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特集 2020年2月2日

「横浜シティスケッチ・ワークショップ」で地域に寄り添う都市デザインを

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要点

  • 「横浜シティスケッチ・ワークショップ」とは、市民と協働で都市デザインを考える手法です。
  • 東京開発ラーニングセンター(TDLC)は大学や地元の自治体、日本の専門家と協力し、パナマの首都パナマ市とコロンビアのバランキージャ市でワークショップを開催しました。両都市は、横浜市と同じく海に面した港町で、ウォーターフロントの都市再生に取り組んでいます。
  • ワークショップを通じて、参加者は、安全で環境に優しく、交通の利便性に優れ、誰も取り残されない理想的な都市像を描きました。

2020年2月2-7日

横浜シティスケッチ・ワークショップとは?

横浜シティスケッチ・ワークショップとは、横浜市役所の都市デザインの担当者と市民が積極的に関わり、まちづくりの課題を一緒に考えていく手法です。 住民や学生、企業の経営者、都市計画担当者、市職員、子供たちなど、様々な人が市内の各地域に足を運び、気が付いた課題を洗い出します。その後、紙の上にアイデアをスケッチしながら、その地域の夢やビジョンをどのように街に落とし込めるか、今の街をどのように改善できるかを議論していきます。ワークショップの目標は、市民たちの優先事項やニーズ、価値観をまとめ、参加者が自身のアイデアを都市の将来像に反映することです。

この取り組みは、第二次世界大戦後の1960年代、横浜が都市の在り方を再考する中で考案された手法です。横浜は計画の初期段階から市民参画を得て、ウォーターフロントを中心とした都市再生プロジェクトを成功させ、急成長を成し遂げました。

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コロンビアのバランキージャ市の近隣地域シアペについて理解を深めようと現地を訪問する参加者
写真:世界銀行グループ

このアプローチを通じて主要な都市問題や社会問題が浮き彫りとなり、総合的かつ多面的に優先順位を計画することができるようになります。また、年齢や性別を問わず、市民はまちづくりに参加する権限が与えられ、自治体も地域のニーズや価値観を把握できます。

パナマシティのリオ・アバホ地区の再生に向けて

TDLCは2019年4月、初めて横浜シティスケッチ・ワークショップをパナマ市に導入しました。これに先立つ2017年と2018年、パナマ市の代表者らはTDLCが提供する都市開発実務者向け対話型研修(TDD)に参加しました。その際、TDLCは、パナマ市よりウォーターフロントの開発や、都市の洪水に関連した廃棄物管理に関する技術協力の要請を受けました。

パナマ市での横浜シティスケッチ・ワークショップは、地元のフロリダ州立大学が中心となり、日本の専門家の指導のもと、地元の大学の建築学科の学生の協力を得て実施されました。参加者たちは約13万人が生活する川辺流域のリオ・アバホ地区を訪れ、地区の再生に向けた展望を描きました。その中で、創造的な文化活動のための多目的スペースとして緑地を整備すること、自転車や歩行者専用の通路を設けることによって、交通の利便性を高めていくことなどが提案されました。

バランキージャ市の都市再生に多様な視点を

TDLCは2020年2月、バランキージャ市で2回目の横浜シティスケッチ・ワークショップを開催しました。 同市はコロンビアのカリブ海沿岸最大の都市で、重要な港としての機能もあります。ワークショップには、日本からは建築家や専門家、研究者が参加したほか、バランキージャ市の市職員やコミュニティのリーダー、地元のノルテ大学の建築学部の教員らが進行役を務めました。コロンビアもパナマと同じく、過去にTDD研修に参加した経験があったことから、TDLCとの連携はスムーズに進みました。

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自分たちで描いたバランキージャ市の都市計画を発表する参加者
写真:世界銀行グループ

70名の参加者は、地域のリーダーや住民、地元の学生、建築家、不動産会社員、市職員と多岐にわたり、バランキージャ市のウォーターフロントにある住宅地や漁場、歴史的な地区などを訪問しました。また、飛び入りで小学生の姿もみられました。工業地帯であるウォーターフロントの再生に向け、民間企業と住民の要望や優先事項を反映させた都市デザインのビジョンを一丸となって練り上げました。


"この手法は、問題点が何かを特定し、解決策を提案する力を与えてくれます。私たちが市民としてだけでなく、建築家として、都市に生きる可能性を示してくれました。"
オスカー・ Bさん
バランキージャ市でのワークショップ参加者

両都市でのワークショップを通じて強調された学びは、市民が早い段階で都市計画に参加する重要性です。参加者からは「刺激的な体験だった」との声が寄せられたほか、両都市からは、この手法をほかの都市の課題にも活用したいなど、高い関心が示されました。

TDLCの融資事業向け技術協力は、日本の専門家と世界銀行の知見を活用し、主に「都市開発実務者向け対話型研修(TDD)」のフォローアップとして、途上国の複雑な都市開発の課題に対応するための専門知識や技術支援を提供しています。



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