特集

強靭な都市づくりのための投資

2016年10月12日


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要点
  • 都市の強靭性強化に取り組まなければ、2030年には、気候変動によって、7,700万人以上の都市居住者が貧困生活を余儀なくされる可能性があります。
  • 都市の強靭性強化に取り組む機会はわずかしか残されていませんが、特に、途上国向けの資金調達が必要になります。
  • 新たに作成されたレポートでは、世界中の都市における生活改善を目指し、災害に強いインフラ整備への投資の扉を開く課題と機会について論じています。

世界中の都市の強靭性強化のために多額の投資が行わなければ、2030年には、気候変動によって、7,700万人以上の都市居住者が貧困生活を余儀なくされる可能性があります。

これらの調査結果は、住宅と持続可能な都市開発に関する国連会議(ハビタットIII)に先立ち、世界銀行グループ防災グローバル・ファシリティ(GFDRR)が発表した新たなレポートで取り上げています。当該レポート『都市の強靭性強化への投資(Investing in Urban Resilience)』では、気候変動および都市化の急速な進展は計り知れない影響をもたらし、世界的な開発の最大の推進力、つまり都市に深刻な打撃を与えることになるだろう、と論じています。


" 都市の強靭性強化に取り組まなければ、急速な成長によって、世界中の都市は莫大なリスクにさらされることになります。人口および人々の移住は増加の一途をたどり、気候変動は劇的な影響をもたらそうとしています。つまり、世界中の都市の安全は、転換点を迎えようとしているのです "
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エデ イジャズ・バスケス

世界銀行グループ社会・都市・農村・強靭性グローバル・プラクティス シニアディレクター

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都市が災害、衝撃、継続的なストレスへの強靭性を備えることができなければ、気候変動や自然災害によって世界中の都市が被る平均年間損失は2030年には3140億ドルにのぼり、やがて7700万人以上の人々(この数字は、コンゴ民主共和国の人口よりも多いのです)が貧困の 陰におびえながら生活し、働くことになるでしょう。

急速な成長を遂げている都市の強靭性が低いと都市の貧困層の安全を脅かすことになります。世界中で8億8100万人の都市居住者がスラム街で生活しており、その数は2000年と比べて28%も増大しています。こういった非正規・非計画居住区は、傾斜地や氾濫原などリスクの高い場所に構築されることが多く、基本的なリスク軽減につながるインフラ整備が整っていません。

一方で、楽観視できる側面もあります。2030年までに都市化される地域の約60%がまだ開発されていないのです。つまり、投資の機会はわずかしか残されていませんが、多額の資金が投じられることになるでしょう。調査によると、世界中で、都市のインフラへの投資の需要は年間4兆5000億ドルと見積もられており、低炭素で気候変動に強靭なインフラを整備するには9%~27%の割増料金が必要になるでしょう。この需要については、途上国の都市からのものが大半を占めています。

そのための資金は、公共、民間、慈善団体などの資金源から得ることができ、世界中で調達可能な民間機関投資家の資金は106兆ドルにのぼります。それでも現時点では、インフラの強靭性強化は言うまでもなく、インフラの整備に投資されているのはそのうちの1.6%にすぎません。

資金調達に大きな差がある理由は?

世界銀行グループ防災グローバル・ファシリティ(GFDRR)事務局長のフランシス・ゲスキエール(Francis Ghesquiere)は次のようにコメントしています。「強靭性強化への投資に関して、投資家たちはさまざまな障害に悪戦苦闘しています。リスク軽減の要素をプログラムに組み入れ、資金を調達するうえで、地方自治体の能力には往々にして限界があります。明日にも起こるかもしれない災害を避けるには、私たちは、これらの課題を克服する革新的な方法を追求する必要があります。」

実際、途上国の都市は、強靭性強化への投資資金を調達する際に、次のようなさまざまな障害に直面しています。

  • 行政機関の能力の欠如:多くの都市は、政治不安、民間投資を抑止する規制制度、プロジェクトの計画・資金調達・実施に関する数々の困難に頭を悩ませています。
  • 民間セクターによる信頼の欠如:民間投資家は、制度面での能力の限界、脆弱なガバナンス、通貨リスク、投資パフォーマンスを評価するのに使用できるベンチマーク・データの制約を懸念しています。
  • プロジェクト準備の問題点:プロジェクトの準備には技術的能力と初期費用が必要となるため、都市側がは、出資する投資家に対してすぐに提供できる強靭性強化のプロジェクトがほとんどありません。

都市がこれらの障害を乗り越えて強靭性強化への投資を促進するのを支援するため、世界銀行は、強靭な都市の構築に対して、過去5年間に年間20億ドルを投資し、41か国で79件のプロジェクトを実施してきました。例えば、イスタンブールでは、世界銀行とGFDRRは、80万人もの人々の安全を守るため学校や病院を含め1000棟以上を安全強化し地震への備えを改善強化しました。

また世界銀行は、「100のレジリエント・シティ(100 Resilient Cities)」のネットワークおよび Medellín Collaboration on Urban Resilience(MCUR)など、広範囲にわたるパートナーシップを通して、世界中の都市の強靭性強化の 計画に世界規模の影響を及ぼすことを目指しています。

民間の出資を活用するには、このような多国間のパートナーシップが非常に重要な役割を果たします。ただし、都市の強靭性を強化するには、資金を集めるだけでは十分とは言えません。そのため、投資家が強靭性強化のプロジェクトに対して進んで資金を提供できるように都市の政策環境を改善し、地方政府のプロジェクト実施能力を強化することが必要となってきます。に注力していきます。

世界銀行とGFDRR は、これらの見解をハビタットIIIで提唱します。ハビタットIIIでは、『都市の強靭性の強化への投資(Investing in Urban Resilience)』を発表し、災害に強い都市を築く方法についての論議の展開をサポートしていきます。



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