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特集 2021年6月8日

エチオピア各都市に向けた廃棄物管理と処分に関する融資事業向け技術協力を実施

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アディスアベバ唯一の廃棄物処分場では、人々が金属やプラスチックといった換金できるものを集めている(写真撮影:Toshikazu Mito世界銀行コンサルタント)


要点

  • 首都アディスアベバでは、急速な都市化と廃棄物発生量の増加によって、安全かつ持続可能な廃棄物管理がこれまで以上に困難となっている。
  • 東京開発ラーニングセンター(TDLC)は、アディスアベバでの開発事業の一環として、都市サービスに欠かせない廃棄物管理の改善に取り組んでいる。
  • 日本の「福岡方式」は、海外で導入に成功している廃棄物埋立処分技術で、エチオピアにおいても適用できる可能性がある。

世界の廃棄物発生量は、増加傾向にある。2016年、世界の都市で発生した廃棄物量は20億トンで、一人当たり1日0.74キロに上る。急速な人口増加と都市化に伴い、2050年の廃棄物発生量は、2016年水準の70%増の34億トンになると見込まれている。中でも都市の貧困層への影響は大きい。こうした人々には公共サービスが行き届かず、住居付近で廃棄物が増えてもどうすることもできないからである。

適切な廃棄物管理は、持続可能で住みやすい都市を築くためには欠かせないものだが、エチオピアを含めた多くの途上国では依然として課題が残る。有効な廃棄物管理にはコストがかかり、自治体予算の20〜50%を占めることが多い。公共サービスとして欠かせない廃棄物管理の実施には、効率性に優れ、持続可能で、社会に支持される統合型システムが求められる。

エチオピアでは、近年の著しい経済成長とともに都市化が進んでいる。これが自治体別の廃棄物管理を含む都市のインフラと公共サービスを圧迫している。同国の都市で最も人口が多い首都のアディスアベバでは、廃棄物発生量が毎年5%の割合で増加しているが、廃棄物管理は不十分なままで、市民の健康や生活、環境を脅かしつつある。

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2019年11月、エチオピア代表団が訪日し、廃棄物管理に関する都市開発実務者向け対話型研修(TDD)の中で北九州市の解決策と専門知識を学んだ

融資事業向け技術協力を通じてより良い公共サービスに向けた解決策を提言

TDLCは2019年、世界銀行が実施中のアディスアベバ アドバイザリー支援・分析手法を統合した戦略的開発(ASA))プロジェクトに対する技術協力を開始した。同年11月、エチオピア代表団は、TDLCによる廃棄物管理に関する都市開発実務者向け対話型研修(TDD)に参加した後、TDLCに技術協力を要請した。TDLCの技術協力には、現状評価(ギャップ評価)、市職員に対する研修、課題解決策と優先行動に関する提言が含まれ、廃棄物管理の体制や能力の強化を目指して実施されている。

技術協力の一環として、実施中のアドバイザリー支援・分析手法をベースに、TDLCはアディスアベバ の廃棄物管理に関する現状評価(ギャップ評価)報告書を作成した。本評価報告書は、データ分析やニーズ評価、廃棄物サービスを向上させる施策を盛り込み、アディスアベバ の短〜中期的な廃棄物処理能力の強化を優先づけている。TDLCはまた、都市インフラや公共サービスに適用可能な日本の質の高いインフラ投資(QII)原則の導入方法についての助言も行った。

またTDLCは2020年12月、廃棄物管理に関するオンライン研修を実施。アディスアベバの他、アダマ、バハルダール、ハラール、アワッサ及びセミーラ-ロジヤの5都市から30名以上が研修に参加した。本研修を通じ、参加者は、自身の都市の廃棄物管理サイクルの中で、廃棄物に関連したデータを含む不十分な部分を特定することができた。本研修ではまた、参加者が互いに知識を共有し、専門家や実務者から学び、国の行政機関職員とも情報・意見交換を行うことによって、費用対効果に優れ、実施可能な解決策について理解を深めることができた。

TDLCの廃棄物管理専門家は、解決策として福岡方式を挙げた。これは日本で開発された準好気性埋立方式である。福岡方式は日本国内にとどまらず、アフリカのエチオピア やルワンダ、ケニアでも導入され、成果を挙げていることがケーススタディで報告されている。現在エチオピアで採用されている福岡方式は数カ所の埋立処分場のみだが、今後は他の都市への普及も期待される。

 


"再生利用可能な廃棄物の管理計画、適切な技術の特定及び再生利用能力の強化は、埋立処分される廃棄物量を最小限に抑える手段である。"
アダマ市からの参加者

TDLCは今後、TDDのフォローアップとして、エチオピアに対する技術協力・分析業務や途上国での他の世界銀行プロジェクトを通じ、融資事業向け技術協力に取り組む。



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