BRIEF 2017年10月27日

読売新聞寄稿「女性起業家支援に動く世界」クリスタリナ・ゲオルギエヴァ 世界銀行最高経営責任者(CEO)

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クリスタリナ・ゲオルギエヴァ 
Kristalina Georgieva

世界銀行最高経営責任者(CEO)。欧州委員会で人道援助などの担当欧州委員を務めた。ブルガリア出身。64歳。


女性の活躍は、世の中を良くする。家族や地域社会、ひいては国の経済そのものに恩恵をもたらす。しかし、多くの女性起業家は厳しい状況に直面している。

現在、世界全体で登記されている企業などのうち、3割以上は女性がトップを務めている。しかし途上国では、女性が経営する中小零細企業の7割が、必要な金融サービスを金融機関に受け付けてもらえないか、不利な条件でしか受けられずにいる。

このため、女性が経営する中小零細企業は、年間3000億ドル(約34兆円)近い資金不足に陥っている。ビジネスに必要な人脈や知識の欠如も女性起業家にとっての制約となっている。

世界中の少なくとも100か国以上で女性が男性と同じ職業に就くことが制限されている。しかし、世界銀行グループが行った調査では、女性がもっと労働市場に参加できれば、その国の国内総生産(GDP)を最大で34%押し上げることができる。

女性は働く上で、男性であれば心配する必要のない様々な課題を乗り越えなければならない。例えば女性の所得は男性と比べ3割程度低い。これは、女性が就く仕事の多くが小売りなど賃金の低い職であるからだ。さらに男性の2倍以上の時間を、家事などの無報酬の仕事に費やしている。

女性が経済的に自立し、自らの意思で生き方を決めることができるよう、様々な動きが世界中で出てきた。例えばケニアでは、不動産を所有する女性はわずか1%程度に過ぎないが、世界銀行グループが連携する「ガルフ・アフリカ銀行」が、地元の女性起業家に資金を融資できるように工夫している。女性起業家に対し、宝石や家畜を担保としたり、保証人がいれば1万5000ドルまで融資したりしている。わずか5人の従業員とセメント輸送事業を始め、今では100台のトラックを持つ会社に成長した例もある。同銀行は、さらに女性専用の支店を設け、助言サービスを提供しているほか、経営計画や税金対策、企業運営についての相談会も行っている。このプログラムを通じて提供した融資は2年間で135万ドルに達した。

7月に独ハンブルクで開かれた主要20か国・地域(G20)首脳会議の場で、「女性起業家資金イニシアティブ(We-Fi)」が発表され、10月の世界銀行・IMF(国際通貨基金)年次総会で設立された。日本をはじめとする14か国が支援を表明しており、女性起業家の支援プロジェクトに10億ドル以上を充てていく。We-Fiは女性起業家に立ちはだかる事業環境や規制にも働きかけていく。

女性を取り巻く課題を解決しようと、政府や企業、金融機関など様々な関係者が呼びかけている。多くの取り組みが、東京で11月1~3日に開催される国際女性会議「WAW!2017」の場で披露されるだろう。私もその議論に参加することを楽しみにしている。
世界中の女性がより一層輝ける日が来ることを願ってやまない。

(読売新聞 2017年10月27日付に寄稿)
※ この記事は、読売新聞社の承諾を得て転載しています。

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