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特集 2019年4月22日

総合的な都市洪水リスク管理に関する分野別実務者研修会合(TDD):日本の都市の経験から学ぶ

2019年4月22~26日
東京、神戸、大阪

洪水はもっとも頻繁に発生している自然災害であり、毎年、世界全体で平均8,500万人が被災しています[1]。人口増加、都市化傾向、気候変動を背景に、都市部に及ぶ被害はますます対応が難しいものになっており、洪水の原因は変化し、その影響は増大しています。

世界銀行の都市洪水コミュニティ・オブ・プラクティス(UFCOP)東京開発ラーニングセンター(TDLC)東京防災(DRM)ハブは、総合都市洪水リスク管理(IUFRM)に焦点をあてた5日間の分野別実務者研修会合(TDD)を共同開催し、日本政府が世界銀行(WB)援助受入国に学習機会を提供しました。参加したアルバニア、アンゴラ、ヨルダン、ラオス、ミャンマー、パナマ、パラグアイ、トルコ、ベトナムの実務者と政策決定者らは、それぞれの経験を共有して知識を深め、参加者間で、あるいは日本内外の専門家からIUFRMへの投資に関する情報提供の方法について学びました。東京、神戸、大阪で開催された今回のTDDではプレゼンテーション、分野別専門家とのディスカッション、視察、ミニ・スタジオ、行動計画作成といったプログラムを実施しました。

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写真(左): IUFRMにおける最近の世界的傾向について講演する古米弘明教授
写真(右): IUFRMの経験を紹介するアンゴラの代表団に耳を傾ける参加者
出典:世界銀行

教訓と重要ポイント

世界銀行、日本の官民セクター、その他の国々の専門家は、それぞれの経験とIUFRMに関する教訓を紹介しました。ディスカッションでは次の4つの主要テーマに焦点があてられました。(1) 都市洪水リスク評価とコミュニケーション・プロセス、(2) 洪水リスク削減に向けた投資の計画作成および優先順位付け、(3) こうした投資の実施、(4) こうした投資が、持続可能性を視野に入れたうえでどのように運営および維持されるか。

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大阪府の地下河川若江立坑
出典:世界銀行TDLC

参加者は大阪を訪問し、寝屋川流域の包括的な治水対策について学びました。大阪府はプレゼンテーションを実施し、松原南調節池および地下河川若江立坑の現地視察を進行しました。視察を通じて参加者は各施設が大阪府の人口の3分の1が居住する東部地域の包括的な治水計画にいかに貢献しているかをじかに学びました。

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墨田区の住宅街で地域主導の雨水利用対策について説明する民間ボランティア
出典:世界銀行

ミニ・スタジオ演習の一環として代表団は、幅広いステークホルダーの連携体制を活用し地域主導でさまざまな雨水の集水および利用策が進められている3つの指定区域/プロジェクトサイトの1つである墨田区を訪れました。その後、各代表団は、自然を基盤としたツールを活用して各サイトの雨水の管理容量を増やす(雨量75mm/時)デザイン案を提案しました。[都市型洪水対策に向け、環境配慮型ソリューションを統合]

TDDの行動計画作成プログラムでは、参加者がそれぞれの国において都市洪水リスク管理を強化するための進行中および予定されている投資について情報提供する戦略を含む重要ポイントについて発表しました。全体を通して日本から主に次のような教訓を学びました。(i) 民間からIUFRMへの資金提供を最大化する資金的戦略および体制の構築、(ii) 社会的、土地利用、技術的、資金的計画を含む、リスク情報を活用した総合的計画の作成、(iii) 構造物および非構造物施策の計画および実施におけるステークホルダーの連携体制の強化、(iv) 制度面の能力およびDRM計画を改善する各災害からの教訓。

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写真(左):指定サイトのデザイン・ソリューションについて議論する各国代表団
写真(右):デザイン案を発表する国の代表団
出典:世界銀行

今後に向けて

今後、世界銀行チームは計画作成および戦略構築の研修、意識改革プログラムの技術支援、都市計画および戦略の構築支援など、参加国の要請に対応していきます。これは、特に技術協力(TA)支援、日本および世界各国からの専門家派遣、知識交換プログラムを通じて実施します。UFCOPは今後もIUFRMに関する知識の拠点であり続け、都市洪水によるリスク軽減について見識および実践的な教訓を提供していきます。

Image[1] https://www.emdat.be/ EM-DAT CRED 2017



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