特集 2017年11月6日

西アフリカ・ボルタ川流域における洪水予測・対策強化研修会:神戸大学・京都大学との科学技術協力

要点

  • 世界銀行東京防災ハブはボルタ川流域で洪水予測・対策の強化に取り組んでいるガーナ、トーゴ及びボルタ川流域局(VBA)の技術専門家を日本に招聘し、神戸大学、京都大学との連携のもと、10日間の科学技術協力研修会を開催しました。
  • 参加者は同大学での講義や演習での実体験を通して、日本における気象と水文観測、洪水予測、洪水リスク管理に関連する先端技術・研究、先進事例及び教訓などを学びました。
  • 今後も、世界銀行が西アフリカで実施中の「洪水の管理と予測の取り組み」などを通じて、日本の技術専門家派遣の可能性を模索し、大学と研究機関との学術連携を深めることで、日本の防災の知見を現地のレジリエンス向上に繋げる取り組みを継続していく予定です。

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写真:ガーナ、トーゴ及びボルタ川流域局の研修会参加者と京都大学教授、世界銀行スタッフ


概要

2017年11月6~17日の間、世界銀行東京防災ハブはボルタ川流域で洪水予測・管理の強化に取り組んでいるガーナ、トーゴ及びボルタ川流域局の技術専門家12名を日本に招聘し、神戸大学、京都大学との連携のもと、研修会を開催しました。研修は東京防災ハブが支援する「ボルタ川流域における洪水予測管理の強化プロジェクト」の能力開発に向けた活動の一環として実施されました。研修プログラムは以下を重点に構成されました。

  • 神戸大学と京都大学での講義と演習を通じて、日本における気象と水文観測、洪水予測、洪水リスク管理に関連する新しい技術・研究、先進事例及び教訓について、参加者が直接学び、体験する機会が得られる。
  • ガーナ、トーゴ、及びVBAで洪水予測管理に携わる専門家を支援し、洪水リスク管理と水文学の知識・技術を会得する。
  • 国土交通省(MLIT)と気象庁(JMA)の関連施設・機関(気象観測センター、洪水調節・水力発電・上水道などの機能を持つ多目的ダム、水資源の管理・利用と環境保全に関する情報センター)を訪問し、それぞれが持つ役割等についての見識を得る機会が提供される。

また、リアルタイムのビデオに基づく技術を使用した河川流量観測に関する実地研修や降雨計測装置・設備や洪水予測装置の見学等、様々なモデルや設備に触れることを通じて参加者の気象・水文技術に関する知識が高められました。


"気象庁大阪管区気象台と、淀川ダム統合管理事務所が管理する天ヶ瀬ダムを訪れて、日本における洪水管理・調節や対策におけるソフト・ハード両面の取り組みを知ることができました。また、国土交通省の水管理・国土保全局と各河川事務所間、ならびに気象庁と国土交通省間での統制のとれた連携、研究機関と大学の連携やそこで行われる調査研究が、実際の問題解決にいかに対応し直接的な影響を与えているかということは非常に印象的でした。"
マーティン ・アディ氏
(ガーナ気象庁、気象研究官)

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写真:視察中、日本の技術専門家と交流し、実地に学ぶ参加者の様子


研修からの学び

参加者は研修期間を通じて、洪水リスク予測と管理の改善に係る行動計画策定に向け、現況の問題点や課題を明確にし将来の実現に向けて、日本の専門家と広範囲にわたる議論を交わしました。研修で導き出された主な学びのポイントを以下に紹介します。

  • 気象・水文サービスの近代化は長期間の積み重ねにより培われ、日本の近代的な水文気象システムは過去50年以上にわたるデータ・技術等の蓄積によって構築されました。また、技術改良と観測機器等の開発のみならず、管理統制形態の構築、広範囲におよぶ能力開発、システムの改良と保守点検によるサービス提供もその発展に寄与してきました。
  • ボルタ川流域での洪水早期警報システム(FEWS)の改善には、基盤域での河川流量と降雨量のリアルタイム観測データの品質向上が欠かせません。また、流域全体への自動雨量計と気象観測所の設置を推進することで、FEWSソフトウェアに入力されるデータの有効性が高まります。さらに、改善された実証可能なデータにより、流量曲線が更新されれば、ガーナ水文サービス局の洪水観測・予測を改善できますが、そのためには現行の水文・気象観測所の改修および観測所の新設が重要となります。
  • 日本の大学との持続的な連携は技術力強化や西アフリカの現況に即した革新的な洪水観測・予測技術の応用性評価に役立ちます。本研修で紹介されたKU-STIV(神戸大学河川流画像計測ソフトウェア)、DRR/FI(分布型降雨流出・洪水氾濫)モデル、レーダーシステムや関連書籍などは参加者にとって興味深い学びの機会となりました。また、観測システムとモデルをボルタ川流域とオティ川流域で応用・テストするために、神戸大学と京都大学の研究者と教授のガーナ、トーゴ及びボルタ川流域局への招待が打診されました。
  • 洪水早期警報システム実施における妥当性と適合性の適格な分析は重要であり、組織・国レベルの財政的、地政学的環境において応用可能な「目的に適合する」解決策を西アフリカの現状に即して実行する必要があります。域内の気象学、水文学の専門家同士の関係と対話を深めることで、こうした活動の更なる推進が期待されます。

"我々、神戸大学と京都大学の研究者は、ガーナ、トーゴ及びボルタ川流域局(VBA)からの参加者の方々が示した熱意と関心に深い感銘を受けました。参加者及び世界銀行とさらなる協力ができることを楽しみにしています。我々は、特に大学として、洪水予測と管理の改善に不可欠である技術的な知識と能力の強化に貢献できると考えています。"
小林 健一郎教授
(神戸大学)

今後の展望

ガーナ、トーゴ及びボルタ川流域局と日本の大学の技術専門家との学術連携や交流を通じて形成・強化された知識、ネットワーク、関心は、今後さらに深まり広がっていくと思われます。参加者からの要望と関心に基づき、世界銀行および東京防災ハブは、現在西アフリカで実施中の「洪水の管理と予測の取り組み」への技術支援を行なうべく日本の技術専門家派遣の可能性を探り、大学や研究機関との学術連携も深めていきたいと考えています。

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プロジェクトの詳細:

プロジェクトの概要:白ボルタ川流域での洪水管理の強化(英語)

特集:日本の専門知識と支援を活用した洪水対策の強化(英語)


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