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特集2023年4月27日

広島の復興:危機後における都市再生の鑑

ハイライト

  • 広島は、都市の復興と成長の希望の光として、破壊後の再建に取り組む他の都市に、回復力、和解、癒しに関する貴重な教訓を提供しています。
  • 東京開発ラーニングセンター(TDLC)と広島市は、東欧・中央アジアの都市が直面する複数の危機への対応について話し合う国際シンポジウムを開催し、パートナーシップと知見共有の重要性について議論しました。
  • TDLCは、世界銀行と日本のパートナーシップを促進し、日本の専門知識を世界の都市と結びつけ、持続可能な都市開発のための実践的な解決策やベストプラクティスの共有を促す重要な役割を担っています。
「私の出身地である広島市と世界銀行との間で、都市開発の知見を世界に共有するための都市連携プログラムが結ばれ、戦後の焼け野原から西日本の主要都市へと著しい成長を遂げた広島の経験に学ぶイベントが開催されることを大変うれしく思います。…中略…広島は、戦後復興から成長に至る過程で、都市開発に関する知見を豊富に得ており、その経験が本日参加されている皆様それぞれの国の発展につながることを強く期待します。」 

岸田文雄 内閣総理大臣

 

 

第二次世界大戦の焼け野原から立ち上がった広島市は、希望、平和、そして再生のシンボルへと変貌を遂げました。広島の驚くべき復興過程は、自然災害、紛争、経済的混乱の余波を受けた世界中の都市に、都市の復興と回復力について貴重な教訓を与えてくれます。

 

ヒロシマの変容: 和解と癒し

一度は壊滅的な打撃を受けた広島は、中国地方の重要な経済拠点として復興しました。瀬戸内海に面したこの街は、都市の復興を単なるコンクリートや鋼鉄で表現するのではなく、和解と癒しの感動的な物語を世界に発信しています。

国際シンポジウム「復興から成長へ」の開催

東京開発ラーニングセンター(TDLC)と広島市は、このほど国際シンポジウム「復興から成長へ:広島の経験に学ぶ~広島とウクライナ・東欧諸国・中央アジア諸国の対話~」を開催しました。 今回のシンポジウムは、TDLC、世界銀行関係者、アゼルバイジャン、クロアチア、ギリシャ、コソボ、キルギス共和国、ポーランド、ルーマニア、ウクライナの代表者による4日間の知見共有プログラムの一環として開催されました。

当日は、世界各国のリーダー、世界銀行関係者が一堂に会し、欧州・中央アジア地域の都市が直面する危機への対応策を議論しました。日本政府の後援をうけたこのイベントは、広島が戦争で荒廃した都市から、近代的で回復力のある住みやすい都市になるまでの道のりに焦点を当てました。参加者は、重要なインフラやサービスの復旧、復興に向けた短期的な解決策と長期的な解決策について理解を深めました。

基調講演では、ウクライナのアナ・ユルチェンコ地域社会・領土・インフラ開発担当副大臣が、自国において広島の経験を生かすことの重要性について語りました。また、国際社会に対し、1年以上前のロシアの侵攻で大きな被害を受けたウクライナの復興支援を呼びかけました。

より環境にやさしく、強靭な都市をつくる

世界銀行持続可能な開発担当副総裁のユルゲン・フォーグレは、逆境に直面しても、適応し再建する都市の可能性について語りました。特に都市が持続可能性を高めていくうえで、グリーンインフラ、低炭素交通、省エネルギー建築物を推進していくことが重要だと述べました。さらに、災害リスクの軽減と準備への投資は、脆弱なコミュニティを保護し、必要なサービスへのアクセスを確保することができる、と強調しました。

都市は経済発展の原動力であり、開発の課題に解決策をもたらすチャンスのある場所です。都市には適応と再建の能力があり、より環境に優しく、より強靭で、より包摂的な都市になることができます。
Fatimetou Mint Mohamed
ユルゲン・ フォーグレ
世界銀行持続可能な開発担当副総裁

パートナーシップの力:TDLCと都市連携プログラム

世界銀行は、日本政府との長年にわたる協力関係により、各国間の知見共有を促す重要な役割を担ってきました。TDLCはそのナレッジハブとして日本の実践的なソリューションを途上国に提供し、そのプロセスを通じて世銀のプロジェクトの設計や実施を後押ししています。

その中核となるプログラム「都市連携プログラム(CPP)」は、日本の専門知識を世界の都市と結びつけ、都市特有の課題に対処するためのツールや戦略を提供するものです。

TDLCはCPPを通じて、世界銀行と日本、そして他の都市とのパートナーシップを促進し、実践的なソリューションやベストプラクティスの共有を行っています。CPPは、都市の危機に対処し、持続可能で強靭な都市環境を構築するためのパートナーシップの重要性を示しています。

広島の経験から学ぶ

東欧と中央アジアの都市が、自然災害、紛争、経済的不安定などの課題に直面する中、広島の経験は希望と指針を与えてくれます。都市を変革するには、技術的・制度的な革新、強い政治的意思、そして国際的な支援が必要です。広島の事例から学び、グローバルなパートナーシップを育むことで、世界中のコミュニティがより強靭で持続可能な都市の未来を創造することができるのです。

開発には資金調達が不可欠ですが、世界銀行は、長年にわたり世界各地で蓄積した経験に基いた知見や専門知識、合意事項を関係者と共有しています。広島で開催されたシンポジウムは、改めてこうした知見共有と協働を通じた学びあいの重要性を認識する機会となりました。

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