができるとき、人々は繁栄を手にすることができるからです。

成長、人々、強靭性、及び幅広いパートナーとの連携を重視したIDAは、今後10年間で極度の貧困を撲滅し、世界で最も貧しい人々のための機会を構築するとともに、IDA諸国が持続可能な開発目標を達成できるよう支援していきます。